日本舞踊を通じて エレガントに美しく

日米の文化交流を目指し、伊藤さちよさんが1981年に設立した「伊藤さちよ舞踊団」。ニューヨークで毎年恒例となっているブルックリン植物園の「桜祭り」や、学校、美術館など公共施設での公演など、日本舞踊を通して精力的に活動している。

この日は、来年春に行われる「桜祭り」の演目の練習のため、まだ通い始めて数回の初心者の生徒とベテランの生徒が一堂に集まった。

経験の浅い生徒には、扇子や着物の袖部分の、手の持ち方の説明から。「扇子と体が一体になり、優雅に表現していけるよう肘を袖の中で曲げて」と、外国人の生徒のために日本語と英語の両方で説明する伊藤さん。「おなかは出さないよう、姿勢良く真っすぐ立ちましょう」と、1人ずつ丁寧に教えた。

 

来年春の「桜祭り」公演に向けて練習する、伊藤さちよさんと生徒たち

 

実際に曲に合わせて踊るステップに進むと、「先週覚えたことをまずは繰り返しやってみましょう」という伊藤さんの言葉に合わせ、曲に合わせながら、流れるように踊る生徒たち。歌詞の内容をより深く理解してもらうために、ゆっくりと見本となる振り付けを踊る伊藤さんを、真剣な眼差しで見つめ、真似る。

それぞれの立ち位置や、左右の手足の使い方などに迷った生徒がいても、「いち、にー、さん、しーと、焦らずゆっくりやってみましょう」と、伊藤さんとベテラン生徒らが協力し合い、戸惑う初心者の生徒たちに個別に一つ一つ振り付けの流れを丁寧に教える。

歌詞の意味を理解しながら、美しく優雅に踊る

 

最初は不安そうだった生徒も、「もう一度始めから踊ってみましょう」という伊藤さんの言葉に、ときに真剣にときに笑顔で繰り返し踊り続けながら、自信信が付いたのか優雅な動きを披露していた。

モダンダンスの経験があり、2人の子供のママでもある藤田ふゆさんは、「先生の教室に通い続けて11年になります。日本舞踊を通して、歴史や伝統を深く知ることができます。この教室は、私にとって日常生活の癒やしのような場所です」と、にっこり。

日本舞踊の稽古を始めて5年目の松本明子さんは、「日本文化と寄り添い、ニューヨークで人々に踊りを通して日本の伝統を伝えていく舞踊団の一員になれたことがうれしいです。これからもさまざまなイベントで、日本文化を伝えていきたいです」と目を輝かせていた。

日本文化に興味を持ち、日本舞踊を習い始めた曹朔(ソウ・センサク)さんは、「伊藤先生はいつもやさしく教えてくれます。日本語は分かりませんが、英語でも丁寧に説明してくれるのでありがたいです。少しでも上手く踊れるようになりたい。来年の桜祭りで踊るのが楽しみです」と話した。

「日本人のルーツを、踊りを通して会得してもらえるとうれしいです。そして、楽しく、これからも美しく踊り続けられたら」と伊藤さんはほほ笑んだ。

稽古の最初と最後は、正座であいさつ

 

 

今週の先生
伊藤さちよ
(藤間さちよ)さん

 

1972年以来、日本舞踊を通じて、慈善公演やワークショップなど、日本文化を広める活動を行っています。毎年恒例の「桜祭り」も、来年も合わせると、39年連続で参加させていただいています。初心者は着物の着付けに始まり、踊りを通して普段触れられない日本の伝統文化を理解し、身に付けることができます。男女問わず、お子さまからシニアまで、どなたでも大歓迎です。お気軽にご参加ください。

 

Sachiyo Ito and Company

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