巻頭特集

話題の店が続々オープン!今、行きたい店はここだ!

日本の食とアート、ライフスタイルを集めた50 Norman 

昨年9月にブルックリン区グリーンポイントにオープンした50ノーマンは、3500平方フィートに及ぶ巨大なガレージ跡地に選りすぐりの日本の食とアート、ライフスタイルを集めたマルチコンプレックスだ。随所に日本のエッセンスを感じさせる空間は著名建築家、長坂 常によるもの。ニューヨークデビューとなる3店舗の担当者に出店理由や取り扱い商品などについて語ってもらった。

50 Norman Ave, Brooklyn, NY 11222
www.50norman.com


日本人が創るフレンチを発信
ハウス HOUSE

Q. 出店理由は?

20年間東京に住んで、「どこか違う場所に住みたい」とずっと思っていたんです。1店舗目が軌道に乗れば2店舗目を出すのは比較的簡単だけど、もう少し充実感のある仕事をしたい、新しい挑戦がしたい、と考えてニューヨークを選びました。グリーンポイントに店を出そうと決めたのは、街並みや匂い、行き交う人の雰囲気が昔住んでいた東京の駒沢になんとなく似ていたから。好きな場所でやった方が気分がいいじゃないですか。

Q. 50ノーマンの仕掛け人だそうですね?

物件としてここを紹介してくれた建築事務所ブランクデザインの宮園聡文さんと、「広すぎるので他のお店が入ってくれるといいのだけれど、かといって間仕切りは作りたくない。日本の文化を手にとれるようなお店で、僕らとセンスが合う人たちとやれたらいいなぁ」と話していたんです。もともと僕はシボネの親会社ウェルカムグループにいたので、横川正紀代表に相談をしたらとんとん拍子に話が進んで。尾粂商店は設計を手がけたスキーマ建築計画の長坂 常さんが紹介してくれました。

Q. ハウスではどんな料理を出すのですか?

カウンター形式のおまかせフレンチジャパニーズ(9コース)です。旬の素材を味わっていただくために、ハーブやスパイスで味を調えるフレンチの技法と、発酵とだしで味を調える和食の技法を融合させた、他にはないユニークなメニューを提供しています。シグネチャーは、西麻布店でも出しているフォアグラのピラフ。バターで炒めたお米を魚のアラで炊いて、その上にフォアグラのソテーと柴漬け、グリーンオニオンをトッピングして、照り焼きソースをかける。まさに和仏折衷でしょ。

メニューは食材によって変わる(不定期)。ワインはナチュラルワインのみ。ミシュラン星付きレストランの元ワインディレクターが監修

Q. 食材はどこから?

魚介類と和野菜、お米や漬物は日本から。鴨やフォアグラ、乳製品などは地元の契約農場から仕入れています。

Q. 反応はいかがですか?

ポーションはどれも少なくないと思うのに、(料理を)残す人はいないです。みんな食べるのがすごく早い。「美味しかったよ」と声をかけてくれるお客さんも多いので、喜んでいただいていると思います。

 

 

谷祐二さん
オーナーシェフ

京都府出身。
地元の老舗寝具メーカーで営業を担当した後、京都のフランス料理店「ベルクール」で修行。
その後上京し、いくつかのレストランで総料理長を務めた後2007年、東京・西麻布に「HOUSE Tokyo」をオープン。
15年オーナーシェフに就任。
同店はアンドレア・ファザーリ著「トーキョー・ニュー・ウェーブ」をはじめとした出版物にも多数取り上げられている。
2019年、来米。

house-bk.com

水〜土曜の午後5時から営業


日本のだし文化を発信
尾粂商店 OKUME

Q. 出店理由は?

従来はプロ向けのビジネスが主体だったのですが、一般のお客様にも弊社の製品を知っていただきたいと考え、2021年夏にオープンした日本最大級の食のテーマパーク「VISON(ヴィソン)」(三重県多気郡)に世界初の「オーダーメイドだしパック(特許出願済み)」が作れるコンセプトショップを作りました。同店での手応えをもとに日本食がすっかり浸透したニューヨークで、だし文化をさらに広めたいと考え、「DASHI OKUME BROOKLYN」を出店しました。

Q. ブルックリン店のコンセプトは?

だし(オーダーメイドだしパックの販売)、セレクト(日本全国各地から厳選した米やみそ、干物、ドレッシング、スパイスなど無添加の名産品の販売)、イートイン(上記の食材を使った定食の提供)です。

Q. 主力商品は?

カツオやマグロ、サバなどの節(ブシ)とイワシやトビオウオなどの煮干し(イノシン酸)、昆布(グルタミン酸)、干し椎茸(グアニル酸)を弊社独自の黄金比率でブレンドした、だしパック4種類(スタンダード、プレミアム、東京、京都。それぞれ15、30袋入り)と、お客様の好みに合わせてブレンドする「オーダーメイドだしパック」です。まずは既製品のだしパックで試していただいて、「もっとパンチが欲しい」「○○のだしに使いたい」などといったお客様の好みや使い方に応じて原料の組み合わせを一緒に選び、原料を粉砕して充填機で袋詰めにします。全工程をお客様の目の前で行いますので、品質や鮮度は折り紙付き。一般のお客様はもちろん、ミシュラン星付きのレストランのシェフからも好評をいただいています。

「オーダーメイドだし
パック」のカウンター。
パックにしなくても鰹節や昆布などをオンス単位で購入できる

Q. 今後の予定は?

ミシュラン星付きレストランのシェフとのコラボイベントを開催します。詳細はインスタグラムで発表します。ご期待ください。

奥のカウンターやテーブル席では同店で販売するだしや味噌、一夜干しを使った焼き魚定食(35〜45ドル)が食べられる

 

高橋利斉さん
開発・企画担当副部長:

okume.us


尾粂商店 okume.jp

魚市場発祥の地・日本橋で明治4年に創業し、今年で151年目を迎える水産仲卸の会社。現在は東京都中央卸売市場・豊洲市場で水産加工品の他、だしの素となる乾物、昔ながらの無添加や天日干しの製法にこだわった塩干加工品、全国の目利きが厳選した無添加食品や食材など200種類以上の品を取り扱っている。

               

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