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2日に行われたニューヨーク市の市長選で民主党のエリック・アダムス氏が当選し、次期ニューヨーク市長に就任する。エリック・アダムス氏とはどんな人物なのか? そして今後のニューヨークはどう変わるのか? (取材・文/菅礼子)
民主党支持者が過半数を占めるニューヨーク市では、6月に行われた民主党予備選挙を制したエリック・アダムス氏が本戦にも勝利する可能性が高いという前評判があった。そして本戦でも予想通り共和党のカーティス・スリワ氏を破り、新市長就任が決まった。
「大統領の次に過酷」と揶揄(やゆ)されるニューヨーク市長の責任は重い。ましてや新型コロナウイルスで甚大な被害に遭ったニューヨーク市民としてはパンデミックからの復活に対する新市長への期待は大きい。ここでは時事通信社のニューヨーク総局特派員の山越綾乃さんに今回の選挙を振り返ってもらった。
――今回の選挙戦の見どころは?
正直なところ一番の盛り上がりは6月に行われた民主党の予備選でした。今回初めて有権者が候補者の中から最大5人を1〜5位まで優先順位をつける投票方法を導入したのですが、アダムス氏が前ニューヨーク市衛生局長のキャサリン・ガルシア氏に僅差で勝利したので、この時が一番盛り上がりを見せました。11月の本戦は民主党対共和党という構図で、ニューヨーク市は民主党支持者が共和党支持者より7倍多いという民主党の牙城なので、スリワ氏も有名ですが、アダムス氏を覆すまでには至りませんでした。
――なぜアダムス氏が選ばれたのか?
自身が黒人でマイノリティーであること、また元ニューヨーク市警という肩書きが強かったと思います。6月の予備選時はワクチン接種も進み、コロナをきっかけに増加したヘイトクライムへの対策など治安回復に争点が移っていたため、元警察官というアダムス氏の経歴は有権者に強く支持されました。
――今回の選挙でのニューヨーク市民の反応は?
8年と長く在籍するビル・デブラシオ現市長の支持率は低迷しています。今回の選挙では、投票率は有権者の約4人に1人と高くはありませんでしたが、パンデミックからの回復に取り組む次の時代を指揮する新市長を迎える喜びと期待感を感じました。
――新市長に期待することは?
ニューヨーク市のコロナからの復活、治安回復などが挙げられると思います。いち日本人としてはアジアンヘイトなどもあり、治安の回復は急務かと思います。NYPDによると10月の犯罪傾向は、殺人や銃撃といった凶悪犯罪は去年に比べて減ったものの、全体的に犯罪は11・2%増えているということです。アジアンヘイトの発生件数は対前年比343%増加しているというから深刻な問題です。アダムス氏は事務作業の民間委託を活用し、警官の現場配置を増やすと発表しており、治安回復が望まれます。
――アダムス氏の公約の中で注目すべきトピックスは?
有権者に親しみやすさをアピールしていますが、具体性に欠けるのかなという印象があります。個人的には来年1月の就任後の給与3回分をビットコインで受け取りたいとの意向をTwitterで発表したことに注目しています。新たな施策やテクノロジーを導入していくことは自治体の成長には欠かせません。常に革新的な取り組みをしてリードしていく姿は全米最大都市のトップにふさわしく思います。
山越綾乃さん
時事通信社
ニューヨーク総局特派員
2013年、時事通信社に入社。
省庁を担当する内政部から静岡総局、社会部、外信部を経て21年9月からニューヨーク総局特派員。
主に国連や米社会の取材を担当している。
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