今年9月にアラ&
観光名所や大企業の本社が集まるニューヨークは、世界を代表する街。ビジターに一般公開をして、いわゆる「大人の社会科見学」を提供する企業や工場が多いのをご存知だろうか? 大人になった今だからこそ知りたい、大人の社会科見学で、ニューヨークをもっと知ろう! (取材・文=菅礼子)
社会科見学はNYを知ることに通ず
IT産業のお膝元の西海岸に対し、ニューヨークは幅広い産業がひしめき合う、活気あふれる大都市だ。それだけに、今回フォーカスする企業や政府機関、非営利団体などの会社・工場見学も、多様で面白い。
社会科見学の魅力は、単にオフィスや工場に足を運び、現在の姿やあり方を知るだけでなく、ニューヨークやアメリカの深い歴史と対峙(たいじ)することにあるだろう。
高級ピアノブランド「スタインウェイ&サンズ」のアストリア工場は、約100年前にマンハッタンからアストリアに移転したという。企業城下町として、従業員のために教会や学校、病院が造られ、「スタインウェー・ビレッジ」が形成さたという歴史がある。同企業は今でも、同じ工場から世界に向けて最高級のピアノを届け続けている。
また、ブルックリンで催行されているビールツアーも同様だ。1800年代初頭には、米国全体のビールシェア約10%を占めていたという同区。しかしながら、1920年から突入した禁酒法時代により、産業の終了を余儀なくされたという歴史なども、ツアーの中で語られるから面白い(いずれのツアーも、詳細は5ページ参照)。
新旧が交差する新名所は
NYならではの魅力
かつてのアメリカ海軍の造船施設を再開発している「ブルックリン・ネイビーヤード」は、1800年代前半の建物をモダンにリノベーションした上で、屋上庭園を設けたり、ソーラーパネルによる発電や、雨水の浄化システムを建物内で行ったりと、エコシステムの導入に力を入れている。
一般向けツアーでは、古いものを現代風に変換し、これからのニューヨークを支える中小企業を支援するという、同施設の働きを学ぶことができる。
スタートアップ支援の一環として新興企業を集め、当時のネイビーヤードのウェアハウス(倉庫)をシェアオフィスに充てているのも、その一環だ。
かつて、ブルックリンは食品製造業の一大拠点でもあった。この名残りからか、現在も敷地内の一角にはビールやウイスキーが製造されている他、老舗デリ「ラス&ドーターズ」の工場も、今年ネイビーヤードに移転してきた。歴史的な建物を今に蘇らせ、新たな新名所として一般公開しているのは、今のニューヨークでは見逃せない動きだ。
Brooklyn Navy Yard
141 Flushing Ave., Unit 801
Brooklyn, NY 11205
brooklynnavyyard.org
一般ツアーは通常、土・日曜日に催行。金曜もあり。大人20〜30ドル