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ブルックリンらしさを教育に 個性やアイデンティティーを尊重する授業

多様性やインクルージョンを大切にするあおぞらコミュニティーでは、2歳〜5歳を対象としたプリスクールや、キンダーから学べる日本語クラスのアカデミー部門がある。今回はそのアカデミー部門について、同校のディレクター西間庭美穂さんにお話を伺った。


アカデミー部門について教えて下さい。

キンダーから8年生までが通う日本語プログラムの「イマージョンクラス(※1)」では、日本語を使って学び、子どもたちと一緒に探求・発見していくクラスです。「日本語学習者クラス(※2)」では、日本語学習経験が少ない又は全くない子どもが対象になります。「日本語学習」というと、平日に現地校へ通い、週末に補習校へ通うというスタイルでしたが、週末に時間を作ることが難しいご家庭もいて、学びの形は選択肢がある方がよいなと思い、平日の放課後のクラスと、土曜日のクラスを設けています。

当校では、多様性を尊重し、インクルーシブ教育を大切にしています。特にブルックリンは多様なコミュニティーが集まるエリアだと実感しています。当校には「日本生まれ米国育ち」の子どもや、「保護者が日系何世で、子どもに継承語教育を」というご家庭もいます。「保護者は日本人でも子どもは日本語が苦手」や、非日本人の保護者もいます。日本語が堪能で日本文化をとても大事にしているご家庭もあり、本当に様々です。

ニューヨークで日本人、日系、ハーフ、継承後教育と表現するにあたり、それらの定義にも変化がでてきていると思います。私たちもその変化に対応するべく、色々なタッチポイントで子供たちに「日本語」を経験させられる場所を提供できたらいいなと考えています。

授業の内容は?

「アカデミーでは、3年生は日本の3年生と同レベルの漢字を学ぶべき」とは考えません。また、日本の教科書を使用することも敢えてせず、弾力的かつ柔軟に独自のカリキュラムを編成しています。宿題も3種類用意して、その子に合った学習内容を提供するように努めています。

プリスクールから大切にしていることは「子どもたちにグローバルな視野で世界を見ることができる教育を」です。授業では世界情勢や、流行っていること、現地校でその時に学んでいることを取り上げています。日本の教科書に沿って学んでも、彼らにとっては、あまり響かないと思うんです。実際に身近なサブジェクトを通して日本語を学ぶ方が、より実用的に吸収することができます。できるだけ、子どもたちが自然な状態でのびのびと学べるようにしています。

将来、日本で生活する子どももいるかもしれませんが、他の国で生活する子もいるかもしれません。彼らがどこで生活しても、ここで学んだことが生きてくれればと願います。

先日、授業で創作絵本を作りましたが、とてもクリエイティブな発想、想像力をもっていて、彼らの自由で素晴らしいマインドに本当に感動しました。

オンラインサポートとは?

今年の9月から新たに、宿題や授業内容をオンラインサポートする取り組みを導入します。週に1回だけのクラスだと少なく感じるご家庭もあると思うんです。そこで週にもう1回、先生たちと話せる機会を設け、宿題のサポートや、授業中に相談できなかったことを話したりなど、コミュニケーションの場になればと思います。

自宅で日本語を話す機会がある子どもに比べて、普段日本語を話す機会がない子どもにとっては、日本語の勉強はとてもチャレンジなことだと思います。それでも日本語を学んでいきたい、続けていきたいという子どもたちのために私たちは、コミュニティーベースでサポートしていけたらと考えています。


あおぞらのカリキュラムで大切にしていること

The SDGs

人類が地球で暮らし続けていくための持続可能な国際目標の「The SDGs」を授業に取り入れ、一人ひとりがそれらの課題に何が必要か考え、行動力を育てている。また、人種差別問題やジェンダー平等など、今まさに我々大人が取り組んでいる問題についても子どもたちなりに答えを探り、よりよい世界とはを問いながら学んでいる。


食育カリキュラム

同校専属のシェフによる手作りの軽食や給食が提供される。「子供たちに本物を経験してほしい」という思いで、出汁や味噌も全て手作り。メニューは年間行事や季節に合わせて考案され、食を通して日本文化をも学べる。また授業の一環として、子供たちで「柏餅」やクッキーで「クリスマスのオーナメント」を作ることも。「食を通して子どもたちに体験してもらい、心に残してもらえたらと思っています」と美穂さん。


柔軟な授業内容

「子どもたちが成長すればするほど興味の幅も広がります。先日は、授業にファッションデザイナーが来てくれる機会があり、ドローイングをレクチャーしてくれました。そのクラスは女の子が特に多く、子どもたちはいつも以上に興味深々で、カタカナを必死に覚えていました」と美穂さん。その時々で子どもの興味があることも授業に反映させ、楽しく学べるように柔軟に対応している。


ファンドレイズ活動

アフリカでは食料問題のため、多くの子どもたちが給食を十分に食べられずにいることを知り、自分たちは彼らに一体何ができるのかを考え、子どもたちが給食費を寄付するためにおにぎりを作り、販売するファンドレイズを企画。他にもウクライナ戦争や「セーブ・ザ・チルドレン」と関連したファンドレイズ活動にタイムリーに取り組むなどして社会問題にも向き合っている。


コミュニティーとしての取り組み

実施に勉強している内容とシンクロして、コミュニティーベースでも同等の取り組み行っている。学校周辺のゴミ拾い活動を通して、地域の人々と触れ合い、地域の課題を子どもたちと共に考えるなどしている。また、環境問題を考え、フリーマーケットを企画し捨てるのではなく寄付やセカンドハンドのものを大切にすることなどを学んでいる。


アカデミー部門のクラス

「イマージョンクラス(※1)」
子どもの想像力をかきたて、世界観を広げ、クリティカルな思考を育むことを目標にしており、様々な経験をしながら学びを深めていくプログラム。平日の放課後と、土曜日の午前中(6年生から8年生は平日のみ)に開校。

「日本語学習者クラス(※2)」
日本語学習の経験が少ない、又は全くない生徒のためのクラス。学期ごとに登録ができ、年度の途中でも十分な準備が出来た場合、イマージョンクラスに参加することも可能。クラスは学年別で、キンダーから2年生と3年生から5年生は金曜日の午後に行われる。

今年の9月からは、夏・冬以外にも、公立校のホリデーに合わせ1日キャンプもオープン。「親にとっては1日だけの休みでも仕事を調整しないといけないのは大変なこと。また、普段の生活の中で日本語に触れる機会がより多くなることは、子供たちにとっても自然なことと感じてほしいです」と美穂さん。

Aozora Community
535 Clinton Ave.
2nd floor suite 2,
Brooklyn, NY 11238
TEL: 347-721-3521
aozoracommunity.org

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