スペシャリストに聞く

尾崎真由美会計士に聞く④課税にまつわる各種制度

今月のテーマ:タックスリターン

連載の最終週は、確定申告時に知識が必要となる、アメリカ国内のさまざまな補助制度を中心に紹介する。例年と異なる経済状況の人が多いと思われる、来年の確定申告も、焦らず落ち着いて処理していこう。

※この記事は2021年1月29日の記事を一部改変して再掲載しています。

 

 

Q. 定年退職後、確定申告で気を付けたいことはありますか?

A .

アメリカで働く場合にはソーシャル・セキュリティー・ナンバー(SSN)が必要ですが、このソーシャルセキュリティー(社会保障)というのは、定年退職や障害(Disability)が原因の離職時に、あるいは死別された扶養家族に、税金から給付されるお金です。

この社会保障を10年以上納めると、定年退職時に給付されます。この給付は原則として非課税で、収入に含まれるかどうかは暫定所得や基準額などによって決まります。

満額受領できるようになる年齢は、出生年によって異なる場合があるので確認が必要です。例えば現在の規定では、1960年以降に生まれた人は、67歳から満額を受領できることになっています。詳細は、ソーシャルセキュリティーのウェブサイト(ssa.gov)を確認してみてください。

 

Q. 金額はどうやって確認できますか?

A.

明細はフォームSSA│1099と呼ばれ、毎年1月に1年分の金額が記載されたものが送られます。この明細を確定申告で使用します。

もし手元にない場合は、ソーシャルセキュリティーのウェブサイトを参照してください。

 

Q. 就労不能になった際の社会保障は、どのような仕組みですか?

A.

こちらは社会保障障害年金給付(Social Security Disability Benefits)と呼ばれます。勤務歴を基準としたもの(SSDI)と低所得者向けのもの(SSI)があります。

基本的には生活援助のための給付なので、低所得者であっても、もしこの給付以外に所得があった場合は、一部が課税対象になる可能性があります。

 

Q. 失業保険はどのような取り扱いになりますか?

A.

失業保険(Unem-ployment Insurance Benefit)は所得扱いとなり、課税対象です。確定申告でしっかり手続きするようにしましょう。州から1月に送られてくるフォーム1099-Gに詳細が記載されています。

 

Q.【追加質問】第2回で説明があった、PPPの新たな動きについて、詳しく教えてください。

A.

PPP(Paycheck Protection Program)の第2回目が今年初めに行われ、多くの企業が申請し、PPPローンを受領しました。

利用条件は、①300人以下の従業員であること ②第1〜4期のどれかの期で、売り上げが25%以上下がったこと ③昨年のPPP第1回目をすでに使い切ったことなどでした。

また、第1回目を取得した多くの会社(個人事業主)において、「控えめな金額を受け取った」「受け取ったのに早く返済した」「間違った金額で申請していた」「満額を受け取れていなかった」などのトラブルもあったようでした。

PPPローンの貸し付けを行った各金融機関はすでにPPPローンの免除申請の受付、審査を始めています。免除申請においては、いろいろなガイドラインがあります。そのため免除申請金額を間違えてしまうと、逆にPPPの返済義務が発生するかもしれません。

今回の免除申請について不明な点や、サポートが必要な際は、ぜひご相談ください。

〈おことわり〉

当社は、掲載記事の内容に関して、一切責任を負いかねます。詳細は各専門家にご相談ください。

 

 

 

 

尾崎真由美会計士

ワシントン州CPA、ニューヨーク州会計士。
東洋大学法学修士、経営学修士。
アメリカ全域および日本に、会計・経理代行サービスや税務コンサルティングなどを行っている。
フロリダのオフィスから完全リモートで、問い合わせから12時間以内に対応する。

 

 

尾崎会計事務所

18001 Old Cutler Rd., Suite 454
Miami, FL 33157
TEL: 877-827-1040
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