歴史的名盤レコードを掘る! 今週の1枚

第10回 今週のレコード:Hosono House(細野晴臣)

今、米国の若い世代の間で1970年代後半から80年代にかけて日本で大流行したシティーポップを中心に熱狂的なファンが増えている。ブルックリン区に店を構え、レアものを揃えるフェイスレコードの間宮さんが選ぶ名曲を通して、その魅力を探ってみたい。


世界中に愛されるタイムレスな魅力に満ちた伝説の宅録サウンド

2022年グラミー賞最優秀アルバム賞を受賞したハリー・スタイルズ『ハリーズハウス』のインスピレーション元である同作は、長い年月を経て米国で再び注目されている。細野氏のソロデビュー作として知られ、日本の音楽シーンにおいても貴重な宅録アルバムとして有名である。埼玉県にある狭山アメリカ村の中古住宅の一室で制作されたそう。貴重なオリジナル盤は2種類あり、レコード盤の文字の色が黄金色のものが初期盤で、黒が後期盤とされている。

1969年のロックグループApryl Foolや、ソロ作品、YMOなど細野氏関連の作品はニューヨークでも人気で、その影響力は計り知れないであろう。また、孫の細野悠太、芝崎大道、宮本颯の三人からなるバンドCHO CO PA CO CHOCO QUIN QUINは最注目の若手ミュージシャンだ。人間の遺伝子とはすごいものだ。日本のロックの未来も明るい。


フェイスレコード

2018年にウィリアムズバーグ地区にオープン(営業は木曜日から日曜日の午後1時〜7時)。シティーポップをはじめ、山下達郎、竹内まりや、坂本龍一、YMOなどに代表される日本の音楽を中心に、ヒップホップや日本盤のジャズロックなども豊富に取り扱う。在庫数は8000枚、新入荷は毎週金曜日。レコードの買い取りも受け付け中。1994年に東京で創業し、現在は日本全国に全6店舗展開中。


間宮祐一

横浜市出身。脱サラし、2015年からニューヨーク在住。18年に同店をオープン。自身も筋金入りのレコードコレクター。また、ヒップホップの楽曲制作も行い、2020年に客演に『Freddie Gibbs』(グラミー賞ノミネーター)を迎えたシングルレコードを発表。座右の銘は「NO VINYL NO LIFE」。

               

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