~New Yorker’s English Expressions~ ニ&
私(船津徹)の新著『すべての子どもは天才になれる、あなた(親)の行動で。』が発売中です! 子どもの個性を才能に変える家庭教育について解説する一冊です。以下本文からの抜粋をご紹介します。
課外活動に目を向ける
優秀な子が育つ環境で必ず行われていることが、習い事です。
例えば、ハーバードやイェール大学など、世界でも最難関大学の集まりであるアイビーリーグ大学には、学力が高いだけでは合格できません。学校の成績がオールAでも、SATと呼ばれる大学入試テストで満点を取っても、スポーツ、吹奏楽、演劇といった課外活動に取り組んでいない生徒は(ほぼ)合格できないのです。
アイビーリーグ大学の合格を勝ち取った生徒のプロフィールを見ると、文武両道、文芸両道は当たり前。勉強がトップレベルであるだけでなく、スポーツや音楽などの習い事面の技能も地域や国のトップクラスであるケースが多いのです。さらに生徒会の活動、ボランティア活動など、忙しい学校生活の中で課外活動にも休む暇なく突き進んできたことが分かります。
習い事を成功させる秘訣は「仕組み作り」
日々の勉強に加えて、クラブ活動に本気で取り組むことは並大抵の努力ではありません。しかし、忙しい中でも諦めずに努力を継続してきたことで、「何事にも全力で取り組む」という資質が確かに身に付いていくのです。
このような例を見ると、「優秀な人は血筋として優秀」なのだと考えてしまいますが、もともとの才能の問題ではありません。
親がどんな強みを見つけられるか、その強みを生かした習い事の選択肢を用意できるか、子どものやる気を奮い立たせられるか、サポートできるか、といった「仕組み作り」に掛かっているのです。
日本でも、多くの家庭で子どもが4〜5歳になると習い事を考え始めます。
「どうして習い事をさせるのですか?」と私の塾の父兄に聞き取りをしたところ、「子どもの可能性を広げるため」という声が一番多く聞かれました。
しかし、スポーツ、音楽、演劇、アートなど、数ある習い事の全てを経験させることはできません。また、いろいろな分野を経験させたいからと、次々に習い事を変える(やめさせる)ことは、子どもにとっても「失敗体験」を積ませることになるので、非常によくありません。
習い事の目的は「やり抜く習慣」を育てること
そもそも習い事の目的は、二つあります。
一つは、子どもの好きなこと、得意分野を見つけて「強み」を持たせること。そしてもう一つが、「やり抜く習慣」を身に付けさせるためです。
習い事をする上でもっとも大切なのことが、やり続けること。1年や2年でやめるのではなく、小学校、中学校、できれば高校時代も通して、10年以上は習い事をやり続けることが重要です。続けていくことで、「物事をやり抜く習慣」が大きく育ちます。
「やり抜く習慣」は、勉強はもちろん、社会に出た時にもさまざまな経験を乗り越えるために子どもを支えてくれる習慣です。
自ら始めたことに責任を持ち、困難にへこたれず、やり抜く。そんな姿勢を持つ人は、どんな場所でも活躍していきます。
なぜ続けることが大切なのか?
「習い事はいろいろなものに挑戦させるべき」、という考え方もありますが、その場合も子どもの特性に合ったものであることが大切です。
例えば、運動が苦手な子どもをいろいろなスポーツに挑戦させても、嫌な経験、劣等体験を植え付けるだけです。
子どもの資質に合うものを継続して「やり抜く習慣」が育たないと、子どもの能力は十分に伸びません。やり抜かなければ、成功体験が積めない。成功体験が積めないと、自分に自信が持てない。自信がないからいっそうチャレンジをしなくなる、といった悪循環が起きてしまうのです。
船津徹 (ふなつ・とおる)
TLC for Kids代表 教育コンサルタント
1990年明治大学経営学部卒業。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。
しちだ式教材制作に従事。2001年ハワイ州ホノルルにてグローバル教育を行う学習塾TLC for Kidsを開設。
2015年にTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校開設。2017年上海校開設。
アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上のバイリンガルの子どもの教育に携わる。
イエール大学、ペンシルバニア大学など米国のトップ大学への合格者を多数輩出。
著書に「すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。」(ダイヤモンド社)、「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)。