グローバル時代の子育て

フォニックスの教え方 その1

フォニックスとは何か?

日本語の文字学習が「かな五十音」から始まるように、英語のリーディング学習もアルファベットの「文字」と「音」の関係を学ぶことからスタートします。英語圏ではこれを「フォニックス」と呼びます。ひらがなを知らずに日本語の本が読めないように、フォニックスを学ばなければ正しい発音で英語の本が読めるようになりません。

フォニックスには、「44種類の音」と「120通りのつづりパターン」があります。これらを全て学習するには最低でも2年かかります。ここでは、フォニックスの基本であるアルファベット26文字、そして3〜4文字単語の学習法をご紹介します。基本が分かれば、他の「音」や「つづり」も学習方法は同じです。子供の習熟度に応じて、5文字単語、6文字単語と難易度を上げていけばよいのです。

アルファベットの教え方

まずは基本からご説明します。英語のアルファベットには二通りの読み方があります。一つは「ABCDE=エイ ビー シー ディー イー」です。これはアルファベットの「名前」であり、フォニックスの「44種類の音」ではありません。アルファベットの「名前」を覚えても簡単な三文字単語すら読むことができません。「CAT」は「シー・エイ・ティー」となってしまいます。

もう一つの読み方が「abcde=ア ブ ク ド エ」で、これがアルファベットの「音」です。これを「フォニックス読み」と呼びます。フォニックス読みを学ぶことで「CAT」=「クアット」と正しい発音で、単語が読めるようになります。

ではアルファベットの「名前」を子どもに教える必要がないかと言えば、そんなことはありません。例えば自分の名前を相手に伝える時に、「My name is HIRO. エイチ アイ アール オー」とアルファベットの名前を使うケースが多くあります。フォニックス指導はアルファベットの「名前」と「音」を同時に教えるのが一般的です。

フォニックス読みの教え方

やり方は簡単です。「A says a, a, a/エイ セッズ ア、ア、ア」「B says b, b, b/ビー セッズ ブ、ブ、ブ」という要領で「名前」と「音」をセットで教えます。英語を初めて学ぶ子どもの場合、いきなり文字から入るのでなく、フォニックス動画を見せたり、フォニックスの歌を聞かせて、英語の音に耳を慣らしておくことをお勧めします。

YouTubeで「Phonics Song」「Letter Sounds Song」と検索すれば、ネーティブ音声入りの動画がたくさん見つかります。それらを親子で一緒に見て、英語の音と文字に対する免疫を付けたらフォニックス学習のスタートです!

アルファベットチャートで教える

フォニックス学習の必需品は、「アルファベットチャート」です。お勧めは大文字と小文字の両方がプリントされているもの、イラストが含まれるものです。幼い子供はイラストを見ているだけでボキャブラリーを増やすことができます。

親が文字を指差しながら「A, a, ant/エイ、ア、アント」と読んで聞かせます。大文字[A]を指して「エイ」、小文字[a]を指して「ア」、[ant]の文字(イラスト)を指して「アント」という要領です。

26文字を一度に教えると飽きてしまいますから、最初は「A, B, C, D, E」の5文字を教えてみましょう。「A, a/エイ、ア」「B, b/ビー、ブ」と「名前と音」だけを教えたり「a, a, axb, b, bugc, c, cap」という要領で、「音と単語」だけを教える方法もバリエーションとして取り入れてください。

フォニックスチャートは私のブログで無料ダウンロード(ameblo.jp/tlcforkids)できます。

 

 

 

 

 

船津徹 (ふなつ・とおる)

TLC for Kids代表 教育コンサルタント

1990年明治大学経営学部卒業。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。
しちだ式教材制作に従事。2001年ハワイ州ホノルルにてグローバル教育を行う学習塾
TLC for Kidsを開設。
2015年に
TLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校開設。2017年上海校開設。
アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上のバイリンガルの子どもの教育に携わる。
イエール大学、ペンシルバニア大学など米国のトップ大学への合格者を多数輩出。
著書に「すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。」(ダイヤモンド社)、「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)。

 

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