巻頭特集

焙煎したてのコーヒーが飲みたい

コーヒーは焙煎(ばいせん)してからすぐに香りや味の変化が始まってしまうので、持ち味を十分に楽しむには、焙煎したての豆からいれるコーヒーが一番。そこで、今号では店内焙煎のコーヒーを提供するカフェを紹介する。(取材・文/古村典子)



味にこだわるカフェは
店内焙煎がポイント

コーヒーのおいしさにこだわるなら、やはり自家焙煎した、スペシャルティーコーヒー(注1)をサーブする店がベスト。ニューヨークには自家焙煎をうたうカフェはたくさんあるが、その多くが市内もしくは近郊の焙煎所を使っており、実際に店内で焙煎しているところとなると限られている。

そこで今回は、店内の焙煎マシーンを使い、自社の個性を生かしたフレッシュローストコーヒーをサーブするカフェを厳選した。

 

研究熱心で、常にベストを追求
コーヒープロジェクト・NY・アカデミー

フェアトレード、サステナビリティーを基本とする、いわゆるサードウェーブ・コーヒーのロースタリー&カフェ。自社ブランドのコーヒーを焙煎するだけでなく、他社が焙煎するコーヒー豆も積極的に試してみるなど、とにかく研究熱心。

ロングアイランド・シティー(LIC)の倉庫街にあり、外からはカフェには見えないのだが、店の手前が焙煎スペース、中ほどがカフェ、そして奥はラボ兼セミナールームになっている。

ここではポアオーバースタイル(注2)でミルクを入れず、豆の生産地やいれ方による、味わいの違いを感じてほしい。同店の知識豊富なスタッフが、豆にまつわるストーリーをきちんと説明しながら丁寧にいれてくれる。またポアオーバーでは使う器材(V60、カリタ、オリガミ、ケメックスなど)によって味わいが変わってくるので、どの器材がいいかは、自分が選んだ豆に合わせてスタッフにアドバイスをもらうといい。コーヒーの世界観がどんどん広がること間違いなし。

(注1)豆の供給ルートがしっかりコントロールされ、高い品質を保つコーヒーのうち、SCA(Specialty Coffee Association)による等級テストで100点満点中80点以上のものを、アメリカではスペシャルティーコーヒーと呼ぶ。

(注2)注文に応じて豆をひき、バリスタが1杯ずついれるフィルターコーヒーのこと。

 

イーストビレッジ、ダウンタウン・ブルックリンにもカフェがあり、LIC店で焙煎したコーヒーを提供

 

Coffee Project NY Academy
21-10 51st Ave.
Long Island City,NY 11101
coffeeprojectny.com


こだわりコーヒーのテーマパーク
スターバックス・リザーブ・ロースタリー

日夜観光客でにぎわう同店は、サービスや商品構成が多彩。3フロアにまたがる広大なスペースは、専門性やテーマ別にコーナーが分かりやすくレイアウトされており、初心者からコーヒー通まで楽しめる、まさにコーヒーのワンダーランドだ。

巨大なロースターで豆が焙煎されているのを間近に見ることができるのが最大の魅力の一つだが、さまざまなスタイルのコーヒーが味わえるのも売り。ラテやカプチーノなどのクラフトコーヒーを飲み、軽いスナックをつまむのなら、1階のメインバーへ。豆の原産地や品種、いれ方の違い(ドリップ、ポアオーバー、プレス、サイフォンなど)による味の差が分かる、コーヒーフライトを楽しむなら地下のエクスペリエンス・バーがおすすめ。

また1階左手にあるコーヒー豆カウンターでは、世界各地から厳選した豆を同店で焙煎したものが買える。2階はカクテルバー。

広くてリラックスできる1階メインバー。(写真上)豆販売コーナーでは、豆をクラッシュして香りを試しながら好きなものを探せる(同下)

 

Starbucks Reserve Roastery
61 9th Ave. (at 15th St.)
starbucksreserve.com/en-us/locations/new-york

 

関連記事

NYジャピオン 最新号

Vol. 1244

オーェックしよ

コロナ禍で飲食店の入れ替わりが激しかったニューヨーク。パン屋においても新店が続々とオープンしている最近、こだわりのサワードウ生地のパンや個性的なクロワッサン、日本スタイルのサンドイッチなどが話題だ。今号では、2022年から今年にかけてオープンした注目のベーカリーを一挙紹介。

Vol. 1243

お引越し

新年度スタートの今頃から初夏にかけては帰国や転勤、子供の独立などさまざまな引越しが街中で繰り広げられる。一方で、米国での引越しには、遅延、破損などトラブルがつきもの、とも言われる。話題の米系業者への独占取材をはじめ、安心して引越しするための「すぐに役立つ」アドバイスや心得をまとめた。