こだわりいっぱい 町のお肉屋さん

地元で愛され人々の食卓を支える町のお肉屋さん。店主が直接目利きした肉を仕入れ、常連客のリクエストに応える精肉店で購入するメリットは、いつでも新鮮な肉が手に入るのと、気のおけない店員から肉の選び方や調理法を教えてもらえることだ。本号ではそんな町で愛されている精肉店を調べてみた。(文・取材/伏見真理子)


オシャレでエコなブルックリン区の新世代精肉店

若者にダントツ人気エリアのウィリアムズバーグ地区の東、Lラインのグラハムアベニュー駅から徒歩7分の所に店を構える「ザ・ミート・フック」は、環境と健康に意識の高いヒップスター世代のお肉屋さんだ。

店内はカフェのように明るくて清潔。肉類の他にもオーガニック野菜や少量生産ブランドの調味料が品よく棚に並ぶ。同店では全ての肉を通称ホールアニマル(枝肉)といわれる状態で仕入れ、店内で自家カットしているため、通常スーパーでは見かけない珍しい部位が目を引く。

子羊肉だけでも6部位を取りそろえる

同店の肉の売り上げの半分は生産者に還元。(通常は10分の1)

肉の生産者はニューヨーク州北部および、ペンシルべニア州の契約農場に限定。牛肉(毎週3頭直接入荷)は、全てグラスフェッド(牧草飼育)だ。豚肉(同4〜5頭)と鶏肉(同300羽)は、遺伝子組み換えのないヘリテージ種のみだという。

「ホールアニマルの利点は、自家カットで仕入れ値が抑えられること。骨に近い肉がたくさん取れるのでおいしいし、余すところなく全部位を使うため廃棄が少なく無駄がありません」と話すのは同店スタッフのグレッグさん。

グレッグさん。肉の解体は毎日行う

BBQやホリデーシーズンになると肉の予約が殺到

人気ランキングでは、やはり肉質がきめ細かく柔らかい「リブアイ」がトップだそうだが、グレッグさんのおすすめは、ヒレ肉の頭付近から腹腔の内側に扇状に付いている「バベット」。1頭で2キロしか取れない希少部位で、日本では「ハラミ」と呼びホルモンに分類される。脂が適度に乗った赤身の味わいが魅力だが、米国の一般スーパーでは売っていない。「夏のバーベキューに最適」とグレッグさんもハマっているそうだ。

左が「バべット」、右が「オイスターステーキ」

 

また、霜降りでジューシーな豚肉や濃厚で獣臭さがない小羊肉も売れ筋のお肉。カットの工程で出たクズ肉や骨はソーセージやスープとして利用している。素材そのものがナチュラルなだけに品質もよく、それらをお目当てに遠くから買いに来る客も多い。同店は他に、ブルックリンハイツ地区と州北部の町ハドソンにも支店がある。

チキンブロスやビーフストックの他にラーメンブロスや特製チリなどのスープ類も販売

契約農家直送の有機野菜も買える

The Meat Hook(ウィリアムズバーグ店)

397 Graham Ave., Brooklyn, NY 11211
TEL: 718-609-9300 / themeathook.com

               

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