ゆっくりと感じ 体の「気付き」を知る

「おはようございます」。と元気な声で始まったヴァインホルド響子さんのフェルデンクライスレッスン。以前はニューヨークで音楽家として活躍していた響子さんだが、自身の体調不良をきっかけに、フェルデンクライスを学び、現在はドイツ・ハンブルクに移住。同クラスをオンラインで開催しているという。

まずは、模型を使って「皆さん、骨盤の形ってどんな形か分かりますか」と問う響子さん。模型の骨の位置を参加者らに見せながら、丁寧に教えていく。フェルデンクライスの特徴は、講師がお手本を見せないこと。参加者らも自分なりに骨の位置を触りながら、確認していった。

 

今回のレッスンで用意したものは、マットレスと椅子のみ。ドイツ、ロンドン、日本、ニューヨークなど各地から参加していた

 

「それではあおむけになりましょう」と声を掛ける。「自然に呼吸しながら、自分が床にどう寝ているかをまずは感じてみましょう」と、響子さんのやさしい声が響き渡る。「直接触らずに、かかとから膝、骨盤、尾てい骨、背骨、肩、頭まで、順に上に向かってゆっくりと意識してみてください。骨の位置が分からないと感じたら、戻ったりしながら自分のペースで感じてくださいね」。

中には不安そうな参加者もいるが、画面を見ながら響子さんは、「違いを感じてもその場で直さなくて大丈夫ですよ。ただ、感じてください」と参加者たちをリラックスさせる。

ゆっくりと起き上がった後は椅子に座り、カメラに対して横向きに座る。「両足をしっかり床に付けて安定させながら、右の骨盤を少し持ち上げて、左の座骨に体重を感じながら戻ってみましょう」と促し、左側も同様に行う。「疲れたら休んでください。皆さん大丈夫ですか」と、時々声を掛ける。ゆっくりと進行し、最後は質問タイム。参加者らがそれぞれ感じた気付きを問い合わせ、響子さんが順に回答していった。

 

フェルデンクライス本人が研究の末に作り上げたテクニック

 

2回目の参加という雨宮ひろなさんは、「普段は歌ったり、バイオリンを弾いたりしているので、他のテクニックなども活用しているのですが、このテクニックもすごく気持ちが良くて、今も声がすごく通る感じがします」と語った。

初めて参加した、ようこワレスさんは、「自分の体と向き合う時間が初めてで、座骨を動かすことも意識したことがありませんでした。自分は右に片寄っているなとか、気付きがあって、今後も姿勢や動きを意識していきたいなと思いました」と驚きを感じていた。

 

骨の位置について、模型を使いながら丁寧に説明する響子さん

 

整体師としても活躍する、ボストンから参加の武田かおるさんは、「骨盤が温かくなるというか、ゆがみが整ったように感じました。自分の内側に意識を持つことが心身の健康につながっているのだなと、有意義な時間を今日は過ごせました」と爽快に語った。

響子さんは、「フェルデンクライスは、『頑張らないことを頑張る』メソッドです。

自身の体により深く気付くきっかけとなれば嬉しいです」と、ほほ笑んだ。

 

 

 

 

 

今週の先生
ヴァインホルド響子さん

 

フェルデンクライスは何百種類というレッスンがあり、毎回違うものを選んで行っています。音楽やスポーツなど体を使う人、肩凝りや腰痛など体調不良を感じている人、疲れやストレスがたまっている人など、さまざまな人に良い影響があるので参加してほしいです。自分の体と向き合いながら、体が楽になるために自分を観察し続けていけるものなので、どんな人も歓迎です。

 

 

Feldenkrais Lesson

個人、グループレッスンをドイツからオンラインにて開催中。
生徒は世界中どこからでも参加可能。
予約など詳細は、ウェブサイトより問い合わせを。
【問い合わせ】
feldenkraisliving.com

 

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