巻頭特集

ニューヨークで犬猫と過ごす快適ライフ

マンハッタンを歩けば道やカフェ、ショップなどでもたくさんの犬を見掛けるほど、ニューヨークはドッグフレンドリーな街。最近ではさまざまなサービスやグッズ、ペットフードも充実し、家族の一員として迎えやすくなっている。最近のペット市場を覗いてみよう。(取材・文/菅礼子)


ペットフレンドリーな街
ニューヨークでペットと暮らすコツ

コロナ禍でペットを家族に迎え入れる人が増えたという。犬は猫とは違い、屋外に連れ出すことも多いがNYで快適に犬を飼うコツは? 20年以上グルーマーとして働く後藤りかこさんに話を聞いた。

――NYCはワンちゃんにフレンドリーな街ですか?

デパート、カフェ、電車移動、美術館からパーティーまで、大体どこにでも一緒に行けるのでドッグフレンドリーな街だと感じます。どこに連れて行っても嫌な顔をする人は少ないし、マンハッタンは公園やドッグランが多いです。特にセントラルパークはリードを付けないで遊ばせられるエリアもあるので、犬たちは楽しそうに走り回っています。あと、ニューヨークは犬たちがすれ違った際に、犬同士の挨拶が多いですよね。そこから飼い主たちが立ち話を始めることもある。日本はそういったコミュニケーションがまだまだ少なく、犬と一緒に行ける場所も限られているなと感じます。

プードルをミックスした“ドゥードゥル系”はここ数年人気でよく見掛ける犬種

――新型コロナウイルスによってペット業界のトレンドは変わりましたか?

ステイホームが長かったので、ワーク・フロム・ホームで家にいる時間が増え、犬や猫を迎える人が増えたと聞きます。実際、昨年は街中で子犬を見掛ける機会が増えました。

――最近のペット業界の大きなトレンドはありますか?

ペットフードの種類が増えたと思います。ニューヨークは健康志向の人が多いので、ペットフードもオーガニックのものが増えています。冷凍庫に入って売られているローフードも増えており、家庭で作ったような新鮮なものが冷凍パックされていて人気です。日本でも手作りペットフードが増えていますが、ニューヨークの人は忙しいので手作り感覚でパックのローフードを利用しています。

犬種ではここ数年、プードルをミックスした種類の犬たちが人気ですね。この犬種は抜け毛が少なく、小型〜中型なのでアパートでも比較的飼いやすいです。グルーミングのトレンドとしてはパピーカットという〝子犬のようなカット〟の需要があります。

――旅行や外出をするときはどうしたらいいですか?

ニューヨークにはBiscuits & Bathのようなグルーミング、トレーニング、ペットの一時預かりや宿泊プランなど、総合的に面倒を見てくれる施設が充実しているので、それらを利用することをオススメします。ブルックリンのAnimal Loving Careなどは日本人のスタッフも多いですよ。いきなり長期間預けられてしまうと犬は体調を崩してしまうので、旅行や出張を控えている方は普段から預ける準備をしなくてはいけません。うまく慣れさせて施設を利用すれば外出しやすいですが、犬によってはストレスを感じて体調を崩してしまうこともあるので、飼い主の方がきちんと見極めてあげてください。

マンハッタンだけでも13カ所で展開しているBiscuits & Bath

――夏に向けて犬のケアで気を付けることは?

犬の体高は低く、気温が上がる夏場は直射日光を受けやすいので、お散歩は朝早くか夕方以降に。また短時間でもエアコンをつけているからといって犬を車の中に置き去りにしないでください。エアコンをつけていても日中の車内は暑く、誤って犬がボタンを押してエアコンがオフになってしまい、飼い主の方が戻った時にぐったりとしているケースもあるので十分気を付けてください。

季節に関係なく、飼い主の方は犬の体調変化に早く気付いてあげなくてはいけません。人間と同じように、年に一回は健康診断に行ってもいいと思います。グルーミングをしている私たちは犬たちの変化によく気が付きます。健康チェックという意味でも、定期的に来ていただくと犬たちの変化に気が付くことができるんです。

 

後藤理香子さん

日本でトリマーとして15年間勤務。
2015年、NYに移住しグルーマーとして働く傍らアニマル・レスキュー・ボランティアに関わる。
American Kennel Clubの傘下のペットケアサービス会社でグルーミングマネージャーを経て、現在は出張トリミングサービスを主に活動中。
問rikakonycgrooming@gmail.com

               

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