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海外の学校に通う子どもは親の想像以上に大きなストレスを受けます。二つの異なる言葉と文化を受け入れることは、子どもといえども楽な道ではありません。思考錯誤し、失敗や挫折を乗り越え、恐怖に打ち勝ち、前を向いて歩いていかなければなりません。そんな子どもたちのオアシスが「家庭」です。
学校で疲れた心身をいやしてくれる場所。鎧(よろい)を脱いで素直な自分でいられる場所。それが家庭なのです。もちろん、両親も慣れない海外生活では苦労することが多いと思います。しかし、家庭で子どもと一緒に過ごす時間だけは楽しく、リラックスしたものとなるように意識していただきたいのです。
「食卓」では雑談が基本
家庭環境で特に大切なのが食事の時間です。子どもの好き嫌いをなくそうとか、食事のしつけをしようとか、小言やお説教などは一切やめて、楽しい家族団らんの時間にすることを第一に考えてください。
その日にあった出来事やニュースなどについて、家族全員が忌憚(きたん)なく話をできることが理想です。家族全員がそれぞれの意見や考えを尊重して、何でも言えるような雰囲気作りを心掛けてください。
例えば「今日スーパーでこんな人がいたよ!」と話を母親が切り出せば、子どもも「そういえばこんなクラスメートがいるよ!」と話に乗ってくるかもしれません。食事中は楽しい雑談が基本。小言は厳禁です。
楽しい食事が学力とコミュニケーション力を育む
やや古いデータですが、2007年にベネッセ教育研究開発センターが行なった調査では、家族そろって朝食や夕食を楽しんでいる家庭の子どもほど、家族関係や友人関係が良好なことが分かっています。
コロンビア大学が行なった調査では、週に5回以上家族で食事を取る子どもは学校の成績が良好で、問題行動を起こすことが少ないことが分かっています。食事中に家族でさまざまな会話をすることが、知識を深め、語彙(ごい)を豊かにし、学力の土台となり、成績向上につながるというわけです。
食事中の会話に両親の仕事の話、政治経済の話、時事問題など、学校生活では聞くことのできない話題が多いほど、子どもは多くの知識を吸収し、さまざまな問題について考える力を伸ばしていくことができるのです。
好き嫌いは楽しい食事で解決する
子どもの好き嫌いを直そうと躍起になっている母親が多くいます。もちろん子どもに安全で栄養バランスの良い食事を与えることは大切です。しかし「残しちゃダメ」「野菜を食べなさい!」と無理に食べさせようとすることは、かえって子どもの好き嫌いを長引かせることにつながります。
好き嫌いを直すには、食事中の雰囲気を改善することが大切です。食事の見た目を楽しくし、楽しい会話を心がけるのです。「食事の時間=無理やり野菜を食べさせられる時間」ではなく、「食事の時間=楽しい時間」にしてください。
家族で楽しい話をしていると、子どもはいつの間にか何でも食べるようになります。また、子どもと一緒に食事を作るのもよいでしょう。自分で作った料理は格別に美味しい味がするものです。
何でも話せる環境を作る
家族と過ごす時間が楽しければ、子どもはリクエストされずとも自ら話題を提供するようになります。子どもが勉強や人間関係などの悩みを何でも親に相談できれば、ストレスを溜め込むことが少なくなります。
また、勉強面でも分からないことを放っておくことがなくなり、学習の消化不良に陥らずに済むのです。これは、習い事の継続、進路の相談などでも非常に役立ってきます。
平日は家族全員が揃うことが難しいという場合は、週末だけでも一緒に食事をとることをルールにするとよいでしょう。
船津徹 (ふなつ・とおる)
TLC for Kids代表 教育コンサルタント
1990年明治大学経営学部卒業。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。
しちだ式教材制作に従事。2001年ハワイ州ホノルルにてグローバル教育を行う学習塾TLC for Kidsを開設。
2015年にTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校開設。2017年上海校開設。
アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上のバイリンガルの子どもの教育に携わる。
イエール大学、ペンシルバニア大学など米国のトップ大学への合格者を多数輩出。
著書に「すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。」(ダイヤモンド社)、「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)。
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