YAチアダンスのポジティブマインド教育学

第12回 社会貢献活動から得る学び

元NFLチアリーダーが、海外に住む子育て世代の読者に向けて、ポジティブなマインドセットを養うメソッドを紹介する連載。


【今週の語り手:橋詰】

チアリーダーと言われて思い浮かべるのは、フィールドでポンポンを持って踊っている姿ではないでしょうか? 実は、チアリーダーは試合中にパフォーマンスをして会場を盛り上げるだけではなく、チームの顔として、多くの社会貢献活動を行っています。その活動は、学校訪問での子供たちとの交流や老人ホームへの訪問、海外にある米軍基地への慰問など、多岐に渡ります。

NFLチアリーダー時代に参加したピンクリボンイベント

アメリカで根付く奉仕の精神

この奉仕の精神というのは、アメリカ社会に強く根付いています。大学進学時、ボランティア経験も重要視される項目の一つとなっており、多くの子どもたちが小さい頃からボランティアの活動を継続して行っています。

YAチアダンスでも7月末の小学校高学年、中学生対象のサマーキャンプで、社会貢献活動に目を向けるプログラムを取り入れました。導入の背景としては、チアリーダーは踊るだけではなく、周りの誰かに貢献する存在であることを認識し、他の国の状況や社会の問題を知って、些細なことでも自分に何ができるかを考えて欲しいと思ったためです。

NFLでは毎年10月にピンクリボンの取り組みを行います。乳がんの周知を高めるため、選手やチアリーダーがピンクのものを身にまとい、試合に臨みます。そこからヒントを得て、今回のプログラムでは、「アウェアネスリボン」について考える機会を設けました。

自分に何ができるかを考える

アウェアネスリボンとは、特定の社会問題への理解や支援、またメッセージを表明するシンボルとして用いられています。例えばピンクは乳がん、オレンジは飢餓に苦しむ人々を表します。生徒にはさまざまなアウェアネスリボンの中から一つ選んでもらい、その理由を発表してもらいました。

ある生徒は、行方不明の子供を表す緑を選び、「自分と同じような子供が親から無理やり引き離されたり、命を落とすことを考えるだけで辛い。みんなには、自分の身の安全を第一に考えてほしい」と話してくれました。また、身内が肺がんで亡くなった経験から、肺がんを表す白を選ぶ生徒がいたりと、みんなそれぞれの経験や抱く想いから真剣にリボンの色を選び、自分に何ができるのかを考える時間を過ごすことができました。

アウェアネスリボンに加えプログラムの一貫として、それぞれの生徒が身近な人のために踊ったダンス動画を撮りました。ある生徒は乳がんと闘う祖母に送ると、「楽しさが伝わってきて、こっちも元気になる」とコメントをもらい、チアを通して誰かを元気にするという経験を得ました。物事の考え方や、意識が変わるきっかけとなったのではないかと思います。

生徒たちはアウェアネスリボンの意味を知ることで、世の中で起きているさまざな問題に対して、些細なことでも行動したいと話をしてくれました。今回のプログラムを通して、生徒一人ひとりが自分のために踊るのではなく、「誰かのために踊る」というチアリーダーマインドを持つことができていたら、大変嬉しく思います。

今回のサマーキャンプにとどまらずに、今後もチアリーダーとして、子供たちが社会問題に目を向け、自ら行動を起こすきっかけとなるようなプログラムを実施していく予定です。

 

講師プロフィール

河田侑子

6歳から新体操、高校からチアダンスを始める。
日本代表として出場した全米チアダンス大会で準優勝。
大学卒業後、NFL Dallas Cowboys Cheerleadersで活動する。現在、夫と息子とアリゾナに在住。

 

橋詰あずさ

5歳よりクラシックバレエを習い、高校でバレエ留学する。
大学卒業後、IBM BigBlue Cheerleadersに在籍。2016年に来米し、NFL Washington Redskins Cheerleadersで活動。
現在、夫と息子とタイで3人暮らし。

 

外部のチアスクールにレッスンを行いました

プロ野球球団東北楽天イーグルスのチアスクール、「楽天イーグルス・アカデミーチアダンススクール」の皆さん向けてレッスンを行いました。振り付けをしたダンスは、9月11日(日)の楽天イーグルスの試合で披露予定です。YAチアダンスでは、外部のスクールや、プロのチアチームにも振り付け、指導をしています。詳細やお問い合わせは、URLもしくはQRコードから。

yacheerdance.com

 

 

 

海外での子育てに関する相談や、チア教室についてなど、講師への質問を大募集。お問い合わせは editor@nyjapion.comまで。

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