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ゾーラン・マムダニ氏がニューヨーク市長に当選
民主党候補のゾーラン・マムダニ氏が、今月のニューヨーク市長選で歴史的勝利を収めた。ウガンダ生まれのイスラム教徒で、「民主社会主義者」を標榜する彼は、公営バスの無料化や家賃凍結といった公約を掲げている。Z世代を中心とした若者などの支持を得て、“市民目線”の政策を掲げた異色の若手候補が、いよいよ市政のトップとなる。マムダニ氏を知るための4つのポイントを紹介したい。
Q1. どんな人物?

A. 1991年ウガンダ生まれのミレニアル世代で、インド系移民を両親に持つイスラム教徒。幼少期をウガンダ、南アフリカで過ごした後、7歳でニューヨーク・マンハッタン区のモーニングサイドハイツ地区に移住。2021年、クイーンズ区アストリア地区を地盤にニューヨーク州議会下院議員に初当選した。父は政治学者のマフムード・マムダニ氏、母は『モンスーン・ウェディング』で知られる映画監督・ミーラー・ナーイル氏という、教育・文化への関心が高い家庭で育った。 20代の頃には「Mr. Cardamom」などの名でラッパーとして活動したことでも知られる。
Q2. 就任後に注目される政策は?

A. 主な公約として家賃凍結、公営バスの無料化、幼児保育の無償化、最低賃金の時給を30ドルに引き上げ(30年まで)などの生活支援などを掲げる。また社会住宅の新設、市運営食料品店の展開など、都市の再分配モデルを提案。財源は大企業や富裕層への増税、市債発行を想定する。こうした政策の背景にあるのが、マムダニ氏が掲げる「民主社会主義」という理念。これは、資本主義の枠組みの中で、個人の自由や民主主義を尊重しつつ、住宅、交通、教育、医療といった基本的な公共サービスをすべての人に保障しようとする考え方。
Q3. ニューヨーカーの支持を集めた選挙の勝因は?

A. ニューヨーク市の物価や家賃の高騰が続く中、家賃凍結、公営バスの無料化、幼児保育の無償化など、生活に根ざした支援策を前面に掲げ、市民から幅広い支持を集めて、歴史的勝利を収めた。選挙戦では、10万人以上のボランティアによって、戸別訪問などの草の根的なキャンペーンを展開。さらに、トランプ支持者はじめ市民に声を聞くインタビュー動画を投稿するなど、SNSを駆使することで若年層の注目を集めた。また、ニューヨーク市は移民都市であることも強調し、トランプ政権下の移民政策で不安を抱えてきた移民コミュニティーからも共感を得た。
Q4.マムダニ氏とトランプ大統領、そして主要政党との関係は?

A. マムダニ氏はトランプ大統領を「民主主義への脅威」と名指しで批判するなど、明確な対立姿勢を取ってきた。トランプ大統領も「共産主義の狂信者」と中傷するなどしており、両者の対立は今後も大きな注目を集める。民主党内では、バーニー・サンダースやアレクサンドリア・オカシオ=コルテスら進歩派が積極的に支援する。一方、シューマーら中道派は一定の距離を置くなど、党内での温度差も浮き彫りに。共和党からは強い反発の声が上がっており、マムダニ氏の登場によって米国政治の党対立に新たな構図をもたらされることが予想される。



