確定申告のポイントについて弁護士が考える”アメリカ国外の資産の申告”

今月のテーマ:タックスリターン

アメリカ政府は、アメリカ国内の収入・資産だけではなく、国外の資産状況にも目を光らせている。必ずしも申告で損をするものではないので、仕組みを把握して正しい申告を心掛けよう。


 

Q. アメリカ在住の日本人が特に注意したい、確定申告のポイントはありますか?

A.

厳密には確定申告ではありませんが、ほぼ同じ時期に申告締め切りがある、外国金融口座報告書(Report of Foreign Bank and Financial Accounts)、通称「FBAR(エフバー)」が、あまり日本人に知られていない気がします。

これは、アメリカで生活する人が国外に一定の資産を持つ場合、脱税などの不法行為を防ぐために、アメリカ財務省にその金額を申告しなければならないというものです。

アメリカ市民、永住権(グリーンカード)保持者、あるいは就労ビザにてアメリカに183日以上滞在している人のうち、アメリカ国外の銀行口座、投資信託口座、生命保険口座などに、合計1万ドル以上を保有している人が申告対象です。

Q.今現在で1万ドルの合計資産がなければ、申請は不要ですか?

A.

現在ではなく、その1年間(今回の申告だと2020年)のどこかで、一瞬でも合計金額が1万ドルを超えていたら、その最高額を申告しなければなりません。

FBARはあくまで申告を求めるものであり、この金額を元に課税されるものではない点に留意しましょう。

ただし、申告の義務を知りながら申告しなかった場合は、最低1万ドル以上の罰金が科せられる恐れがありますので、必ず申告しましょう。申告漏れが故意だと認められるほど、罰則が重くなっていくという仕組みです。

Q.国外資産を申告して、それに基づき課税される制度があると聞いたのですが、FBARではないのでしょうか?

A.

フォーム8938こと特定外国金融資産報告書(Statement of Specified Foreign Financial Assets)は、FBARと似ていますが異なります。

フォーム8938は、外国口座税務コンプライアンス法(Foreign Account Tax Compliance Act)、通称FATCAに基づき、投資型保険などの財産を含むアメリカ国外の資産を、アメリカ税務局(IRS)に申請しなければならないという制度です。

フォーム8938は、確定申告の一部として処理されます。また対象の資産額の基準も細かく設定されており、FBARとは設定が異なりますので、この二つを混同しないようにしましょう。

Q.FBARをうっかり申告し損ねてしまった場合は、どうしたらいいですか?

A.

もし4月(※今年は新型コロナ感染拡大の影響で、変更が加わる恐れあり)の期日に間に合わなければ、最長で10月ごろまで追加申告ができるようになっています。

もし過去何年か分に申告し忘れがある場合は、さかのぼって申請することも可能です。ただし、アメリカ国外での収入を、アメリカの確定申告で申請していなかった場合は、この限りではありません。

FBAR、そしてフォーム8938は個人によって申告プロセスや必要書類が異なりますので、詳しくは会計士に個別にご相談ください。

〈おことわり〉

当社は、掲載記事の内容に関して、一切責任を負いかねます。詳細は各専門家にご相談ください。

 

 

 

 

尾崎真由美会計士

ワシントン州CPA、ニューヨーク州会計士。
東洋大学法学修士、経営学修士。
アメリカ全域および日本に、会計・経理代行サービスや税務コンサルティングなどを行っている。
フロリダのオフィスから完全リモートで、問い合わせから12時間以内に対応する。

 

 

尾崎会計事務所

18001 Old Cutler Rd., Suite 454
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