巻頭特集

健康意識が高まる今、大切な医療保険について改めておさらいしよう

公的医療保険プランを見比べてみよう

ここでは公的医療保険の内容をさらに詳しく見てみる。自分に合ったプランが見つかるかもしれない。


現在ニューヨーク州健康保険局が提供する公的医療保険には、メディケイド、エッセンシャルプラン、QHP、チャイルドヘルスの4つがある。そのうちどのプランへの加入資格があるかは、連邦が指定する収入基準をもとに算出するFPL(連邦貧困レベル)によって決定される。ちなみに、名称が似ているメディケアは、65歳以上の高齢者向けの公的医療保険。メディケイドとは異なるものだと認識しておこう。

保険の加入を検討している場合、まずはウェブサイト上のマーケットプレイス(P3参照)で自分がどのプランに該当しているかをチェックする必要がある。プランを確定すると、ネットワーク内の民間の保険会社を選択できる。

メディケイドはほぼ全て無償であるのに対して、エッセンシャルプランはFPLによって多少の自己負担額がかかる場合がある。またQHPは、保険料や免責額がかかるものの、アドバンス・プレミアム・タックス・クレジット(APTC)と呼ばれる税金控除を受給できるのがメリットだ。これにより、通常の月々の保険料で平均年間1240ドル、月100ドル以上の減額が見込める。通常は11月1日から翌年1月31日までと加入期間が決まっているが、今年は現時点で3月末まで延長。これを逃すとその年は加入できなくなってしまうので注意しよう。

医療を無料、もしくは低価格で受けられる公的医療保険だが、一つ難点なのは日本人医師の受け入れが少数なこと。日本語が話せる医師の選択肢が限られているのは不安かもしれないが、ごくまれに日本人医師を見付けることもできるので、まずは検索してみることがおすすめだ。

こうしたデメリットもあるものの、「乳がんの手術費にかかった合計15万ドルが全額メディケイドでまかなわれた」というケースもあり、サービスが手厚いことは間違いない。条件に該当するなら入っておいて損はないだろう。

注目ポイント

  • 民間の保険会社から自分で選択可能
  • QHPは加入期間が決まっているので逃さずに!
  • 病院や医師の選択肢が限られていることがデメリット
  • 医療費補償の限度額は基本無制限!

低所得者向け
メディケイド

【該当資格】
●年齢: ニューヨーク州在住の64歳未満(妊婦含む)
●ビザ: 米国市民、永住権保持者(5年以上)
●収入: FPL138%以下
(単身の場合は年収1万7775ドルまで)

【費用】
●月額保険料: なし
●免責額: なし
●自己負担額: ほぼなし(一部負担する場合あり)

【含まれるサービス】
入院、外来サービス、検査、X線サービス、歯科治療、介護、精神疾患系施設、禁煙製品など

※大人用、高齢者&障害者用、妊婦用、子供用でそれぞれ内容が異なる。


低所得者向け
エッセンシャルプラン

【該当資格】
●年齢: ニューヨーク州在住の19〜64歳
●ビザ: 米国滞在資格保持者(就労、学生ビザ含む)
●収入: FPL200%以下
(単身の場合は年収2万5760ドルまで)、
もしくは他のプランに該当しない場合

【費用】
●月額保険料: なし
●免責額: なし
●自己負担額: 少額あり
(FPL150%以下の場合は免除)

【含まれるサービス】
予防ケア、入院、妊婦・新生児ケア、検査、リハビリ、眼科、歯科など

※収入レベルによってプラン1〜4にさらに分類される。


中所得者向け
QHP(Qualified Health Plan)

【該当資格】
●年齢: ニューヨーク州在住の64歳未満
●ビザ: 米国滞在資格保持者(就労ビザ含む)
●収入: FPL200%以上
(単身の場合は年収2万5761〜5万1520ドル)

【費用】
●月額保険料: 選択プランによって変動
●免責額: 選択プランによって変動
●自己負担額: 選択プランによって変動

【含まれるサービス】
予防ケア、入院、妊婦・新生児ケア、検査、リハビリ、小児歯科・眼科など

※申請期間は通常11月1日〜翌年1月31日だが、今年は3月末まで延長となっている。


子供向け
チャイルドヘルスプラス

【該当資格】
●年齢: ニューヨーク州在住の19歳未満
●ビザ: 問わない
●収入: 問わない

【費用】
●月額保険料: 家族の収入、世帯人数によって変動(FPL160%以下の場合は免除)
●免責額: なし
●自己負担額: なし

【含まれるサービス】
児童検診、健康診断、予防接種、検査、処方箋、言語・聴覚サービス、ホスピスなど

※FPLは、同居する家族の人数と所得によって算出される。基準額は年度により更新されるが、マーケットプレイス上で確認できる。
※内容は随時変更になる可能性がある。詳しくは専門家へ問い合わせを。

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