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今、米国の若い世代の間で1970年代後半から80年代にかけて日本で大流行したシティーポップを中心に熱狂的なファンが増えている。ブルックリン区に店を構え、レアものを揃えるフェイスレコードの間宮さんが選ぶ名曲を通して、その魅力を探ってみたい。
タイラー・ザ・クリエーターが山下達郎をサンプリングし人気が再燃したアルバム
米国の人気ラッパー、タイラー・ザ・クリエーターが初のグラミー賞を受賞したアルバム『Igor』に収録されている『Gone, Gone/Thank You』に、山下達郎が1998年にリリースしたアルバム『COZY』の収録曲『Fragile』が使用され、米国での認知度が急上昇したアルバムである。リリース当時、CDが主流な中、マニア向けのレコード生産ということで、少ない枚数で流通したもので、現在は高価で取引されている。もちろんこれはストリーミングにも存在していない。余談だが、タイラーの親友が当店のお得意様で、来店した時に『COZY』のCD版を購入してくれた。その時「せっかくだからタイラーにテレビ電話してCDを見せる」と言い出した。私達は冗談半分に思っていたら、突然、画面の向こうに車を運転しながら話すタイラーが現れ私も挨拶をさせていただいた。
突然有名人と話せるなんて、さすがNYCと思ったものである。
フェイスレコード■
2018年にウィリアムズバーグ地区にオープン(営業は木曜日から日曜日の午後1時〜7時)。シティーポップをはじめ、山下達郎、竹内まりや、坂本龍一、YMOなどに代表される日本の音楽を中心に、ヒップホップや日本盤のジャズロックなども豊富に取り扱う。在庫数は8000枚、新入荷は毎週金曜日。レコードの買い取りも受け付け中。1994年に東京で創業し、現在は日本全国に全6店舗展開中。
間宮祐一
横浜市出身。脱サラし、2015年からニューヨーク在住。18年に同店をオープン。自身も筋金入りのレコードコレクター。また、ヒップホップの楽曲制作も行い、2020年に客演に『Freddie Gibbs』(グラミー賞ノミネーター)を迎えたシングルレコードを発表。座右の銘は「NO VINYL NO LIFE」。