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ニューヨークで活動する注目の若手アーティストを紹介 – ブランドデザイナー佐地真梨子さん

企業のブランディングの根幹を担う「ブランドデザイナー」という仕事に魅了され、前職を辞め一念発起しニューヨークの美術大学でデザインを学び、現在はデザイナーとして経験を積む佐地真梨子さん。そんな彼女にブランドデザイナーに転向したきっかけやこれからの展望について話を聞いた。


企業のビジネス戦略やコンセプトに基づき、ロゴやパッケージ、ウェブサイトや広告などをデザインする職業、ブランドデザイナー。企業の価値やイメージの定着化、そして差別化を図る役割を持ち、企業ブランディングには欠かせない存在だ。フリーランスのブランドデザイナーとして活躍する佐地真梨子さんは、現在医療機関や食品会社、スポーツメーカーなどさまざまなジャンルのプロジェクトで経験を積んでいる。

「自分の創作物で人の心を動かしたい」一念発起してニューヨークへ

国際基督教⼤学に進学し、国際関係や環境問題、途上国の開発などを学び、卒業後は日本貿易振興企業(JETRO)で海外企業の⽇本投資を促進させる業務に従事してきた佐地さん。業務の中で海外のスタートアップ企業に接する機会が多かった彼女は、彼らの優れたブランディング力、特に広告などのデザインによるブランド戦略のレベルの高さを目の当たりにし、日本企業のブランド戦略の弱さを感じるとともに、日本におけるブランドデザインのさらなる可能性を見出した。「外国企業は戦略に基づき構築されたデザイン性を持ち、企業としてのブランドを確⽴できているのに対し、⽇本企業には素晴らしい技術や製品がたくさんあるのにもかかわらず、視覚的にアピールする⼒が⾜りていないと感じました。と同時に、自分の創作物でそのお手伝いがしたい、デザインで⼈の⼼を動かすことを仕事にしたい、と強く思うようになりました」

その後、いち早くその夢を叶えたいという願望を胸に、就業前後の時間を活用してオンラインでデザインの勉強に没頭し、一昨年にはニューヨークの美術⼤学に⼊学許可を得て、いざ渡米。大学ではデザインの基礎を学ぶとともに、企業ブランディングデザインを専攻。「デザインの聖地であるニューヨークには数え切れないほどの優秀なデザイナーがいて、そのような⽅々に追いつき追い越していくために、日々仲間と切磋琢磨しながら経験を積み、卒業後も勉強に励んでいます」

クリエイティブエージェンシーMarine Laneでの作品。4月にリンカーンセンターで行われたSohn Conferenceのイベントスペース空間でのグラフィックを担当

実用性も求められるブランドデザイン

以前、発達障害者向けの劇団を運営する非営利団体のプロジェクトにデザインチームの一員として参加した佐地さん。ターゲットが発達障害者ということで、フォントの選定から配色のバランスなど、ブランドデザインの難しさや責任を強く感じる経験だったという。「通常のデザイン設計に加え、どの大きさのフォントが適しているのか、黄色地に白文字は見づらいか…など、アクセシビリティーの重要性を意識しました。クリエイティブなだけではだめで、実用性を兼ね揃えたデザインが求められます。必ず戦略に立ち返り、ターゲット層を意識し、クライアントが何を達成したいのかを常に念頭に置いて仕事をしています」

食糧廃棄への解決策として、ミールキットサービスのブランディングをテーマにしたパーソンズ美術大学での作品(上: レシピのデザイン、下:UX・UIデザイン)

ブランディングデザインで日本企業の魅力を海外へ

JETRO勤務時代、企業担当者と話す機会が多かった彼女は、企業の戦略や潜在的なニーズを汲み取り、共感する力が養われたそうだ。この経験はクライアント目線に立ちデザインする現在の仕事にも大いに活かされているという。「今はとにかく経験を積みスキルを磨き、まだまだ遅れのある日本のブランドデザインを盛り上げたいと思っています。そしていつかブランディングで⽇本企業のお⼿伝いがしたいです。素晴らしい日本企業を世界に発信し、海外と日本の架け橋になれたら嬉しいです」と今後の展望についても語ってくれた。

「自分の創作物で人の心を動かしたい」とキャリアチェンジを一大決心した当時のパッションは今も消えることはなく、彼女は日々成長を続けている。


佐地真梨子 Mariko Saji

兵庫県出身。ブランドデザイナー。大学卒業後、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)に入構し、海外企業の日本投資を促進する業務に従事。その後、ブランディングデザインの分野にキャリアチェンジを目指し、パーソンズ美術大学にてデザインを学ぶ。卒業後、ニューヨークの広告会社やブランディングエージェンシーなどに勤める。作品集:marikosaji.cargo.site

               

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