世界のプロレ&#
今、米国の若い世代の間で1970年代後半から80年代にかけて日本で大流行したシティーポップを中心に熱狂的なファンが増えている。ブルックリン区に店を構え、レアものを揃えるフェイスレコードの間宮さんが選ぶ名曲を通して、その魅力を探ってみたい。
短い活動期間で名作を残した
幻のシンガーのシティポップ
今回はわずか2枚のシングルを残して芸能活動を終えた幻のシンガー・高橋玲子を紹介したい。デビュー曲の『ラブソングは唄えない』は、1986〜87年に日本テレビ系列で放映されたドラマ『妻たちの課外授業』のオープニング曲で大きな話題を呼んだ。そんな彼女が87年に発表したラストシングルが『サンセット・ロード』。シティポップ最重要人物の一人である濱田金吾が作曲し、元スペクトラムのキーボーディストであり無数のTVドラマ/特撮/アニメ劇伴を担当した巨匠・奥慶一が編曲を手掛けている。そんな豪華な布陣による本作はまさに和ブギー・シティポップの至高の名曲に仕上がっている。オリジナルのドーナツシングルは5万円前後で取り引きされるほど。しかしいまだ再発もされず、シティポップ再評価の流れの中でも、コアなファンからの再発を望む声は根強い。ニューヨーカーのウォントも絶えない重要盤。
フェイスレコード■

2018年にウィリアムズバーグ地区にオープン(営業は木曜日から日曜日の午後1時〜7時)。シティーポップをはじめ、山下達郎、竹内まりや、坂本龍一、YMOなどに代表される日本の音楽を中心に、ヒップホップや日本盤のジャズロックなども豊富に取り扱う。在庫数は8000枚、新入荷は毎週金曜日。レコードの買い取りも受け付け中。1994年に東京で創業し、現在は日本全国に全6店舗展開中。

間宮祐一
横浜市出身。脱サラし、2015年からニューヨーク在住。18年に同店をオープン。自身も筋金入りのレコードコレクター。また、ヒップホップの楽曲制作も行い、2020年に客演に『Freddie Gibbs』(グラミー賞ノミネーター)を迎えたシングルレコードを発表。座右の銘は「NO VINYL NO LIFE」。



