グローバル時代の子育て

日本語と英語、どちらが大切?

バイリンガル子育てを実践している家庭が必ずぶつかる問題が、日本語と英語のバランスです。どちらも高いレベルで育てることが理想ですが、どちらかの言語に偏ったり、不自然な言語環境を与えると、子どもの言語発達に遅れが生じることがあるので注意が必要です。

日本語を失うケースとは?

父親の転勤で幼児を連れてアメリカに移り住んだある家庭。両親はこのチャンスを利用して子どもをバイリンガルに育てようと決意。3歳になったばかりの子どもを完全英語環境(日本人がいない)のプリスクールに入れました。

プリスクールに通い始めて半年もしないうちに、子どもは流ちょうな発音で英語を話すようになりました。両親は英語を話すわが子の姿に感動し、もっと英語を上達させようと、家庭でも英語のテレビ番組をつけっぱなしにしました。

アメリカに移り住んで1年経った頃には、プリスクールの友だちとごく自然にコミュニケーションができる英会話力を身に付けました。4歳からはアフタースクールで習い事(完全英語環境)を始めたので、朝から晩まで英語漬けという生活が続きました。

英語力が急速に発達した一方で、日本語について心配な事が多くなりました。日本語の発音が巻き舌になったり、日本語と英語が混ざることが多くなったのです。日本語がとっさに口から出ず、どもったり「あのー、あのー」と繰り返すことがしばしば起こるようになりました。

6歳以下の子どもは日本語重視

英語圏で暮らせば、子どもは自然とバイリンガルになると思っている人が多いのですが、バイリンガル子育てはそんなに簡単なものではありません。英語環境が強い海外では、日本語が弱くなったり、学齢期になって(英語&日本語の)学習活動に支障をきたすことがあります。

日本で「セミリンガル」や「ダブルリミテッド」と呼ばれるこの現象は、言語形成期の子どもが、母語習得の機会が少ないまま強い外国語環境に置かれることによって起こります。

海外でのバイリンガル教育を成功させる秘訣は「日本語を強固に育てること」です。特に6歳以下の子どもの日本語の発達には細心の注意が必要です。海外では日本語環境が希薄になりますから、親が気付かないうちに日本語の発達が遅れることが多いのです。

小学生以上は英語の読み書き重視

小学生になってから海外の学校に通う子どもの場合、日本語の土台(日本語の読み書き力)が構築されていますから、日本語学習を減らしても、極端に日本語力が弱くなる心配はありません。心配すべきは英語力です。中でも「英語の読み書き」を重点的にサポートすることが大切です。

一般に英語を第二言語で学ぶ子どもが学年レベルの学習言語力(読み書き力)を身に付けるには5年〜7年かかると言われています。少し想像すれば分かりますが、5年も英語ができない状態が続けば、どの子も「自分は英語が苦手だ」「自分は勉強ができない」と自信喪失してしまいます。

自信喪失から子どもを救い出すには、家庭において「読み書き」をサポートすることが大切です。具体的にはフォニックスやサイトワーズで文字が正しい発音で読めるようにし、そこからは「多読」で英語の本がスラスラ読めるように導くのです。家庭でサポートを与えることで学習英語力の習得期間を著しく短縮することが可能です。

日本語も英語も「リーディング力」がカギ

日本語も英語もカギとなるのは「リーディング力」です。日本語の本が読める。英語の本も読める。二つの言語で読書を楽しめるようになれば、言語環境がどう変わっても、両言語とも一生使える技能として定着します。

 

 

 

 

船津徹 (ふなつ・とおる)

TLC for Kids代表 教育コンサルタント

1990年明治大学経営学部卒業。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。
しちだ式教材制作に従事。2001年ハワイ州ホノルルにてグローバル教育を行う学習塾
TLC for Kidsを開設。
2015年に
TLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校開設。2017年上海校開設。
アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上のバイリンガルの子どもの教育に携わる。
イエール大学、ペンシルバニア大学など米国のトップ大学への合格者を多数輩出。
著書に「すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。」(ダイヤモンド社)、「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)。

 

 

 

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