巻頭特集

繊細なセンスでニューヨーカーを魅了している日本人の女性アーティストたちを紹介

ここニューヨークには、日本人ならではの繊細なセンスでニューヨーカーを魅了している女性アーティストたちが多くいる。女性活躍が叫ばれる今、今号は当地で活躍する注目のアーティストを紹介する。(取材・文/中沢絵里奈)


型破りなデザインで魅了するネイルアート
ネイルアーティスト 川尻メイさん

「ネイルズ・バイ・メイ」の名で活動し、個性的なネイルデザインで有名モデルやセレブをとりこにしているのは、ネイルアーティストの川尻メイさんだ。今や売れっ子であるメイさんの顧客には、モデルのジジ・ハディッドやシンガーのデュア・リパなどそうそうたる名前が並び、あのマーク・ジェイコブスからも直々に仕事のご指名があるとか。

メイさんが来米したのは2012年。当時、ニューヨークに住む知人に移住を勧められると、数週間後にはポートフォリオとネイル道具を携えて単身で乗り込み、現地のサロンで働きながら早々に永住権も取得した。「なんでも早く行動した方がいいですよね」と語るその行動力とスピード感があるからこそ、今の活躍があるのだろう。

盛り盛りでクレイジーなデザインは、一度見たら忘れられないインパクトがある

ネイルアートは時に会話を生み、人と人の輪を広げてくれるパーツだ。幼少期から絵を描くことが好きだったというメイさんも、「せっかくなら人の目に触れるものにアートをしたい!」という思いからネイリストの道を選んだ。「ネイルは10本で一つのアート。溢れるようにアイデアは浮かんできますよ」と天真らんまんな笑顔を見せる。

今では20年にもなるネイルアート歴だが、アメリカに来たことで自身のデザインも大きく変化したという。来米当時は長いネイルをする人が少なかったことから、「なら逆を行けば絶対アイコニックになる」と思い切り長さを出し、次第に現在の派手なスタイルを確立。「ニューヨークはダイナミックな都市やから、自分の表現もダイナミックにしないと誰も気付いてくれないんやなと。でもだからこそ、日本人らしい繊細なディティールの表現も失わないようにしていますよ」。

日本で培った細やかな技術や表現を掛け合わせた他にないネイルデザインは、一流アーティストたちからの呼び声も高い。

譲れない仕事の美学

そのファンシーなルックスとは裏腹に、「昨日より何かステップアップしていたいし、一度やったことはやりたくない。アーティストとして仕事させてくれる人とだけ仕事がしたいんです」と真剣な表情のメイさん。高い向上心とブレない美学を貫きながら、最近はより日本の素晴らしさを認識するようになり、日系スーパーに足を運ぶことが増えたとか。

ドラッグクイーンとのコラボも

そんなメイさんにおすすめのネイルを聞くと、「再ブームになっているエアブラシや、オーロラやメタリックのエフェクトが効いたカラー、アブストラクト(抽象的)な3Dアートなんかもかわいくておすすめですよ!」と教えてくれた。

残念ながら現在は新規のお客は受け付けていないが、常に人の想像を超越するデザインで楽しませてくれるメイさんの奇抜なネイルを、インスタグラムでチェックしてみる価値はあり!

川尻メイさん

京都府出身。
京都、六本木などでネイリストとして経験を積んだのち、原宿の自宅に自身のネイルサロン「フォクシー」をオープン。
2012年に来米し、ソーホーのネイルサロンで勤務後、フリーランスに転身。
現在は「ネイルズ・バイ・メイ」として、セレブリティーを中心に多くの顧客を持つ。
Instagram: @nailsbymei

関連記事

NYジャピオン 最新号

Vol. 1245

春到来! 週末のプチお出かけ 〜ハドソン川流域・キャッツキル山麓編〜

桜の花も満開を迎え春の行楽シーズンがやって来た。ニューヨーク市内から日帰りできるハドソン川流域・キャッツキル山麓の人気のスポットを紹介しよう。

Vol. 1244

オーェックしよ

コロナ禍で飲食店の入れ替わりが激しかったニューヨーク。パン屋においても新店が続々とオープンしている最近、こだわりのサワードウ生地のパンや個性的なクロワッサン、日本スタイルのサンドイッチなどが話題だ。今号では、2022年から今年にかけてオープンした注目のベーカリーを一挙紹介。

Vol. 1243

お引越し

新年度スタートの今頃から初夏にかけては帰国や転勤、子供の独立などさまざまな引越しが街中で繰り広げられる。一方で、米国での引越しには、遅延、破損などトラブルがつきもの、とも言われる。話題の米系業者への独占取材をはじめ、安心して引越しするための「すぐに役立つ」アドバイスや心得をまとめた。