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医療費が異常なほど高額なことで知られる米国。日本のような国民皆保険制度ではないため、米国の医療保険の仕組みについて詳しく知らない人は意外と多い。健康意識が高まる今、大切な医療保険について改めておさらいしよう。(取材・文/中沢絵里奈)
ニューヨーク州認定ナビゲーターが解説
公的医療保険ってなんだ?
米国人ですら正しく理解している人が少ない医療保険システムは、日本人にとっては当然複雑で理解しづらい。会社員であれば医療保険選びに頭を悩ませる必要はないが、フリーランス、アーティスト、学生など個人で活動していれば、自分で医療保険に加入しなくてはならないだろう。
そんな時に検討したいのが、ニューヨーク州が提供する公的医療保険。条件さえ満たせば、保険料や自己負担費などが全て無料になるという公的医療保険について、ニューヨーク州認定保険ナビゲーターである日米ソーシャルサービス、JASSIの井口愛さんと紀川・サミーノ あゆみさんに話を聞いた。
誰もが利用できる保険
「メディケイドとは、ニューヨーク州に居住する市民、もしくは永住権を保持する方向けの無料の医療保険です。一方、エッセンシャルプランは永住権を保持していなくても合法的な滞在ビザがあれば加入することができます。どちらも低所得者向けですが、その他に中所得者向けのQHP(Qualified Health Plan)というプランもあり、税額控除割引により月額保険料の負担を軽くできます。自分のステータスでは加入できないと思い込んでいても、実は条件をクリアしていたなんてことも多いです」と話すのは井口さん。
収入や世帯人数、ビザステータスによって該当プランは異なるが、低・中所得者の誰もが無料もしくは低コストで保険に加入できるチャンスがあるようだ。
また同保険のメリットは、他保険とも併用して利用できること。来米前に日本で海外旅行保険に加入してくるケースは多いが、一般的には予防医療(健康診断、予防接種など)や妊娠・出産、歯科まではカバーされていないため、公的医療保険と共に二重で加入しておくことで、いざという時に保障される医療の幅を広げることができる。
さらに、「コロナ禍の救済措置として昨年春から、エッセンシャルプランの月額保険料が完全無料に。QHPも税金控除の割引率が増加、資格条件の所得制限枠も拡大しています」と紀川さん。加入のハードルが低くなっていることに加え、年間通していつでも加入・解約できるため、「転職までの失業期間だけ加入したい」といった状況にも活用できる柔軟さも魅力だ。トランプ政権時に制定されていたパブリックチャージ(公的援助)ルールも撤廃され、「将来のビザ申請や更新の審査の影響を心配することなく、安心してご加入いただけます」と紀川さん。
加入にはマーケットプレイスで登録が必要になるが、そんな時に頼れるのがJASSIの認定ナビゲーターだ。「英語での複雑な加入手続きもサポートいたします。まずはお電話でご相談ください」。
年齢やステータスに関わらず気軽に加入できる保険を賢く利用することは、当地で生活する上で大きな助けとなるはず。「無保険のまま長年過ぎてしまった」ということがないように、万が一に備えることが大切だ。次のページでは、各プランの加入条件やベネフィットの詳細を紹介する。
井口愛さん(右)
JASSIにて、サイトマネージャーとして健康保険カウンセラーおよび無料乳がん検診イベント開催などを担当。
紀川・サミーノ あゆみさん(左)
在NY日本国総領事館経済部に15年勤務。2020年からJASSIで健康保険カウンセラーおよび行政機関相談などを担当。
問い合わせは下記まで!
JASSI(日米ソーシャルサービス)
TEL: 212-442-1541
info@jassi.org/jassi.org
まずは知っておこう!お役立ち保険用語集
各州が提供するウェブサイト上のプラットフォーム。各保険会社やプランが一度に比較でき、オンライン上で購入・契約できる。
ネットワーク
保険会社が提携している医療機関や医師のこと。ネットワーク外の病院や医師にかかると、自己負担額が高くなる場合が多い。
プレミアム
保険会社に支払う保険料のこと。月額、年額、年4期で被保険者、または雇用主が支払う。
コーペイ
医療を受ける度に被保険者が医療機関に支払う一定額のこと。日本でいう診察料のようなもの。
ディダクタブル
かかった医療費のうち、被保険者が負担する一定の金額。免責額ともいう。年間ディダクタブルを負担し終えるまでは保険が適用されない。