巻頭特集

特製おせち料理で 新年を寿ぐ

新年を迎える節目に家族や大切な人と、縁起物が詰まったおせち料理で華やかにお祝いしたという人も多いでしょう。今回は、おせち商材の売れ行きや、在住者によるお正月の過ごし方&おせち料理などを紹介。(取材・文/伏見真理子)


今年のおせち事情をリサーチ

日米ともに続く物価高の中、迎えた新年
おせち商材の売れ行きはいかに!?

今年の日本のお正月は「おせちショック」と言われるほど物価高がおせち商材を直撃。おせち料理の平均価格は約1000円アップした(株式会社帝国データバンク調べ)。その背景にはおせち料理に欠かせない鮮魚価格の値上がりがあげられた。外国産が多い鮮魚類は円安や原油高の影響により仕入れ値が上昇しやすく、品質維持を目的に価格アップに踏み切らざるを得なかったようだ。

ニューヨークのお正月商材にもその「おせちショック」は大きな影響を及ぼした。家計を圧迫する物価の高騰が続く中でも、せめて元旦は縁起物として日本と同じようにおせち料理やお雑煮、お正月飾りなどでお祝いしたいと思う人もいれば、「今年はシンプルにお雑煮とお刺身だけでお祝い」や、「自宅で何品か手作りおせちに挑戦してみた」という在住者が多くみられた。

実際に今年はどのような影響があったか、ニューヨークに住む日本人の食と暮らしを支える日系スーパー「DAINOBU」の代表取締役社長の台信康之氏に話を伺った。

店頭に並ぶおせち商材

─今年のお正月商品の反響や売れ行きはいかがでしたか?

値上げの影響でお正月用品は全般的に例年より苦戦したと思います。特におせち商材は元から価格が高いので数パーセントの値上げでも差額が大きくなります。今年は値上げの幅が昨年に比べ3%から15%になりました。

価格の値上げは、新型コロナによるパンデミックの影響で日本からの物流の動きが停滞し、コンテナによる物流の価格が2、3倍へと上昇した時から始まり、また、昨年の夏頃から続く物価の高騰、歴史的な円安などが背景にあります。

普段よく使う食材は全体的に値上がりしていて、例えば卵でも以前よりも約3倍値上がりしています。円相場や物流費など前よりは緩和された部分はあるのですが、日本国内の値上げの影響が根深く、商品によってはまだ上がり続けています。

今年のお正月商材の中でも、栗金・黒豆・田作りが例年より出ませんでした。おそらく、今年はご自身でお作りになられたという方が多かったのではないかと思います。

─昨年と比べて売れ行きはいかがでしたでしょうか?

今年は良くありませんでした。値上がった分、売れ行きは低下しているのが現状です。

─今年の抱負を教えて下さい。

インフレが少しでも落ち着くことを願います。

私どもの商品は毎日お使いになられるものばかりなので、価格はやはり一番大事な部分かと思います。値上げの理由は色々あると聞いておりますが、結果的にとんでもない上り幅になっていて、お客様の家計や私どもの営業にも深刻な問題となっております。一日も早い正常化、景気の回復を願います。

ニューヨーク市内に4店舗展開するダイノブ他、レストランやフードデリバリーサービスなど幅広くプロデュースしている。

DAINOBU(West 56th店)
36 W. 56th St.
TEL: 212-707-8525
dainobunyc.com

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