今週からプロリーグの新シーズンが始まったアイスホッケー。スピーディーな試合展開とフィジカルテンションが最大の魅力だが、TVで観るのと実戦をナマで観るのがこれほど違うスポーツもない。今年こそ、アリーナに足を運んでアイスホッケーを観戦してみよう。
読書と本が好&#
6月最終週、ニューヨーク州各地では、州や連邦の上院・下院代表などの各候補を選出する予備選が行われた。今回選ばれた候補者は、11月の地方総選挙に進む。
当コラムでは、州の大統領選予備選を控えた3月にも選挙や投票権に触れ、在米日本国籍者を米国での投票権取得から遠ざける要因の一つとなる日本の国籍法について考えた。それに対し、先月行われたのは特に州自治に影響する重要な選挙であり、私たちの生活との距離がより近い。
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「顔が見える」「声が届く」
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各地区の現職を含めた候補者の顔は、この時期随所に貼られたポスターなどで見かけただろう。加えて、実際にかれらと対面する機会もあるのではないだろうか。
例えば私の場合は、地域公共図書館のボランティア活動を通して、州や市の現職議員と接する。イベントに参加してくれたり、準備段階での手伝いやイベント告知といった協力をしてくれるので、かれらが図書館を支援しているのが伝わってくる。そのほかにも、インフラや住宅、環境問題、教育などに関する地域集会でも、かれらが住民の意見を聞き、検討案を共有する姿を目にする。
自分たちの生活に直接的に関係する法案や条例、予算決議などを託す人たちとの距離が「顔が見える」「声が届く」ほど近いというのは、非常に重要だ。
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非市民の投票権を認める「幻の」条例
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2021年に、ニューヨーク市議会にて、非市民(米国市民権を持たない居住者)の一部に市・区政関連投票権を認める条例、通称「Our City, Our Vote」が可決されたニュースをご存知だろうか。連邦や州の範囲ではなく市レベル限定ではあるが、永住権または労働許可を持ち、30日以上連続居住する非市民に、市・区長選や市議選などの投票権を認める画期的転機の瞬間があったのだ。新条例の対象者数は80万人から100万人と見込まれ、ニューヨーク市は非市民に地方自治投票権を与える全米最大都市になるはずだった。
しかしその直後、共和党市議会議員の反対派が差し止めを訴えた。市より上に当たる州の裁判所は、「非市民の投票権を認める」新条例は、「全ての市民に投票権を与える」州憲法に違反するという判断を下し、無効となってしまった(州憲法は「非市民の投票権を認めない」とは明示していないにもかかわらず)。反対派の背景には、単略化するならば、移民有権者増加に伴い移民政策緩和が進むことや、選挙において共和党が不利になることへの懸念があると言えるだろう。法廷での争いは今も続いている。
国勢調査によるとニューヨーク市の人口は880万人、その内18歳以上で有権者登録している人は560万人と言われる。したがって新条例が施行された場合、登録有権者数が最大で約15%増加する可能性がある。裏を返せば、就労や納税をしていたとしても、地域政治に参加できていない居住者の割合がいかに高いかということ。その中には、いわゆるエッセンシャルワーカーも少なくない。「移民の街」と呼ばれるニューヨークはそういった人たちがいて成り立っていると考えると、実に衝撃的ではないかな。
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投票できなくても・・・
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暮らし、働き、税を納め、そのほかにもさまざまな形で貢献する地域社会での大事なことが決まっていくのを、傍観するしかできない。それは理不尽であると同時に、これからも生きていくことを考えると、不安と怖さを覚える環境でもある。
図書館の活動を通して接する議員に、私は票を投じることができない。投票権を得てそれを行使することで更に強化できる地域の結束は、きっとこの街の至るところにあるだろう。
米国全体を見ると、非市民であっても特定の投票が可能な地方自治体はいくつかある。そのほとんどは、この街同様移民が多いと言われる地域だ。投票権がないことは政治に参加できないこととほぼイコールに見えるが、望みを持ちつつ今できることもある。現状について人と話したり、異議を唱え、そして有権者に選挙に行くよう促す──投票権がない者にとっては、それだって今すぐ可能な政治参加なのだ。
COOKIEHEAD
東京出身、2013年よりニューヨーク在住。ファッション業界で働くかたわら、市井のひととして、「木を見て森を見ず」になりがちなことを考え、文章を綴る。ブルックリンの自宅にて保護猫の隣で本を読む時間が、もっとも幸せ。
ウェブサイト: thelittlewhim.com
インスタグラム: @thelittlewhim
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