巻頭特集

どんどん変わる・ますます面白いゴワナス探訪

ニューヨークの最旬スポットとして  ニューファミリーやレストラン業界、不動産開発業者から熱い視線が注がれるブルックリン西部の中心地ゴワナス。今週はゴワナス入門編として、その楽しみ方を紹介する。


工業用倉庫と「米国で最も汚染された水域」で知られるブルックリン区ゴワナス。重工業排水で汚染された運河を泳げるようにする計画から、アフォーダブルハウジングの開発、さらには自転車や歩行者に優しい設計で「ミニ・コペンハーゲン」に変えようとする取り組みまで、ゴワナスはブルックリンで最も創造性と活気にあふれた中心地の一つへと生まれ変わろうとしている。

 

 

工業地帯と都市生活のハイブリッド環境

ゴワナスの発展が目覚ましい第一の理由はマンハッタンへのアクセスが迅速かつ容易なことだ。BQE(ブルックリン・クイーンズ・エクスプレスウェイ)からわずか数ブロック、地下鉄G・F線駅からも徒歩圏内で、ダウンタウンブルックリンやサンセットパークへのアクセスも良好。また、通常発達の子どもと特別支援を必要とする子どもの統合教育を専門とする優良公立校「P・S・372」やトップクラスのイスラム系私立校のアル・マディーナ・スクールなど、多様な教育施設や家族向けのアクティビティーが集まる場であることも見逃せない。水辺の工業地帯と歩行者を優先したハイブリッド環境から生まれる唯一無二の景観と、数百戸にも上る再開発に合わせて話題のレストランも次々とオープン。アートスタジオや独立系ジムも混在するゴワナスは、粗削りな魅力と利便性を求める若い家族層を惹きつけている。

 

新しい住宅の建設が目覚ましい勢いで運河沿いに始まっている

 

ゴワナス運河(ゴワナスクリーク)と開発計画

全長1.8マイル(2.9km)の運河。かつては重要な貨物輸送拠点だったが、20世紀半ば以降の国内海運の衰退に伴い利用は減少。現在は小規模な貨物輸送や小型船・タグボート・はしけの日常的な航行に利用されている。

運河は19世紀半ばに潮汐湿地と淡水河川から造成。約1世紀にわたり重工業による汚染物質が運河に流入したことから高濃度の大腸菌や発がん性物質、低酸素濃度により海洋生物の生息にはおおむね不適な状態となり、2009年にアメリカ環境保護庁(EPA)のスーパーファンド指定地域*となった。13年から浄化作業を開始。18年には鳥類が運河に戻り始めたことから、水質の改善が期待されている。

ゴワナスの再構築は30年前、地元の熱心な活動家によって始まり、後に市議会議員を経て会計監査官となったブラッド・ランダーが主導。ランダーは13年、「ブリッジング・ゴワナス」地域計画イニシアチブを立ち上げ、それが16年の都市計画局公式調査と、デブラシオ政権末期の「ゴワナス地区計画」の採択へと結実した。ランダーは今月4日の市長選挙で当選したマムダニ州下院議員への支持を早い段階から表明。次期市政下で、重要なポストに就くことがほぼ確実視されており、ゴワナスの環境浄化と再開発にも拍車がかかりそうだ。

ゴワナスでは現在、市内のどこよりも多くの住宅が建設中。最近のデータによれば、141の住宅プロジェクトが進行中。総面積82エーカーの再開発区域では、35年までに9000戸以上(2万人の新規住民)の受け入れが予定されている。

*スーパーファンド指定地域=有害物質で汚染されたアメリカの汚染地域。浄化には長期的な対応が必要とされる。

               

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