巻頭特集

人間の免疫力を司る腸内細菌の役目と、腸内細菌を整える「腸活」方法を知って、心身共にスッキリ新年を迎えよう

食べ過ぎや飲み過ぎ、夜更かしの機会が増える年末年始は、免疫力が低下し体調を崩しがち。人間の免疫力を司る腸内細菌の役目と、腸内細菌を整える「腸活」方法を知って、心身共にスッキリ新年を迎えよう。(取材・文/加藤麻美)


食事療法のスペシャリストに聞く
腸内細菌、そのあっぱれな役目とは?

今話題の腸内細菌とは一体どんなものだろうか? 食事療法士のカストロ岡牧子さんに聞いた。

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人間の免疫力の90%は腸内細菌から

人間の体のありとあらゆるところには「常在菌」と呼ばれる細菌がすみついています。病原菌の侵入から体を守ってくれているのが常在菌で、常在菌の90%を占めるのが腸内細菌です。この腸内細菌は人間の免疫力の90%以上を担っていることが、これまでの研究で明らかになっています。

腸内細菌の種類は1000種類以上、数にして100兆個にも上ります。種類ごとにテリトリー(すむ場所)があり、一番多くすみついているのが大腸です。昨今よく耳にする「腸内フローラ」とは、十二指腸、小腸、大腸にかけてびっしりとすみついている腸内細菌の集合体のことで、顕微鏡で見るとお花畑のように見えることからこの名前が付きました。

腸内細菌の種類は働きによって大きく3種類に分けられます。消化吸収を助けたり免疫力を高めたり老化を防止する乳酸菌やビフィズス菌などの「善玉菌」、カンジダ菌やウェルシュ菌、ブドウ糖、大腸菌などに代表される体に悪影響を及ぼす「悪玉菌」、健康な時にはおとなしくしているのに、体調を崩すと「悪玉菌」と一緒になって悪さをする連鎖球菌やバクテロイデスなどの「日和見菌」です。「善玉菌」を増やして「悪玉菌」の繁殖を抑え、腸内を健全な状態に保ち免疫力を高めるのが「腸活」です。

ハッピーホルモンの合成を促す腸内細菌

私たちが幸せを感じたりやる気が出たりするときに脳の中で働いているのは「ハッピーホルモン」と呼ばれる神経伝達物質のセロトニンやドーパミンです。セロトニンやドーパミンは、食べ物から摂取したアミノ酸を元に小腸にある細胞が合成しますが、腸内細菌(善玉菌)がないと合成できません。

腸内環境が良ければハッピーホルモンが出て、逆に腸内環境が悪ければハッピーホルモンが出ないため不安になったりイライラしたりします。うつ病や不安障害は、このハッピーホルモンが出ていないことに起因します。

 

バリア機能の維持にも深く関与

腸には、栄養や水分の吸収を効率的に行いながら、有害物質を体内に侵入させないようにする腸管上皮細胞によるバリア機能があります。暴飲暴食や慢性的ストレス、抗がん剤による治療、抗生物質の多用、糖尿病や遺伝的疾患などでこのバリア機能が低下すると腸の透過性が上昇し、本来なら腸(Gut)の壁から血管内に侵入しないはずの未消化の食べ物や老廃物などの「毒」が体内に漏れ出してしまいます。これを「リーキーガット症候群」といいます。

漏れ出た毒が血流を通して体中に運ばれることで自己免疫疾患やアレルギー、花粉症、感染症、さらにはうつ病などの発症や悪化につながるとされています。人間のバリア機能の維持には腸内細菌が深く関与していることから、「腸活」がいかに重要かが分かります。

 

 

 

 

カストロ岡牧子さん
ナチュラルヒーリング&ライフスタイルコンサルタント

米国栄養コンサルタント協会認定コンサルタント、およびGAPS食事療法認定プラクティショナー。
その他フードセラピー、ピラティス、催眠療法などの公認資格保持。独自の「MAKIKOメソッド」を基に、食と姿勢の改善による自然治療、病気予防を研究・指導。
naturalhealingartists.com

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