巻頭特集

2020年秋冬にニューヨークで新たにビジネスを始めたオーナーたち

Jスペック (和牛専門レストラン)

「見極める」ことがカギを握る!

高級なイメージばかり先行する日本産和牛に、親しみを持ってほしい——。食肉卸業者のトモエフードサービスが、そんな情熱を胸に昨年11月にオープンしたのが、イーストビレッジにあるレストラン「Jスペック」だ。

同店最大の特徴は、卸業者だからこそ実現するリーズナブルな価格と、スタッフの肉に対する見識の深さだろう。

例えば、和牛すき焼き丼は23ドル(ランチは22ドル)。その他にも、「和牛だし、とりあえずステーキで」という安易な楽しみ方はもったいないとばかりに、普段あまり出合わない部位も数多くメニューにそろえているのが魅力だろう。

直営レストランの構想自体は2、3年前からあったようで、このコロナ禍は「新しいことを始めてみるチャンスかもしれない」と、ポジティブな発想に舵を切ったとのこと。

 

日本産和牛の美しい霜降り一つでも、部位によって特徴があり、そういったバラエティーもぜひ知ってほしい、と酒井さん

 

店舗物件を基軸にする
発想の転換で迅速化

同店を任された「肉マスター」こと酒井純平さんいわく、今回の出店では飲食店作りにおいて新たな発想を取り入れた。それが「店のコンセプトに合う物件探し」ではなく「物件を決めてから店を作る」というもの。

近年まれに見る買い手市場となったニューヨークは物件が選びやすく、値段交渉も現実的だ。だからこそ好条件の物件を選び、それに合わせてサービスや内装をカスタマイズする方向で進めた。

「メニュー内容や内装のコンセプトが少しブレるかもしれませんが、『日本産和牛の普及に貢献する』という根底のコンセプトは絶対にブレることがないので、大丈夫です」と酒井さんは笑う。

「Jスペック」の店舗は、元が高級すし店で内装もある程度充実していた。おかげで、オープンまで4カ月というスーピーディーな門出が実現したのだ。

イレギュラーは承知の上
何事もとにかく実践!

オープンした瞬間に、暫定復活していた屋内飲食に再び営業時間制限がかかり、3〜4週間後には屋内営業は全面禁止に。

飲食業界にとって致命的措置ではあったが、そんな困難も同店は織り込み済み。従業員数ははじめから最小人数にとどめ、意欲的な企画は即実践。企業が展開する飲食店としては異例ともいえるフットワークの軽さを武器にしてきた。

その例の一つが、店舗前でのマーケット(精肉販売所)の設置。いわゆる「街のお肉屋さん」のような親しみやすい雰囲気の中、選び抜いた日本産和牛や豚肉、ソーセージなどの加工肉を取り扱う。

「『とうもろこし豚』はロ

ースはあっさりしているので揚げ物に、そして脂の多いバラは薄切りにして、鍋物に入れると相性がいいですよ」と、スタッフがよどみなく説明。部位に関する豆知識など、専門家だけが知る耳寄りな情報もゲットできるのだとか。

こちらのマーケットは、2月末まで、全商品を25%オフで提供している。

「外食をしなくなった人が増えている今、とにかく知名度を上げることが重要だと考えています」と酒井さん。日本人の認知度は低めだが、すでに5回以上注文しているリピーターがいるなど、店側は手応えを感じている。

100%の力でオペレーションできる未来に向けて、酒井さんたちは今日も日本産和牛と向き合う。

なお同店は、1月25日〜31日(日)に開催される、レストランウィーク・トゥー・ゴーに参加中。和牛ステーキ丼を、20ドル21セント(参加店の一律価格)で提供している。

7オンス(約200グラム)の和牛をふんだんに使った、和牛ステーキ丼(通常55ドル)。メニューは随時インスタグラムで確認を

 

同店いわく、マーケットの肉類は他店より最大50ドルほど安く提供できているとのこと

 

「肉マスター」の酒井純平さんは、元「焼肉ふたご」のマネジャー

 

店舗前に構えたマーケットで肉を販売中

Photo by J-Spec

J-Spec

【オープン】2020年11月(当初のオープン予定=同じ)
【従業員】6人(現場スタッフのみ)
【営業時間】火〜土曜日 午後12時〜9時
239 E. 5th St.
(bet. 2nd & 3rd Aves.)
TEL: 212-287-0107
Instagram: @jspec.wagyu.nyc

 

 

 

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