~New Yorker’s English Expressions~ ニ&
元NFLチアリーダーが、海外に住む子育て世代の読者に向けて、ポジティブなマインドセットを養うメソッドを紹介する連載。
【今週の語り手: 橋詰】
「挫折」や「失敗」はなるべく避けて過ごしたい。そう思う人は多いですよね。私もそうです。挫折や失敗をするのは怖いですし、好き好んで失敗することはありません。けれど、頑張った結果、失敗してしまった時にどう対応するかを知っておくことは、生きていく上で大事なスキル、そして強みになると思います。
失敗した後に
どう立て直すか
1つ目に大切なことは、失敗してしまった時にどうリカバリーするかです。
ワシントン・レッドスキンズ・チアリーダー(現ワシントン・コマンダーズ・エンターテインメント・チーム)のオーディションでは、ファンからの質問に一人一人が答える時間が設けられます。事前にどういった質問が投げ掛けられるかわからない中、ある子に対する質問が「レッドスキンズが優勝した年は?」でした。彼女は答えを知らない様子でしたが、「確か1980年代だったはずだから、優勝した年だと思ったら教えてね! 81年、82年…」と数えていきました。審査員は正解を答えられるかではなく、与えられた質問に対してどう返せるか、ファンとどうコミュニケーションできるかを見ていたのです。彼女は見事、その審査を通過したのでした。
これはダンスにも通ずることで、私自身パフォーマンス中に一番前で逆方向を向いて踊ってしまったことがあり、頭の中はパニックでしたが何事もなかったかのように笑顔で踊り続けました。堂々としていたからか、観客席の友人には全く気付かれませんでした。
YAチアダンスでは、生徒に対して「間違えてはいけない」とは決して言いません。間違いや失敗は起こり得るもので「完璧に踊りなさい」と伝えたり、間違えたことに対して頭ごなしに怒ったりするのはナンセンスです。私たちは、失敗した後どう対応するかを学んでほしい。生徒たちには「間違えてただ棒立ちになるんじゃなくて、分かる部分から踊り始めて。振りを忘れてしまったら、音に合わせて即興で踊るくらい堂々としていたらいいよ」と話します。そして「次、踊るときに間違えないためにはどうしたらいい?」と問い掛けるのです。
失敗から何を学び、
どう成長していくか
2つ目に大切なことは、失敗から何を学ぶか、そしてそこからいかに成長できるかということです。
失敗や挫折をそのまま放置して諦めてしまうのはもったいないもの。NFLのオーディションに1回で合格する人は少なく、5年受け続けて受かる人もいれば、受からない人もいます。合格には運も左右しますが、チームが何を求めているのか、自分に何が足りなかったのか、どう改善すべきかなどをしっかりと考える必要があるのです。
また、失敗から学べるようになるには、なぜ失敗したのかについて気付けたり、より良くなるためにどうすべきなのかを考える癖を付けたりすることが重要です。
そのためレッスン中は、講師がわざと間違ったお手本を見せて生徒に修正させたり、うまく踊るために気を付けたい点を生徒に述べてもらったりもしています。自ら改善点を見つけ、発言に責任を持って目標を達成させることも学んでもらいたい。レッスン内でできることは限られていますが、将来何かうまくいかなかった時にポジティブに考え、行動するきっかけになればと思っています。
講師プロフィール
河田侑子
6歳から新体操、高校からチアダンスを始める。
日本代表として出場した全米チアダンス大会で準優勝。
大学卒業後、NFL Dallas Cowboys Cheerleadersで活動する。現在、夫と息子とアリゾナに在住。
橋詰あずさ
5歳よりクラシックバレエを習い、高校でバレエ留学する。
大学卒業後、IBM BigBlue Cheerleadersに在籍。2016年に来米し、NFL Washington Redskins Cheerleadersで活動。
現在、夫と息子とタイで3人暮らし。
生徒たちが全米桜祭りに出演!
ワシントンD.C.エリアに住む生徒たちが4月9日(土)に全米桜祭り、Japan Street Festivalでパフォーマンスを行いました。今までオンラインでたくさん練習してきた生徒にとって、久々の観客の前でのパフォーマンス。出演した生徒は「パフォーマンスを成功させるためには、しっかり準備を行うこと、そしてチームワークが大切であることを身を持って学んだ」と話してくれました。オンラインクラスですが、まとまった数の生徒が住むエリアではイベントに出演していきたいと考えています。
海外での子育てに関する相談や、チア教室についてなど、講師への質問を大募集。お問い合わせは editor@nyjapion.comまで。