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いよいよ経済の復興期に突入したニューヨーク。対面ビジネスも次々に再開され、男性の身だしなみが気になり始めた。新しいノーマルに向けて活況を呈する理容の世界をのぞいてみよう。(取材・文/中村英雄)
新しい理髪店が続々オープン!
コロナ禍にある街のバーバーの状況は?
ニューヨーク市内の中小ビジネスの中でもいち早く回帰の兆しを見せたのが理髪店だ。リモート勤務が増えたことにより床屋の需要は激減するかと思いきや、以前にも増して繁盛している店が多いという。コロナ禍で新規オープンした最新バーバーで話を聞いた。
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「リモートワークのおかげでロン毛(長髪)が増えて、かえって新しいスタイリングを求めるお客さまが増えました」と語るのは、ロングアイランドシティーにある新店「アート・オブ・ザ・バーバー」の共同オーナー、トロイ・アレンさん。真新しいコンドミニアムの1階にある同店の扉をあけると、レトロなインテリアと革張りの床屋椅子5脚が目を引く。
「椅子はビンテージで1950年代の日本製です。鏡周りの家具は、マンハッタンにあった18世紀の住宅から改装時に出た廃品を再利用したものです」とトロイさん。
こだわりへの投資は半端ないようだが、衛生管理にもぬかりはない。倉庫風の高い天井から下がる巨大な扇風機は業務用の抗菌加工がされているそうだ。「今、理容店の経営者として一番大切なのは、コロナの感染対策です。理容師とお客さまの距離がどうしても近い仕事ですから、なによりも清潔と抗菌に気を使っています」。
本音で語れる空間
同店が開店したのは今年に入ってからだ。感染も完全に収束しておらず、景気にも不安が残る今、なぜこんな大きな投資に踏み切ったのか。「先祖が南北戦争前からバーバーをやっていた家系なのです。アメリカ人にとって床屋は単なる整髪の場ではなく、男同士が損得なしに心置きなく本音を語れる空間だということは子供の頃から見てきました」とトロイさん。
誰しも新型コロナウイルスやリモートワークによるストレスを抱える今。そんな時、きれいにスタイリングしてもらって飾らない会話ができる床屋は、エッセンシャル(必要不可欠)だとトロイさんは言う。
スタッフは一流ぞろい
トロイさんは、これまでマンハッタンの老舗から同店の一流ベテラン理髪師をヘッドハントしてきた。「技術は最高だと思います。僕自身は投資関係のビジネスマンですが、理容師を見る目は誰にも負けません」と笑う。
専属バーバーの一人、ウィルフレド・モラレスさんはこの道40年のマスターで、あらゆる人種の髪質もスタイルもこなす。「ニューヨークの男性理容は、70年代のヒッピー運動で一時衰退しましたが、90年代になって復活してきました。以来ずっと流行っているのが『フェード』と呼ばれるスタイルです。クリッパー(バリカン)を使った刈り上げですが、複雑なデザインが好まれ最近ではどんどん洗練されてきていますね」。「刈り上げ」では絶大な評価を得ているモラレスさん。長年愛用してきたコード付きのバリカンを、コロナ禍はお客との距離が取りやすい充電型コードレスに持ち替えて、殺到する予約を日々こなしている。
Art of the Barber
【営業時間】午前10時〜午後8時(土曜午後7時、日曜6時閉店)
【料金】35ドル〜(カット)
27-19 44th Dr.
Long Island City, NY 11101
TEL: 718-606-0200
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