巻頭特集

新しいノーマルに向けて活況を呈する理容の世界をのぞいてみよう

話題のカリスマ理容師をチェック!

多くの客やファンを持つ売れっ子人気理容師たちの存在も、理容室に行く前にぜひ知っておこう。


ラテン理容室で働く日本人唯一の女性バーバーを直撃

スキンフェードを中心とする「バーバースタイル」に最もこだわるのは、中南米出身の移民が経営する「ラテン系バーバー」だ。日本人にはまだなじみが薄いスタイルで、弊紙の男性読者でもあえてラテン系バーバーで整髪してもらう人は少ないだろう。そんな中、日本人女性としてただ一人、ラテン系でバリカンやはさみを振るうのが、「Juan’s Barbershop」で働くアユミ・タバーさん(通称:エイミー)だ。

渡米して6年目で、米国人の夫と離婚。だが、ニューヨークに住み続けたかったため自活の道を探したのが理容師になったきっかけだ。「それまで主婦業一筋だったのでまずは手に職をと思い、美容サロンでアシスタントを続けるうちに、男性理容の仕事に興味を覚えました」とアユミさん。

2019年に理容学校に通い、ニューヨーク州の理容士ライセンスを取得。市内の一般理容店で働く傍ら、自宅近所のエクアドル系店舗でもアルバイトを始めた。「最初は苦労しました。カットのスピードもまだまだ遅くて、お客のリクエストと全く違うカットをしてこっぴどく叱られたこともあります。ラテン系男子のヘアへのこだわりは半端ではないのです。子供の頃から付き添いの母親が厳しくカットを監視するほどです」。

失敗の連続にもめげず、完成したカットを精力的にSNSにあげるなど、時流に乗った個人マーケティングが功を奏して次第に指名が増え始めた。そんな矢先、パンデミックとなった。

ニューヨークのラテン理容界は世界の最先端。日本未上陸のスタイルやテクニックが山ほどあり、「毎日が勉強です」とアユミさんは言う

アユミさんの店があるクイーンズは、感染者数が非常に多く、ラテンの店も営業停止となった。一時は完全な失業状態に陥ったが、ネットでつながるお客の指名は途切れず、自宅アパートの屋上で「三密防止」の野外ヘアカットを行うなど活動を続けた。

そして今年6月に店の営業再開が許可されると、アユミさんの元にどっと常連客が戻ってきた。コロナ以前は1日10人程度だったのが、今では20人以上もの指名来店があるそうで、日本人人気女性バーバーとして、地元テレビ局「NY1」にも取り上げられるなど話題の人物となっている。

かつて18%しかいなかったアメリカの女性バーバーは、現在30%まで増えている。「女性だからという理由でお客から『チェンジ』を言われることもあります。でも、女性にカットされたい人もいる。私は、この仕事がとてもクリエーティブで挑戦しがいがあると思います」と語るアユミさん。

今の夢は、スキンフェードがもっと上手になってスピードを速くすることだ。また、「目標はバーバーコンのバトル出場です」と闘志を燃やしている。

 

 

アユミ・タバーさん

山口県出身。
結婚を機に2010年にニューヨークへ移住。
18年からロングアイランドの日系美容サロンでアシスタントとして勤務。
その後、男性理容に転向し、NY州認定の理容師免許を取得。
現在フリーランスとしてQBハウスやエクアドル人経営の理髪店で勤務する。
スキンフェードをはじめ流行のスタイルを提供し、ラテン系を中心に顧客数は2000人を超える。
Facebook: amy.oka.77


SNSでも話題沸騰!カリスマバーバーの「エイロッド」って?

ヒップな人たちは、スキンフェードを中心とした新しい理髪を「バーバースタイル」と呼ぶ。全米各地から毎日のように新人バーバーが生まれるが、そのスタイルのカリスマ的ヒーローといえば、A-ROD(エイロッド)だ。

有名ミュージシャンやアスリートなどセレブのヘアを手がける一方、YouTubeでは施術料1回500ドル以上というそのスタイリングテクニックをラップに合わせて惜しげもなく披露する。一目見たら忘れられないド派手なファッションと立ち居振る舞いが熱烈なファンを生み出しているエイロッド。ヘアカットの見せ方は映像的にも斬新で、これからのバーバーはエンターテインメントになるといっても過言ではないと思わせる。

百聞は一見にしかずなので、まずはアメリカンバーバーの最先端を動画でのぞいてみよう!

アカウントをチェック!
YouTube: @A ROD
Instagram: @arod23pr


圧巻のバトルを観覧できる! 「バーバーコン」

現在の新しいバーバーブームの火付け役が、アクセス数36万超というオンラインコミュニティー、バーバーショップコネクトだ。HPには注目バーバーの紹介、求人募集、新商品の紹介、店舗デザインのコンテストなど最新の業界情報が満載となっている。

中でも同サイトが主催するバーバーの見本市「バーバーコン」は、ニューヨーク、オースティン、ロサンゼルスの3都市を拠点に月1回のペースで開催され、サイトからネットで配信。専門家だけでなく一般視聴者からの人気も高い。新製品紹介、カリスマバーバーによる技術講習、そしてスタイリングを制限時間15分で完成させる競争「バーバーバトル」などに毎回人だかりができる。次回は11月14日にロサンゼルスで、またニューヨークでは来年7月に開催予定なので、興味がある人はサイトをチェック!

〈次回開催情報〉
日時: 11月14日(日)午後1時〜(LA会場)
詳細: barbershopconnect.com

 

 

 

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