編集部 潜入レポ

小学生がスタジオや制作部で職業体験しテレビのしくみを学ぶ

日本人学校の児童が社会科見学の一環でテレビ局のNHKコスモメディアアメリカのニューヨーク本社を訪問し、放送・配信サービス、日本からアメリカへ番組を送る方法、野球中継の裏側など、普段はテレビを見ている側の子供らが職業体験を通して、どのように視聴者に届けられているのかを学んだ。

■ ■ ■

先日、市内にあるテレビジャパン・dライブラリジャパン事業を始め日本向け大リーグやプロゴルフなどのスポーツ中継、ドキュメンタリー制作などを手がけるNHKコスモメディアアメリカ本社に、小学生5年生11人が社会科見学として訪れた。児童らはニューヨークに近いコネチカット州のグリニッジというエリアに位置するニューヨーク日本人学校の小学5年生の児童で、普段はテレビを見ている側の彼らが実際にテレビを作る側を覗けるとあり、興味津々で見学に参加した。

番組の選定や配信スケジュールの調整、番組によって変更されるお知らせのテロップの内容調整など、視聴者が混乱しないように常に工夫されて放送されていることを学んだ

まず同社代表取締役社長の皆木弘康氏による開会の挨拶にて、テレビで放映される番組作品における著作権の重要さや、テレビに出る役者やアーティスト、アスリート、歌手、一般人などの出演者と呼ばれる人々との関わり、それを企画し、制作として携わっている人々の存在と役割、災害時にはどんな立ち位置でテレビは人々に寄り添い、最新かつ正しい情報を伝えているのかなど、人との関わりが大きく、そしてその重要さを伝えた。

それから、幾つもの衛星を使いテレビジャパンの番組をアメリカの視聴者に届ける方法や、インターネットを通じて日本の番組を配信するdライブラリジャパンについて詳しく知ることもできた。

アナウンサーや画面・音声調整など、本物の機材に触れ、実際に普段第一線で活躍しているスタッフに教えてもらいながら児童らも挑戦

また、番組制作スタッフによる大リーグやプロゴルフでの取材をするために必要なプロセスや選手へのインタビュー方法、カメラ、機材の紹介、現場で活躍する専門スタッフとの作業など熱心に耳を傾けていた。スポーツ番組を制作する上で重要な、多角方向による高解像度で撮影され、全ての動きを捉えるカメラの精度や映像処理技術のクオリティの高さについても学んだ。児童らは改めてテレビ局が成せる高度な技術によるテレビ放送の凄さに驚いていた。そして、「もしテレビ局が災害に見舞われたら」や「テレビ局で働いて一番嬉しかったこと」、「テレビに出る時は緊張しますか」などの質問が寄せられ、実際に現場で働く社員らで回答し、児童らは感心しながらノートをとっていた。説明授業の後は、実際にテレビ局の人々がどのようにしてお茶の間に番組を届けているのかを学ぶべく、テレビジャパンの送出スタジオを見学したり、子供たち自らアナウンサーに扮しスタジオで言葉を発したり、音声ルームではスタジオに指示を送るなど様々な体験をした。

メジャーリーグ中継の準備から撮影、インタビュー、編集、放送に至るまでの一連の流れの凄さにくぎづけに

新型コロナの影響で現地撮影ができない状況に陥った際に開発したリモート中継システムの構築、コロナ禍や災害時での迅速な対応方法などについても学ぶことができ、テレビへ対する信頼と安心、またテレビがもつ可能性について改めて考えさせられる社会科見学となったようだ。

 

 

皆木弘康 代表取締役社長

私たちの会社はTVジャパン・dライブラリで日本の番組を北米地域に向けて発信するほか、逆に日本で放送する番組も制作し、特に、大谷選手が活躍する大リーグ・エンジェルスの試合は、今年156試合を生中継しました。西海岸の試合をNY本社でリモート中継して東京に送る仕事を子どもたちにビデオでお見せしたところ、目をキラキラさせて食い入るように見つめていました。やがてこの中から日米のメディアに携わる人財が生まれてほしいと思いました。

 

ニューヨーク日本人学校 5年担任 海野侑香

今回NHKコスモメディアアメリカ様のご協力により、子供たちは見て、聞いて、体験してメディアの役割について学ぶことができました。また質疑応答の時間には、仕事にかける熱い思いや情報を伝えるために努力されていること等、丁寧にお話しいただき、子供たちは目を輝かせて聞いていました。普段見ることのできないテレビ局の内部を詳しく知ることができる貴重な学習の機会を与えてくださったことに、心から感謝しています。

 

               

バックナンバー

Vol. 1296

いつだってキレイでいたいっ! 日系人に優しい! 最新「プチ整形」事情

男女問わず、いつでも若々しく美しくいたいという気持ちは誰にでもあるもの。しかしながら、美容整形大国の米国とはいえ、人種や肌タイプの違い、費用の高さや言葉の壁など、ローカルの美容皮膚科や美容外科に通うのはちょっぴり不安…。そんな読者の声にお応えし、今夏の日本一時帰国の際にも使える、日本の最新「プチ整形」事情をご案内していきます!

Vol. 1295

大人も楽しいブロードウェーミュージカル

ニューヨーク演劇界のアカデミー賞と言われる第78回「トニー賞」の発表(6月8日)が近づいてきた。コロナ禍による低迷から完全復活したブロードウェー劇場はどこも連日満席の賑わい。毎晩、40以上の舞台で超一流の歌や踊りや悲劇喜劇が繰り広げられている。ファミリー向けでロングランの「ライオンキング」「アラジン」「ウィキッド」「ハリーポッター」は相変わらず人気トップだが、中には大人の鑑賞にふさわしい作品もある。比較的新しい舞台を中心に成熟世代が気になるブロードウェーをご紹介する。

Vol. 1294

私たち、なことてま

気になるビジネスを深掘りする連載企画。今回は「丁寧・フレキシブル・手頃な価格」で親しまれる引っ越し業者ターザンムービングの代表・ホセさんと、個々の状態に応じてカスタマイズした施術を行う、マッサージ・セラピストの秋山さんに話を伺った。

Vol. 1293

こだわりいっぱい 町のお肉屋さん

地元で愛され人々の食卓を支える町のお肉屋さん。店主が直接目利きした肉を仕入れ、常連客のリクエストに応える精肉店で購入するメリットは、いつでも新鮮な肉が手に入るのと、気のおけない店員から肉の選び方や調理法を教えてもらえることだ。本号ではそんな町で愛されている精肉店を調べてみた。