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今、米国の若い世代の間で1970年代後半から80年代にかけて日本で大流行したシティーポップを中心に熱狂的なファンが増えている。ブルックリン区に店を構え、レアものを揃えるフェイスレコードの間宮さんが選ぶ名曲を通して、その魅力を探ってみたい。
話題のタイラー ザ クリエイターも影響を受けた 再燃中の矢野顕子の名盤
今回は、ニューヨーク在住でライブも頻繁に行っている矢野顕子の『ト・キ・メ・キ』をチョイス。ピアノサウンドに心地よいボーカル曲『大きな石、アンダンテ』や、ジャパニーズ・ファンク・ディスコのノリの良い楽曲などが収録された聴きごたえのあるアルバムだ。
当店ではこの『ト・キ・メ・キ』、1977年の『いろはにこんぺいとう』、81年の『ただいま』が人気で、中でも『ト・キ・メ・キ』のエンディング曲は、人気ラッパーのタイラー・ザ・クリエーターの最新アルバム『CHROMAKOPIA』の『Balloon(feat. Doechii)』にも使用されている。タイラーと言えば、山下達郎の『COZY』からも楽曲を引用し、続けて日本の有名アーティストをサンプリングしているとあって、最近日米の音楽業界でも話題だ。同曲の、テクニカルで皮肉たっぷりの彼のラップと、新進気鋭の女性ラッパーのパンチのあるバースをぜひ体感してみて。
フェイスレコード■
2018年にウィリアムズバーグ地区にオープン(営業は木曜日から日曜日の午後1時〜7時)。シティーポップをはじめ、山下達郎、竹内まりや、坂本龍一、YMOなどに代表される日本の音楽を中心に、ヒップホップや日本盤のジャズロックなども豊富に取り扱う。在庫数は8000枚、新入荷は毎週金曜日。レコードの買い取りも受け付け中。1994年に東京で創業し、現在は日本全国に全6店舗展開中。
間宮祐一
横浜市出身。脱サラし、2015年からニューヨーク在住。18年に同店をオープン。自身も筋金入りのレコードコレクター。また、ヒップホップの楽曲制作も行い、2020年に客演に『Freddie Gibbs』(グラミー賞ノミネーター)を迎えたシングルレコードを発表。座右の銘は「NO VINYL NO LIFE」。