グローバル時代の子育て

習い事で「強み」をつける

習い事を選ぶ際に多くの親が考えるのが「弱点の克服」です。

例えば、「気が弱いから空手に通わせよう」「集中力がないからそろばんを習わせよう」などです。

うまくできないことは
つまらない

弱点の克服のために習い事に通わせることは無駄ではありませんが、大きな飛躍は期待できません。

そもそも、子どもにとって「うまくできないこと」は楽しくないのです。自分の殻を打ち破ってもらいたい! そう期待するのであれば、弱点ではなく、子どもの「強み」に目を向けることが大切です。

大人でも同じです。弱点やコンプレックスを克服しようとセミナーやワークショップに参加しても、結局、改善できないことがほとんどです。

うまくできないことよりも、得意なこと、やっていて楽しいことに取り組んだ方が、自信が大きくなり、結果としてコンプレックスの克服につながるのです。

得意なことや好きなことは、何時間でも集中してやり続けることができますから、人よりも早く上達するのです。

基礎的な技能を身に付けたら、次のステップは勇気を持って、トーナメントや発表会などに参加することです。大会で優勝して周囲から、「うまいね」と言われれば、「自信」が大きくなります。

コツコツと努力を重ね、競争に参加し、チャレンジし続けることによって、「自信」が大きくなります。すると、それまで「弱み」だったことやコンプレックスは、小さくなり目立たなくなっていきます。

「個性」や「強み」の
芽を伸ばす

弱みに気を取られて、強みの芽をつぶしてはいけません。子どもの良い面に着目して習い事を選んであげてください。ポイントは性格に合っているもの、子どもが自主的なやる気で取り組める何かを見つけてあげること。

最初は両親が経験ある習い事や、両親が好きなことを子どもと一緒に始めるとうまくいくケースが多いです。習い事を「強み」へと導くポイントは以下の三つです。

①子どもが自主的な「やる気」で続けられるものを見つける(親が経験した習い事は子どもの「好き」になりやすい)

②子どもの良い面(特性・個性)を見つけて、伸ばす

③周囲の子どもより少しうまくしてあげる

まずは、子どもが好きなこと、興味があることを優先させてください。さらに、子どもの良い面(身体的・精神的・性格的・技術的)を伸ばしてあげてください。その上で、子どもをアシストして「周囲よりうまく」してあげてください。

うまくできれば
継続できる

身体を動かすことが好きで、疲れ知らずで何時間でも走り回っている子どもをサッカー教室に入れようと考えます。でもいきなり教室に入れてはいけません。まずは、親が子どもにドリブルやパスなどの基本的な技能を教えてあげてください。

そして、子どもの良い面(強み)を見つけて、その部分を強化してあげます。すると教室に参加したときに、コーチから「◯◯君はサッカーの才能があるね!」とほめてもらえます。そうすると子どもの「やる気」スイッチが入り、自主的に練習するようになるのです。

家庭で「やる気」の
充電を!

両親は、子どもの「やる気」を充電することに配慮しましょう。一緒にサッカーの試合を見に行ったり、親子でフットサルを楽しんだり、家族とのリラックスした時間が子どもの「やる気」を充電します。

子ども時代の経験がポジティブなものであれば、習い事は子どもの「強み」となって子どもの人生に大きく貢献してくれます。失敗や敗北や挫折を経験した時に「絶対に負けないぞ!」と自分を奮い立たせ、チャレンジを継続していく原動力となるのが「習い事」で身に付けた「自信」なのです。

 

 

 

 

船津徹 (ふなつ・とおる)

TLC for Kids代表 教育コンサルタント

1990年明治大学経営学部卒業。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。
しちだ式教材制作に従事。2001年ハワイ州ホノルルにてグローバル教育を行う学習塾
TLC for Kidsを開設。
2015年に
TLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校開設。2017年上海校開設。
アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上のバイリンガルの子どもの教育に携わる。
イエール大学、ペンシルバニア大学など米国のトップ大学への合格者を多数輩出。
著書に「すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。」(ダイヤモンド社)、「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)。

               

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