〈Weee! 10周年〉日本チームが語る、食卓を支える〝舞台裏〟

北米最大級のアジア系ネットスーパー「Weee!」。最短翌日配送や豊富な品揃えで人気を集め、いまや全米で1日4万件以上の注文が寄せられる、生活に欠かせない存在だ。今年8月18日に創業10周年を迎えた同社の歩みと、日本チームの取り組みを紹介する。


10年の歩みと変遷

中国出身の創業者ラリー・リュウ氏は、米国で中華食材の入手難を実感し、2015年に在米中国系向けのグループ購入代行を開始した。17年には宅配サービスへ転換し、配送エリアをサンフランシスコ近郊から拡大。コロナ禍の20年に急成長し、21年には日本を含むアジア5カ国のオンラインストアを開設、日本チームも発足した。現在は本土48州に配送し、主要都市では最短翌日配送と10万点以上の商品を提供している。

知られざる日本チームの誕生と取り組み

2021年発足の日本チームは、日本人8名で構成され、仕入れとマーケティングを担当している。今回はマーケティング部の福田さん・高野さん・曽我さん、仕入れ部門の木下さん・吉田さんに話を聞いた。

<Q> 発足当初、日本商品の品揃えはどのような状況でしたか

<A> 木下さん:当時はまだ一般的な日系スーパーにある商品が少なく、高額なお米や大容量の醤油など、偏った品揃えでした。そこで「毎日日本食を作る30〜50代の日本人」をターゲットに、まずは定番商品を揃えることから始めました。大手ブランドの知名度ある商品に加え、日本食には欠かせないお米と調味料のラインナップを重点的に強化していきました。

<Q> 品揃えを充実させる中で、印象的だった商品はありますか

<A> 吉田さん:現在もベストセラーの「栃木県産こしひかり」が入荷した際は、大きな反響がありました。米国ではカリフォルニア米が浸透していますが、日本米ならではの美味しさと、比較的手頃な価格が喜ばれたのだと思います。また、2リットルのお茶など重量がある商品も人気です。ご自宅まで配送するため、重たい商品がよく購入されるのは、ネットスーパーならではの特徴だと思います。

<Q> 日本チームの発足でサイトやマーケティングはどう変わりましたか

<A> 福田さん:以前は日本人のスタッフが少なく、商品名やサイト上の表記に不自然な部分もありましたが、徐々に改善し、日本人のお客様向けコンテンツを充実させています。また、欲しい商品を適切なタイミングでご紹介することも意識しています。例えばこの夏のはじめに「創味のつゆ」の取扱いを始めたところ、冷たい麺の季節にぴったりのタイミングでご紹介でき、大変ご好評をいただきました。

<Q> 仕入れで大切にしていることと、お客様の声の活かし方を教えてください

<A> 高野さん:米国で手に入らない日本の商品はまだまだ多く、「日本人のお客様に喜んでいただける商品をいち早く届けたい」という思いで仕入れを行っています。特定のブランド商品に限らず、日本のスーパーでよく見る精肉や海鮮、野菜なども増やしていきたいですね。今年は「薄切りの牛タン」の取り扱いを始めたところ、「待ってました」と喜びの声をいただきました。こうした日本ならではの食材を今後も積極的に提供していきたいです。

曽我さん:お客様の声はチーム全員で確認しています。特に商品ごとのレビューは頻繁にチェックしており、新商品が出る際は反応をドキドキしながら見ています(笑)。また、SNSでの反応もよく確認しており、「この商品が安かった!」といったセールに対するフィードバックも参考にしています。

 

「Taste Life to the Fullest」=「人生を思い切り味わう」は同社が掲げるミッション

 

<Q> 商品の破損を防ぎ、鮮度を保つために、どのような工夫をしていますか

<A> 吉田さん:商品は基本的に冷凍食品・生鮮食材・乾物に分けて梱包しています。冷凍食品や生鮮食材は、鮮度を保つために冷却設備の整った専用倉庫で保管し、冷凍食品は発送時に保冷剤とともに保冷袋に入れてお届けしています。また、瓶入りの調味料や卵などの割れやすい商品は、専用の梱包材でしっかり保護していますのでご安心ください。万一、商品が解凍したり破損した状態で届いた場合は、カスタマーサービスまでご連絡いただければ、個別に対応させていただきます。

<Q> 今後、お客様にどのような商品や体験を届けたいですか

<A> 木下さん:定番商品は徐々に揃ってきてはいますが、日本のスーパーに比べると商品ラインナップに物足りなさを感じられる方も多いと思います。今後は新商品を増やして、品揃えを強化するとともに、お客様に喜んでいただけるセールもより充実させていきたいです。

福田さん:Weee!が「使いやすい」だけでなく「安心して使える」サービスとなるよう、分かりやすいプラットフォームやコンテンツの充実、そして梱包や配送のさらなる丁寧さにも注力していきたいです。これからの季節は、食欲の秋に向けて新しい商品を次々紹介していく予定ですので、ぜひご期待ください。


Weee! 本社の雰囲気をのぞき見
日本チームはこんな場所で活躍中!

カリフォルニア州のフリーモントに本社を構えるWeee!。日々の職場環境と、日本チームの雰囲気をのぞいてみましょう。

『廊下には2015年からの歩みをまとめたイラストがずらっと並んでいます。通るたびに会社の成長を実感します。』(曽我)

『ここはラウンジスペース。コーヒー片手に休憩したり、別チームとも自然に会話が生まれる場所です。』(高野)


『食の会社だけあって、いろんなチームから差し入れが届きます。ちょっとしたおやつタイムが楽しみです。』(吉田)


『日本マーケティングチーム。ランチタイムには食に関する情報交換をよくしており、最近は“Weee!で好きなマグロはどれ?”で盛り上がりました。結果はキハダマグロと角切りで半々でした。』(福田)

               

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