グローバル時代の子育て

リーディング力を育てる順番

小学5年生で「英検準1級」に合格したタカシ君は、帰国子女でもなければインターナショナルスクールに通っているわけでもありません。タカシ君は、家庭学習だけで高度な英語力を身に付けたのです。

英語好きの母親の影響で、幼いころから英語の歌や動画に触れて育ちました。日本語の発語がしっかりしてきたころから、母親はフォニックスの絵本やドリルを与えて、英語の本が読めるようになる環境作りを心掛けました。タカシ君はいつの間にか単語が読めるようになり、5歳のころには短い絵本なら一人で読めるようになっていたそうです。お母さんに英語習得の秘訣を伺うと、以下の答えが返ってきました。

——「読解力」が全てだと思います。息子が音読する横で、読み終えると「すごいね!」とたくさん褒めてあげたのが良かったと思います。本は少しずつ内容を難しくしつつ、大量に与えることを心掛けました。単語は読書や動画などから覚えてしまうようで、特に教えることはありませんでした。今でも「英語は簡単」と言っています。

リーディングを身に付ける順序

日本でも海外でも、子どもが高度な英語力を身に付けるには、「英語の本を読む力=リーディング力」を鍛えることが近道です。子どもにとってリーディング力を最もスムーズに身に付けられる順序は、「フォニックス」扌「サイトワーズ」扌「リーディングフルエンシー」です。

フォニックスは英語の「ひらがな」、サイトワーズは英語の「漢字」、リーディングフルエンシーは英語の「読解力」を育てる取り組みと理解してください。適切な順序で英語学習に取り組むことで、短期間で英語の本がスラスラと読めるようになります。海外在住の場合も同様です。リーディング力の習得を学校任せにせず、家庭でも上記の順序でサポートをすることで、リーディング力の習得を飛躍的にスピードアップさせることができます。

フォニックスをスタートする年齢

フォニックスをスタートする適齢期は、4歳以上です。4歳未満の子どもに教えることもできますが、フォニックスには「理屈」が付きまとうので、幼い子どもには理解できないケースがあります。

4歳以上から本格的なフォニックス学習がスタートでき、アルファベット26文字の名前と音(Aの場合エイとア)を覚えることから始まり、英単語を正しく読むために必要と言われる「44種類の音」と「120通りのつづりパターン」を覚えることがゴールです。

サイトワーズをスタートするタイミング

フォニックスでアルファベットを一通り覚えたら、次のステップである「サイトワーズ」に取り組みます。

サイトワーズは「一目で読める単語」という意味です。同単語には[the][have]のようにフォニックスでは読めない単語が含まれます。[the]はフォニックス読みでは「ト」「ハ」「エ」となってしまいます。

サイトワーズは一文字ずつ拾い読むのではなく、単語ごと丸暗記します。英語圏の子どもたちは、毎週10〜20語の単語をスペリングテストで覚えます。日本の漢字テストと同様です。

リーディングフルエンシー

リーディングフルエンシーは「早いスピードで、流ちょうに英語の本が読める状態」です。米小学校では、リーディングフルエンシーが身に付いているか否かを、一般に読書スピードによって診断します。小学1年生で1分間に60〜100単語、2年生で100〜150単語を「正確に音読できる」ことが目安です。

リーディングフルエンシーは「簡単で短い本の多読」で身に付けます。1ページに2〜8単語、全体で8〜16ページ程度の「超簡単な本」からスタートします。1冊を読むのに1分程度しかかかりませんから、どの子も必ず読み終えることができます。「成功体験」を積ませることがコツです。

 

 

 

 

船津徹 (ふなつ・とおる)

TLC for Kids代表 教育コンサルタント

1990年明治大学経営学部卒業。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。
しちだ式教材制作に従事。2001年ハワイ州ホノルルにてグローバル教育を行う学習塾
TLC for Kidsを開設。
2015年に
TLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校開設。2017年上海校開設。
アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上のバイリンガルの子どもの教育に携わる。
イエール大学、ペンシルバニア大学など米国のトップ大学への合格者を多数輩出。
著書に「すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。」(ダイヤモンド社)、「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)。

               

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