巻頭特集

ビジネスオーナー必見!知らないと損する! アメリカ政府からの 税額控除について

ERCだけじゃない!
知られていないR&Dの実態

Research and Develop-ment Tax Credit(R&D)とは、連邦政府による研究開発における税額控除のことで、申請した年の所得税を減額し、過去3年間に収めた税金に対して、返金が可能となる。 また多くの州が独自のR&D税額控除を実施しているため、該当する企業は連邦、そして州の両方の控除を受けることができる。

R&Dは、元々1981年に一時的に発足していたが、15年に制定されたPATH Actにより恒久的に確立され、さらに多くのビジネスが申請できるよう、大幅な制度改正が行われた。

R&Dは業種やビジネスのサイズに関係なく申請できるが、多くの企業にとって、全くと言っていいほど馴染みのないプログラムである。そのため、自分たちが行っている業務が、実はR&Dの条件を満たしていることを知らないケースが多いようだ。

ぜひともこれを機にR&Dへの正しい理解を深め、政府が打ち出している企業救済策を有効に活用してほしい。


CASE STUDY/実例

歯科医院
従業員9人 $60,000

製造業
従業員40人 $196,000

ソフトウェア開発
従業員7人 $430,000

ゲーム開発
従業員28人 $617,500


R&Dの申請条件って?

  • 約10万ドルの事業運用費が掛かっている。
  • 所得税もしくは給与税を支払っている。
  • 新しい製品・技術・ソフトウェアの開発/改良、または業務プロセスの改善を行なっている。

R&Dに該当する業種リスト

R&Dは65以上の業種が対象となる優遇税制プログラムだが、残念ながらほとんど有効に活用されていない。もしかするとあなたのビジネスも、R&Dの対象になっているかも?

■製造業
・自動化サービス
・自動車
・モータースポーツ
・プラスチック包装
・布製品
・工具・金型
・CNC加工・プログラミング
・3D印刷・プログラミング
・ファッション
・開発/製造/プラスチック射出成形
・紙加工・印刷所
・エンジニアリング
・輸送(物流、ロジスティクス、鉄道)
・MEMSデバイス(微小電気機械システム)

■ソフトウェア・テクノロジー
・フィンテック/銀行
・電子商取引
・クリエイティブ・エンターテインメント
・IT
・ロジスティックス
・アルゴリズム・アナリティクス
・サイバーセキュリティー
・衛星通信・軍事通信

■資源・エネルギー業
・バイオ燃料
・石油・ガス
・再生可能エネルギー

■エンジニアリング業
・土木工学
・CAD
・防衛
・電気工学
・エレクトロニクス
・海底技術
・海洋工学
・機械工学
・廃棄物管理
・航空宇宙
・建設エンジニアリング
・海産・海運業
・エンジニアリング
・ロジスティックス
・生化学工学
・化学工学、ロボット工学

■食品・飲料
・食品科学
・食糧生産
・醸造所
・ワイナリー
・蒸留所/クラフトビール

■農業
・動物衛生
・耕地整理
・牧畜業
・ヘンプ・カンナビス

■科学
・バイオテクノロジー
・化学物質
・複合材料
・臨床研究
・カイロプラクティック
・地質学/物理学
・環境科学
・医療機器
・物質科学
・水文学

■医療
・眼科学
・化粧品
・皮膚科
・体外受精(IVF)
・製薬
・美容整形
・歯科診療所/研究所

■建設
・設備管理
・建築
・デザイン
・BIM/CAD
・防火装置
・土壌修復
・船舶工学


歯科業界向けR&D情報!

R&Dは既存の技術の改善から新しい技術の開発まで幅広い分野が対象となる。歯科業界においては、歯科用レーザー、CAD/CAMデンタルテクノロジー、AR(拡張現実)、歯科オンライン診療、歯科用3Dプリンターが一例として挙げられる。

日々研究開発が行われる歯科医院は、対象となるケースが多く存在するため、自院がR&Dの対象となるのか、以下の例を参考にチェックしてみよう。

R&Dの対象となる業務例

●より効果的で早い、かつ簡単で効率的なプロセスや手順を試している。

●各工程において新しい素材、または違う素材を使用した結果の測定を行なっている。

●プロセス・パラメータの改善を行なっている。

●出版につながる調査をしている。

●歯科業界ではすでに認知されている方法であっても、院内では初めて導入された、もしくは改善された方法がある。

実際にR&Dをもらった人に聞いてみた!

 

歯科医師
スコット・ウェスタ―マイアーさん

50万ドルのR&Dがもらえると聞いたときには、びっくりしました! インプラントの手術や修復、CAD-CAMの修復や実験費、労働費、材料費などのすべてがR&Dの対象になります。今は他の歯科医院にも、この政府スポンサーのプログラムについて伝えていくとともに、自分たちの業務プロセスを日々見直して、改善していく必要があるというミッションを感じています。

「ERCもしくはR&Dの条件に当てはまるかもしれない」「ERCとR&Dどちらももらえるかも」「該当するかは分からないけどもっと詳しく知りたい」という方はジャピオン又はレイトン社までお気軽に問い合わせください。

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