グローバル時代の子育て

英語に触れさせるタイミングは?<最終回>

バイリンガル育児で難しいのが英語に触れさせるタイミングです。英語を身に付けてほしいけど、日本語もきちんと育てたい!そう願うのは親として当然です。

キンダーガーテン(5歳)未満の子ども

キンダーガーテン以前の子どもの場合、言語教育の原則は「日本語が先で英語は後」です。親から伝承される日本語は、情緒、性格、感性など人間形成に大きな影響を及ぼします。異文化で育つ子どもにとって日本語はアイデンティティー形成の土台となる大切なものです。

海外では日本語環境が弱くなりますから親が意図的に日本語のインプットを増やす必要があります。日本語で豊かに語りかけ、歌いかけ、日本語の絵本を読んであげてください。同時に日本語の文字にも多く触れられる家庭環境作りを心がけましょう。

英語教育は遅くてもキンダーガーテンに上がる1年前(4歳)からスタートすることをお勧めします。英語が全く分からない状態で現地のキンダーガーテンに入ることは子どもにとって大きなストレスです。自信喪失や不登校の原因になりかねませんので必ず事前に準備してあげてください。
現地校への準備は英語オンリーのプリスクールに通わせることが最適です。英語力が向上することはもちろん、アメリカ文化やアメリカ的コミュニケーションスタイルを身に付けることができます。

必要以上に日本語にこだわらない

将来日本に帰国予定、あるいは子どもにしっかり日本語を身に付けてもらいたいからと英語を完全シャットアウトするケースがあります。家中に日本語の文字チャートを貼り、日本語の本を並べ、日本語のテレビを流しっぱなしにし、日本語のプリスクールや幼稚園に通わせ、友達も日本人だけ。

極端な日本語環境を作ると、子どもが現地校にうまく適応できないことがあります。家庭では日本語のインプットを増やす努力が必要ですが、英語については神経質にならず、生活する土地の主要言語として自然に受け入れてください。

アメリカでは簡単に生の英語に触れることができます。英語のテレビ番組を見せたり、親子教室、習い事、コミュニティーイベントに参加して英語ネーティブと触れ合う機会を与えてください。アメリカ人の友達ができると子どもの英語力が目に見えて向上します。

小学生以上の子どもの場合

小学生以上の子どもを連れてアメリカに移り住む場合、言語教育の原則は「英語が先で日本語は後」です。当面日本語教育はお休みして、英語力を向上させることに尽力してください。

日本で何不自由なく生活していた子どもが、ある日突然、言葉が全く通じない現地校に放り込まれるのです。授業が分からず、友達ができず、言いたいことが言えず、本当につらい思いを経験します。日本で元気だった子どもが、現地校に入った途端無口になったり、自信喪失に陥るケースもあります。

この状況から子どもを救い出すには「英語の読み書き」を集中サポートすることが近道です。すでに日本語の読み書きを身に付けている子どもは、英語の読み書きも短期間で身に付けることができます。英会話は不自由でも読み書きができるようになると授業についていけるようになり、自信が回復します。

日本語を確立している子どもが一時的に日本語から離れたからといって日本語力が大きく落ち込む心配はありません。家庭では普通に日本語で会話し、日本語の本やマンガに触れさせてあげれば大丈夫です。

英語教育のスタートはフォニックス

子どもの読み書きのサポートは、英語を正しい発音で読む訓練であるフォニックスが最適です。英語には44種類の音と120種類のスペリング(綴り)パターンがあります。これらを一通り学ぶことで未知の単語であっても正しい発音で読めるようになります。

 

 

 

 

 

船津徹 (ふなつ・とおる)

TLC for Kids代表 教育コンサルタント

1990年明治大学経営学部卒業。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。
しちだ式教材制作に従事。2001年ハワイ州ホノルルにてグローバル教育を行う学習塾
TLC for Kidsを開設。
2015年に
TLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校開設。2017年上海校開設。
アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上のバイリンガルの子どもの教育に携わる。
イエール大学、ペンシルバニア大学など米国のトップ大学への合格者を多数輩出。
著書に「すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。」(ダイヤモンド社)、「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)。

 

 

 

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