巻頭特集

ニューヨークの ワイナリーを巡ろう!

カリフォルニアに代表されるアメリカのワインだが、ニューヨークにも多くのワイナリーがあるのをご存じだろうか? この季節、市内からも週末旅行で楽しめるワイナリー巡りもおすすめだ。(取材・文/菅礼子)


ニューヨークワインの魅力を
プロのソムリエに直撃!

アメリカのワインはカリフォルニア州に代表されるが、ニューヨーク州も全米屈指のワインステートといわれる。州内には代表的な5つの生産地があり、ワイン生産量もカリフォルニア州、オレゴン州に次ぐ、全米第3位の生産量を誇る。

ニューヨークワインの魅力を、ワインソムリエの佐藤知大さんに伺った。

広大なニューヨーク州では大小合わせて5つのワイン生産地域があるといわれている

―ニューヨークワインの特徴を教えてください。

マンハッタンから⾞で2時間ほど東へ⾛ればロングアイランドのブドウ畑に囲まれます。大都会のイメージが強いニューヨークは意外にも470以上のワイナリーを抱えています。

アメリカのワインといえば、北緯38度に位置する温暖なカリフォルニア州ナパバレーに代表されるような⼒強く⾻太なものをイメージされる⽅も多いと思います。それに対して北緯41度から43度のニューヨーク州は気候的には冷涼な⽣産地域。ニューヨークワインの性質はナパバレー産とは⼤きく異なり、栽培されるブドウ品種とアルコール度数に違いが表れます。

⼀般的にナパバレーで作られるワインはカベルネソービニヨンやシャルドネなどのブドウを使い、オークだるを⽤いてアルコール度数を15%以上の高めに仕上げます。それに対し、ニューヨークワインはカベルネフランやリースリングなど耐寒性のある品種をステンレススチールタンクで14度以下の低めのアルコール度数にするのが特徴です。

―代表的な生産地域を教えてください。

ニューヨークワインはAVA(American Viticultural Area)と呼ばれるワイン⽣産地域から作られ、代表的な2つがフィンガーレイクスAVAとロングアイランドAVAです。それぞれが⽔域の影響を恩恵として受ける共通点があります。

例えばフィンガーレイクスでは、11の湖から⽴ち上がる温⾵によって、厳冬期でも湖畔の気温が温暖に保たれ、ブドウの⽊を冷害から守ってくれます。

―ニューヨークワインの魅力とは?

多様性に富み、さらに労働者の職場の安全や環境に負荷の少ない生産方法、経済的公平性の向上などを目的に、ロングアイランド・サステナブル・ワイン・グローイングなどの組織が、早くからサステナブルで環境にも配慮したワイン造りを⾏っています。

ニューヨークワインは各ワイナリーのオンラインから購⼊することも可能ですし、ぜひワイナリーにも⾜を運んでみてください。

 

 

お話を聞いた人

佐藤知大さん

2016年よりCourt of Master Sommeliers、Sommelier Society of AmericaでCertified Sommelierの資格を取得後、アメリカ最大のチャリティー・ワイン・イベントAuction Napa Valleyでソムリエを務める。
現在はさまざまなシェフとワイン・ペアリング・ディナーを行うレストラン「Resident」でソムリエとして勤務。
Instagram: @tomosatonyc


ツアーで簡単にワイナリー巡り!

ドライブが必須となるワイナリー巡り。ツアーに参加すれば複数のワイナリーを車で回れるので、ストレスがないのがいい。

HIS

 

 

 

 

 

HOKUTO International

 

 

 

 

 

関連記事

NYジャピオン 最新号

Vol. 1217

紅茶をめぐる冒険

初秋の訪れとともに飲みたくなるのがポットで淹れた紅茶。茶葉やブレンドによって異なる香りと味は、私たちをくつろぎと恍惚の世界に誘い、またある時は懐かしい記憶を辿る道標にもなってくれる。極上の一杯を求めて、ニューヨーク紅茶めぐりの旅、はじまりはじまり。

Vol. 1216

進化し続けるトイレの世界

日本が世界に誇る「おもてなし」文化の象徴といえるトイレ。高品質なだけでなく、利便性の面でも多種多様な機能を備え進化し続ける日本のトイレ製品。日米のトイレ事情の違いなど、今号ではさまざまな角度からトイレについて学んでみよう。

Vol. 1215

今気になるヘアサロン&大人の男が通う新・バーバー

コロナ禍で指名のスタイリストが帰国したり、お店がクローズしたりと何かとアップデートが必要になるヘアサロン事情。髪質やニュアンスの違いを理解してくれるのはやっぱり日系のサロンという人も多いだろう。髪の悩みやイメージチェンジなど、顧客のさまざまなリクエストに応えてくれるヘアサロンを特集。

Vol. 1214

新学期にむけて文具にこだわる

米国は9月から新学年がスタート。8月後半ともなると子供たちは学用品や通学バッグなどの新調に躍起になる。学習でも仕事でも毎日使う文具だから、やはりこだわりたい。円安の恩恵で、直輸入の日本製文具が求めやすくなった。ニューヨーク市内で入手できる良質な文具の最新事情をまとめてみた。