ウイスキーといえば、近年ジャパニーズウイスキーが世界で注目を集め、希少価値も上がっているようだ。ウイスキーには、シングルモルトや、ブレンデッド、グレーンなど種類によって味が異なり、銘柄ごとの個性を楽しめるのも魅力だ。そこで今回は、ニューヨークでウイスキーの魅力を再発見してみよう。
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今知っておくべき注目の経済・金融ニュースとは何か。経済アナリスト・藤代宏一が日米、そして世界の経済・金融事情の「今」をわかりやすく解説する。
日米の金融政策とインフレ動向
シリーズ初回は日米の金融政策について解説します。結論を先取りすると2024年は日本がマイナス金利を解除、米国が連続的な利下げに踏み切ると予想しています。
日本は消費者物価上昇率が日銀の目標である2%を上回った状態が続く中、賃金がまずまずの伸びを示していることから、2016年1月から続くマイナス金利という極端な金融緩和策を終了すると予想しています。その時期は3月とみています。
市場関係者の中には1月23日の金融政策決定会合でのマイナス金利解除を予想する向きもありますが、12月の金融政策決定会合で何も「予告」が無かったことを踏まえると、1月はやや唐突感が否めません。1月の金融政策決定会合で何らかの「予告」を投じた後、3月にマイナス金利解除に踏み切ると現時点で予想しています。もっとも、その後の政策金利は「据え置き」の可能性が高いと考えています。
日本の賃金上昇率は約30年ぶりの高い伸び率とはいえ、2%をやや下回る伸び率ですから、その程度では日銀の物価目標(2%)を上振れ方向に脅かすには至らないと判断されるからです。
2024年の賃金については、現在の物価や企業業績などから判断すると、2023年と同程度もしくはわずかに加速する程度です。その程度の伸び率であれば、基調的な物価は2%以下に落ち着くと考えられ、欧米中銀が実施したようなインフレ抑制を目的とする連続的な利上げが必要となる環境には至らないと考えられます。
良くも悪くも日本のインフレ率は低いままで、政策金利も極めて低水準に留まるということです。
なお、ここで言う基調的な物価上昇率とは、一般的に輸入物価の急上昇や政府の政策(例えば消費増税、エネルギー価格の変動抑制策、教育費の補助)など一時的かつ景気循環に直接関係のない要因を除去した物価上昇率を指します。それらを除去した際、物価上昇率が何によって変動しているかというと、それは賃金上昇率です。すなわち基調的な物価上昇率とは、賃金由来のインフレ率を意味します。
Fedは連続利下げの公算大
翻ってFedはFF金利(誘導目標レンジ上限)を現在の5・5%から年末までに4・5%以下に引き下げると予想します。2022年3月から2023年7月にかけて5%超の利上げを敢行したことで、米国のインフレは終息の方向へ向かっており、2023年11月の消費者物価指数は前年比+3・1%まで鈍化しています。2022年6月のそれが+9・1%であったことを踏まえると大きな進展と言えます。インフレ率低下は、エネルギー価格低下に加え、財の需給バランス均衡(コロナ期に急増した財需要が落ち着いた)が大きく貢献した形ですが、Fedに一番の安堵をもたらしたのは賃金上昇率の鈍化です。
コロナ期において米国では移民流入数が減少する中、資産価格上昇を後ろ盾に早期リタイアした人が多く存在したほか、手厚い失業給付が復職を阻害したことなどから、極端な人手不足が生じ、労働市場では労働者の争奪戦が繰り広げられ、賃金が著しく上昇しました。もちろん、その労働コスト増加は消費者段階で財・サービス価格に転嫁されます。
ところが、2023年に入るとそのインフレは徐々に下火になりました。Fedの金融引き締めによって個人消費(含む住宅購入)の下押し圧力が強まる中、企業は雇用増に積極的でなくなり、賃金上昇率は落ち着きはじめました。
最新データ(23年12月現在)である11月雇用統計によると平均時給の上昇率はなおコロナ期前を上回っているものの、物価安定を脅かすほどではありません。こうした環境を踏まえると、Fedはインフレ退治に成功しつつあると言えます。そうであれば5・5%という政策金利は正当化されないでしょう。
インフレ退治の代償として景気の下振れリスクが増幅してしまうのはある程度仕方のないことですが、それによって失業率が大幅に上昇したり、GDP成長率がマイナスになってしまったりすれば、元も子もありません。こうして考えるとFRBは年央を待たずして利下げに踏み切る可能性もあります。その場合、金融市場では金利低下が促され、株式の追い風になると予想されます。
藤代宏一
第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト。
2005年に第一生命保険入社。10年第一生命経済研究所出向を経て、内閣府経済財政分析担当へ出向し、2年間経済財政白書の執筆、月例経済報告の作成を担当する。12年に第一生命経済研究所に帰任。その後、第一生命保険より転籍し現職に至る。
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