巻頭特集

激動のコロナ禍教育 リモート授業に自宅学習…利点と弊害とは

オンライン母親座談会
「遠隔授業の不安」

参加者紹介

Aさん

(マンハッタン在住)
6歳(2年生)と5歳(キンダーガーデン)の息子

Bさん

(ニュージャージー在住)
9歳(4年生)の息子

Cさん

(ニュージャージー在住)
6歳(1年生)、4歳(プリK)、2人の2歳(プリスクール2s)

Dさん

(マンハッタン在住)
12歳(7年生)の息子と8歳(3年生)の娘

……………………………………………….

河原その子さん
学校コンサルタント


新型コロナ感染拡大が続く中、子供の遠隔授業に対して、保護者の不安や懸念が大きくなっている。子供を持つ母親4人がオンラインで顔を合わせ、その悩みや不安・問題点について、学校コンサルタントの河原その子さんに聞いた。

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河原 遠隔授業で子供の集中力が続かず、理解力が低下するなどの不安を感じているお母さんが多いようですね。

Aさん 6歳と5歳の息子がいますが、下の子は、「他の生徒が先に答えちゃう」とか「先生が当ててくれない」と怒って、席を外してしまうときがあり、じっとしていられないんです。

Bさん うちの9歳の息子はダイニングルームで授業を受けていますが、ずっと座っているのがつらいようで、立ち上がったりトイレに行ったりして、ちょっと集中力が欠けているのではと思います。

Cさん うちは子供が4人いて、何か問題が起こったら助けていますが、なかなか手が回らないです。

Dさん うちは12歳と8歳ですが、上の子は自分が映ってないときは集中できないと言っています。一方、下の子は普通に画面の前に座っているので、うまくいっていると思っていたら、面談で先生から「画面になると集中できてないね」と言われ、本人に伝えたらワーッと泣いてしまって。

河原 今回のことは先生も経験したことがないので、言葉の掛け方が分からないと思います。ですので、先生に言われたことをあまり真剣に受け取らずに。子供が長期間、画面に集中して勉強するなんて、今回が初めてですから。特にキンダーや低学年では、「学力が遅れる」と心配する必要はないと思います。

子供の学力や
到達点を知りたい

 とはいえ、やっぱり心配なのが親心で。学年ごとの到達点に子供が達しているか、確認できる教材などを伺いたいです。

河原 日本の教育指導要綱のようなものとして、「エンゲージニューヨーク」(engageny.org)というサイトがあります。各科目が学べるオンライン講座「カーンアカデミー」(ja.khanacademy.org)もとてもいいです。アメリカの公立学校の教え方を用いていて、学年ごとに学ぶ内容が分かるのでゴールが見えます(※それぞれ、次ページで詳しく紹介)。

自分でも学力テストを受けてみるといいですよ。インターネット上で、見本テストが出てきますので、子供が分からない時の教え方とか、子供の苦手な分野も分かって、気持ちも理解できます。他にも良い教材はいろいろあるので、先生に聞いてみるのもいいかもしれません。

ユーチューブなどの問題

 子供のクラスメートが、2カ月間ずっと授業中にユーチューブを見ていたことが発覚したそうで、その子のお母さんがショックを受けていて。

河原 子供はユーチューブやゲームをやりながら、罪悪感を感じているんです。でも授業はつまらないし、付いていけないし、授業から逃げている訳で子供もつらい。周りはそういうところを注意して見てあげるといいですね。

ゲームも授業終了後の1〜2時間、たまには満足のいくまでやらせてあげたら、子供は安心します。叱るのではなく、「授業が終わってからやればいいじゃない」と理解させれば、子供も正直に言うようになります。そのコミュニケーションが大切です。

親同士の交流は大きい

 今年はクラスメートのお母さんたちとのおしゃべりがないので、それも心配です。

 私は補習校のお母さんたちと毎週会って意見交換をしていて、とても助かっていますよ。

河原 クラスメートのお母さんに横のつながりがあるのは、すごく大きいですね。煮詰まったときには人に話した方がいいので、例えば、授業後に15分間だけ保護者同士で気軽に話をする、オンライングループを作るのもいいかもしれません。

 それ、すごくいいアイデアだと思います。

河原 「今はみんなが新しいことに手探りで挑戦しているときなのだ」という思いが、共有できているといいですね。

母親がラクなのが
一番必要なこと

河原 実は私が一番気にしているのは、子供じゃなくて親なんです。「子供が集中できないのは自分のせいだ」と自分を責めてはダメ。今は心身共に健全でいるために、親が一番楽しく、ラクでいられる方法を考えることから始めていいと思います。

子供の顔を見たくないときは、お母さんは自分の部屋にこもって、例えば映画を観ていてもいいと思っています。それを毎回やっていたらネグレクトになりますが、今はコロナのせいにしてもいいのでは。

母親一同 そうですね(笑)

河原 それは「放っておく」のではなく、自分の子供を「信用する」ということで、非常に勇気がいるんです。でも今回は誰にも正解が分からないのだから、さまざまなやり方を試してみることを恐れなくていいと思います。

お母さんが大らかにしていれば、子供も安心して次に行けます。今は特殊なときだからこそ、子供をどうしようかではなく、まず「自分」がどうしようかというところから始めてみてはどうでしょうか。

               

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