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年末はクリスマスや忘年会、年越しなど、ホームパーティーをする機会が増える時期。料理やおもてなしでゲストに楽しんでもらえるために、ホストが知っておくべきポイントとは? 今号は、楽しいホリデーパーティーを成功させるためのコツやレシピをまるっとご紹介! (取材・文/中沢絵里奈)
ひでこコルトンさんに聞く
ホームパーティーにおけるおもてなしの極意とは?
ニューヨークでホリデーシーズンを迎えるなら欠かせないのがホームパーティーだ。今回は、自宅でのパーティーを成功させる極意を、当地で人気の料理教室を主宰するおもてなし料理家のひでこコルトンさんに話を聞いた。
――ニューヨークならではのおもてなしについて教えてください。
日本のおもてなしが″静〟だとしたら、ニューヨークのおもてなしは″動〟です。おいしい料理やホスピタリティーでゲストに喜んでもらうのはもちろん、音楽や香りなどのエンターテインメント性でも感動してもらうのがニューヨーク流です。
「3次元のおもてなし」とも言っていますが、部屋に入った瞬間からキャンドルの香りやクリスマスソング、テーブルコーディネート、飲み物といった五感へのアプローチでゲストの心をつかみ、食事で胃袋をつかむ。そして最後はお土産も渡して翌日まで余韻に浸ってもらう。そういったエンタメ性とストーリー性のあるおもてなしが喜ばれます。
――パーティーを盛り上げるおすすめの演出は?
一番最初に口にしてもらう「カクテル」が、その日のムードを決めると言っても過言ではありません。初対面の人や多様な人種が集まるニューヨークでのパーティーでは、避けた方がいい話題も多い中、同じグラスを手にすることで会話や一体感も生まれます。さらに見た目も味も素敵なカクテルが序盤に登場することで、ゲストにその後の食事への期待感と高揚感を与えることができます。シャンパンに好きなリキュールを垂らしたり、イチゴやローズマリーを浮かべたり、簡単な工夫で味も色も幾通りにもアレンジできるのでぜひオリジナルカクテルに挑戦してみてください。
カクテルと共にアミューズブーシュを出したり、なるべくゲストを手ぶらにさせないことも大事。温めたアップルサイダーやエッグノッグも用意すると、ホリデーっぽさを演出できます。
――ホームパーティーをホストする上で大切なことは?
ホストの振る舞いがパーティーの空気を作ります。エンターテイナーになって場を盛り上げながらも、まずは何より自分自身が一番楽しむことです。ホストだってドレスアップし、エプロンは付けないこと(笑)。
とはいえ料理におもてなしに全てを一人で完璧にこなすのは大変なので、手を抜けるところは抜きましょう。冷凍食品や市販のものを取り入れてもいいし、手間暇かかっているように見せて無駄はカットする。ゲストに「こんなの食べたことない!」と感動してもらえれば、その日のホストは大成功です。とにかく「ギブ&ギブ」の気持ちで全力投球することですね。
――気を付けるべき点は?
慌ててしまったりキッチンの中に引っ込み過ぎてなかなか姿が見えなかったりすると、ゲストも不安になってしまいます。当日はなるべく余裕を持ってお迎えできるよう事前の準備をしましょう。
その場所、そのメンバー、そのお料理は一期一会であり、″その日だけ〟のものです。「ここでしかできない体験」を提供してあげると、大切な人たちにとっても一生忘れられない思い出になりますよ。ぜひこれらを参考にパーティーを楽しんでみてください!
ひでこコルトンさん
NY*おもてなし料理家/ライフスタイルブランドアドバイザー
ニューヨーク在住30年。
モルガンスタンレー、UBSでの金融業を経て、40代で料理研究家に転向。
現在は、駐在員妻やセレブらに大人気の「NY*おもてなし料理教室」をはじめ、オンラインサロン「VIRTUAL SALON」やYouTubeチャンネルも運営している。
Instagram:@hidekocolton
知っておきたいひとくちホームパーティー用語パーティー好きなニューヨーカーには、ちょっとした気の利いたおもてなしが喜ばれる。ホストを務める前に、おもてなしに役立つ料理・カクテル用語をおさらいしよう。Amuse Boucheアミューズブーシュ
ひとくち大のオードブル。レストランでは注文した料理の前に無料で提供されるもので、日本でいう「つきだし」。フランス語で「ひとくちの楽しみ」を意味し、パーティーの始まりにも欠かせない。
ホリデーシーズンの定番である、牛乳ベースの甘いホットカクテル。卵、牛乳、シナモン、ラム酒などで作られ、寒い夜にみんなで飲めば芯から体も温まる。ひでこ先生は「食後酒としてもおすすめ」とのこと。