ニューヨークの2020年ニュースを振り返る<前編>

2020年のニュースをダイジェストでプレイバック!


バーニーズが破産申請 前月にはフェアウェーも

高級百貨店チェーン「バーニーズ・ニューヨーク」は昨年2月13日、破産を申請し、同月23日に全店を閉鎖した。13日付ニューヨークポストが伝えた。

同百貨店は、マディソンアベニューの旗艦店や7番街のチェルシー店、ニューヨーク州セントラルバレーのウッドベリーコモンのアウトレット店、そしてカリフォルニア州ビバリーヒルズにある店舗も全て閉鎖。これにより719人の従業員が失業したとみられる。

13日朝、バーニーズ経営陣は、同社で2年以上勤務した場合、5週間分の賃金が退職金として支払われると発表した。

2019年末、サックス・フィフス・アベニューはバーニーズのeコマースサイトのリダイレクトを発表。このサイトでは、バーニーズの商標の下で、サックス・フィフス・アベニューの商品を販売している。

20年1月には、大手老舗スーパーマーケット「フェアウェー」も破産申請を行っている。18年の破産申請後、経営再建を図っていたところだった。


市内で一斉休業措置 レストラン、文化施設などに打撃

ニューヨーク市のビル・デブラシオ市長は昨年3月15日、新型コロナウイルス封じ込めの新たな措置として、50人以上での集まりを屋内外にかかわらず禁止した。市内の芸能・娯楽施設は16日夜から、公立校の施設は17日から閉鎖された。バー、レストランはテークアウトおよびデリバリーのみの営業。

ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事も、16日夜からの同様の措置を宣言。午後8時以降の営業を義務付けられている業種は、スーパー、ガソリンスタンド、薬局、医療機関のみとなった。

同月13日付パッチによると、この措置は12日午後5時からのブロードウェー各公演、および13日午後5時からの市内各施設で適用され、ブロードウェー公演は年内の再開は見送られた。クオモ知事は11日、聖パトリックデーのパレードも中止した。1762年の初開催以来、初の措置。


ワインスタイン禁固23年 一貫して無罪を主張

マンハッタン区ニューヨーク州高位裁判所は昨年3月11日、複数の女性に対する性暴力で有罪判決を受けた、ハリウッドの元大物プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン被告(当時67)に対し、禁固23年を言い渡した。NBCニューヨークが伝えた。

ワインスタイン被告は2006年と13年に行った、元制作アシスタントと女優志望の女性に対する性的暴行により、2月に有罪判決を受けた。弁護団は禁固5年を求めていたが、性犯罪で禁固20年、性的暴行で禁固3年となった。

同被告による長年の性暴力やセクハラに対する告発の動きが、一連の「#MeToo」運動に発展した。女性の人権運動における画期的な本判決に対して、セクハラ撲滅運動「タイムズアップ」の主催者などがソーシャルメディアで支持を表明した。

判決直後、ワインスタイン被告は胸の痛みを訴えてニューヨーク市内の病院に搬送された。また11月には、発熱を訴えたことで新型コロナウイルスの感染も疑われたが、陰性だった。


ブルームバーグ撤退 米大統領選挙

マイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長は、昨年3月4日、米大統領戦の民主党候補者争いからの撤退と、民主党のジョー・バイデン候補(当時)の支持を表明した。同日付amNYが伝えた。

同氏は「スーパーチューズデー」と呼ばれる3日、14州で行われた予備選挙で大敗。トランプ大統領を倒すため、バイデン候補支持に回った。また、有力候補の一人だったエリザベス・ウォーレン上院議員も撤退。

民主党指名候補争いは、中道派バイデン候補と左派バーニー・サンダース上院議員の一騎打ちとなり、その後バイデン氏に軍配が上がった。

世界有数の富豪であるブルームバーグ氏は、早期予備選挙を無視してスーパーチューズデーに焦点を絞り、5億ドル以上を使って全米で広告キャンペーンを展開した。

しかし、市長時代の人種差別的政策の支持や、女性差別的な発言が批判され、最終的に勝利を得たのは米国領サモアでのみ。全体の得票率は15%超にとどまった。


大坂なおみ優勝 全米オープン2度目

昨年9月12日、クイーンズ区のアーサー・アッシュ・スタジアムで行われた全米オープン女子シングルス決勝で、大坂なおみがビクトリア・アザレンカを破り、2度目の優勝を果たした。同日付ESPNが伝えた。

第1セットは1 – 6でアザレンカが獲得したが、第2セット6 – 3、第3セット6 – 3で、大坂の逆転優勝となった。同大会の女子シングルス決勝で第1セットを落としてからの逆転優勝は、1994年のサンチェス・ピカリオ以来。

大坂は本大会で7枚のマスクを着用。人種差別や暴力の犠牲となって死亡した黒人7人の名を、それぞれのマスクに記した。決勝では、2014年にエアガンを持っていたために警官に銃殺された、当時12歳だったタミル・ライス君の名の入ったマスクを着用。他の日には、ジョージ・フロイドさんやブレオナ・テイラーさんなどの名を記したマスクを着用した。

大坂は勝利インタビューで、マスク着用について「多くの人々が話し合うきっかけを作るためだ」と語った。この報道は日本でも大きく取り上げられた。


ガレージで子供虐待 「4年間で最も悪質」

2017年11月から20年1月にかけて自宅ガレージに子供1人を監禁し、ほぼ毎日虐待を加えていたとして、ニューヨーク州エリー郡在住のジェームス・ケビン・マクゴネル(40)被告とキャロル・スタイナグル(54)被告が告発された。昨年9月3日付FOX5ニューヨークが伝えた。

子供との関係や子供の年齢・性別は非公表。同郡連邦地方検事によると、虐待内容は「殴打する」「爪先に鉄の入ったブーツで蹴る」「食事を与えずトイレの利用を禁ずる」など。同検事は「私がこの地で4年間見てきた中で、殺人以外でおそらく最も悪質な行為」と述べた。

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