巻頭特集

ロシア人街のブライトンビーチで郷土史色豊かな食べ物を売る店やレストランをご紹介

ブルックリン区最南端のブライトンビーチは、ロシアと黒海沿岸地域からの移民が多く暮らすエリア。地下鉄高架下や周辺には、郷土史色豊かな食べ物を売る店やレストランが軒を並べている。(取材・文/加藤麻美)


人呼んで「リトルオデッサ」
ブライトンビーチって、どんなとこ?

マンハッタン区のグランド・セントラル・ターミナルから地下鉄で約1時間。西はオーシャンパークウェー、東はマンハッタンビーチ、北はベルトパークウェー、南は大西洋に囲まれた約1・6平方キロメートルのエリア、それがブライトンビーチだ。

1870年代後半にドイツ系米国人の鉄道王、ウィリアム・エンゲマンがユダヤ人以外の中流階級向けの海辺のリゾート地として開発。しかし皮肉なことに東欧から移民してきたユダヤ人コミュニティーとして発展した。第二次世界大戦後はホロコーストや対独レジスタンスの生き残りのユダヤ人が移住。1950年代、ブライトンビーチは米国内でも最大規模のホロコースト生存者のコミュニティーの1つだった。

 

旧ソ連在住のユダヤ人が大量にブライトンビーチに流入したのは、75年のヘルシンキ宣言以降である。旧ソ連は、共産主義政権下で迫害されていたユダヤ人約50万人の米国移住を許可。同年から80年にかけて、約4万人のウクライナ人やユダヤ人がブライトンビーチに新天地を求めて移民、ニューヨーク市内最大のロシア人街を形成した。続いて、91年の旧ソ連崩壊と経済危機により、主にロシア語を話す旧ソ連やコーカサス諸国の人たちが移民。ニューヨーク市のロシア系米国人の人口は現在、約70万人と推定されるが、大部分はブライトンビーチとその隣のシープスヘッドベイに居住している。黒海沿岸のウクライナの都市にちなんで、ブライトンビーチが「リトルオデッサ」と呼ばれるのはこのゆえんだ。

 

地下鉄高架下は
フクースナの宝庫

最近ではヒスパニック、アフリカ、中央アジア、中東系などさまざまな人種が流入しているが、ブライトンビーチで「フクースナ(おいしい)なもの」と言ったらもちろん、ロシアや黒海沿岸地域の食べものだ。ボルシチ(ビーツやキャベツ、肉を煮込んだ酸味のあるスープ)やピロシキ(揚げた惣菜パン)、ペリメニ(ロシア風水餃子)、ブリンツ(クレープ)、ナスのキャビア、コトレータ(ウクライナ風カツレツ)、ビーフストロガノフ、スモークフィッシュ、キャビアやイクラ、トルコ産のナッツなど、日本人の口に合うものを挙げたらキリがない。

地下鉄高架下に左右に連なる目抜き通り、ブライトンビーチアベニューにはロシア料理の店やカフェ、真夏でも毛皮をまとったマネキンがショーウインドーを飾る衣料品店、グルメマーケット、惣菜屋、青果店が軒を連ねている。特に青果店はチャイナタウン顔負けの安さ。わざわざ地下鉄に乗って買いに来るだけの価値はある。

 

お惣菜を買って、
ビーチでピクニック

ブライトンビーチアベニューからコニーアイランドのビーチは目と鼻の先。歩いて5分とかからない。お惣菜や飲み物を買って、ビーチで日向ぼっこするもよし、ボードウォークにあるバーで一杯飲んだ後、晩ご飯のおかずを買って帰るもよし。懐にも優しいブライトンビーチグルメ、やみつきになるかも?

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