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プライマリーケア医師(PCP=Primary Care Physician、 主治医)が扱うのは、メンタル面の問題や精神疾患の比較的軽症のケースです。PCPは患者の症状と重症度を診断し、精神疾患の既往歴がある/症状が長期化しているなど、重症かつ複雑なケースは、精神科などの専門医にできるだけ早くつなげます。
家族を亡くすなどショックなことがあり、気分が落ち込み夜も眠れなくなった人がいたとします。不調の理由が明らかで、かつ患者が日常生活を何とか問題なく続けられている場合、短期的な薬の服用が有効なケースがあります。その場合も、PCPは薬を処方して終わりではなく、患者の様子を定期的にモニターし、厳密な管理下で睡眠薬や精神安定剤による治療を行います。
特にメンタル面の症状が初めて出た人の場合、PCPは各種の検査を行い、体に病気や異常がないかを調べます。極度の貧血や甲状腺の問題、ホルモンバランスの乱れなどが原因となり、うつ病やその他の精神疾患に似た症状が現れることもあるからです。
身体的問題を治療してメンタル面の症状が解消することもあれば、症状が重いケースなど、体の治療と同時に精神科医師による薬物療法を受けた方が良い場合もあります。
患者の話を聞くことも、PCPの重要な役割の一つです。軽症のケースでは、PCPに悩みや苦しい気持ちを話すだけで症状が改善する人もいます。
あります。食欲減退・下痢・便秘など胃腸の問題や、頭痛・腰痛・腹痛など体の痛み、倦怠(けんたい)感、睡眠障害、摂食障害などは、精神疾患や強いストレス、うつ、不安など、メンタル面の問題によって起きやすい代表的な症状です(表参照)。
最近も、体の不調を訴えて来院した人が、体に問題はなく、極度のストレスが原因だったケースがありました。検査で異常が見つからず、メンタルの影響を疑って話を聞いたところ、家庭で問題があり、職場でも緊張が続いていたことが分かりました。
子供の場合、転校などで急に環境が変わったりすると、ストレスから頻尿になることがあるので、保護者は様子を観察してください。急に学校に行きたがらなくなった、朝起きられなくなったなどのケースも、メンタル面の問題が絡んでいることがよくあります。
注意点として、これらの症状は、体の問題や病気が原因で起きている可能性もあることを強調しておきます。メンタル面の問題だと決めつけず、PCPの検査と診断を受けることが大事です。
精神疾患への偏見は根強く、特に子供の問題を認めたがらない保護者は少なくありません。最終的に適切な治療によって回復に向かうケースが多いのですが、治療が遅れると症状が長引き、親も子供もその分つらい思いをすることになりかねません。
PCP、精神科医師、セラピストなど、PCPを中心に異なる分野の専門家が協力し、個々の患者に最適な治療を提供するアプローチです。
PCPは体の治療と患者のモニター、精神科医師は薬物療法、セラピストは心理カウンセリングなど、お互いに連携して取り組み、治療効果の最大化を目指します。
悩みや気持ちを他人に話すことが、回復への第一歩です。PCPにコンサルテーションの予約を入れ、適切な検査と診断をまずは受けましょう。精神科は受診しにくいという人も、PCPなら話がしやすいかもしれません。PCPの診療をすぐに受けられず、「死にたい」「他人を傷つけたい」という気持ちがある場合は、直ちに最寄りの救急治療室に行くか、「911」(緊急通報用電話)に電話をしてください。
特に来米して間もない人は、身近に相談できる家族や友達が少なく、問題を抱え込む傾向があります。一人で頑張り過ぎず、積極的に外部に助けを求めてもらいたいと思います。
※次回からは、木村・ガルジーナ・留美子先生に鍼灸治療についてお聞きします。
※取材は2月に行ったものです。
加納麻紀先生
Maki Kano, MD
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内科・小児科専門医師(Board Certified)。
マウントサイナイ医科大学卒業後、
同大学とニューヨーク大学医療センター共同の内科・小児科専門医師養成・研修プログラム修了。
米国日本人医師会(JMSA)副会長、
日本人家族と子供に医療関連教育や健康支援プログラムを提供する非営利団体(NPO)「ニューヨークすくすく会」代表。
東京海上記念診療所
Mount Sinai Beth Israel
Japanese Medical Practice
Westchester Office
141 S. Central Ave., #102
Hartsdale, NY 10530
TEL: 914-997-1200
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