事故に遭う前に知りたい”お金のこと”を弁護士に聞いた

事故に遭う前に知りたい、お金のこと

__アメリカでは、けがに対する訴訟が、なぜこんなに多いのでしょうか?

事故によるけがに対する補償を得るための、アメリカでの最も確実かつ一般的な手段は、弁護士を雇うことです。ほとんどの自動車運転手は自動車保険に加入しており、この保険が訴訟での弁護費および、けが人に対する補償を、限度額まで支払います。

けが人(事故の被害者)がもし保険に加入していなかった場合は、訴訟を起こしたり、けがの具合を正確に精査できないので、保険会社は補償額を低く見積もってきます。

けがについての書類を提出して、保険会社から最大額の補償を得るためには、経験ある弁護士が必要なのです。弁護士はベストな医師および療法士を知っており、治療のための保険を手配できる他、訴訟を起こすための細かい準備もお手伝いできます。

もう一つの良い点として、多くの事故専門弁護士は、個人訴訟を成功報酬制(contigency fee basis)で請け負うので、訴訟で勝利しない限り、依頼人側の支払いは発生しません。

__健康保険と自動車保険に加入しています。もし事故でけがを負ったら、全額負担してもらえますか?

一言でいうと、ノーです。事故の深刻度や必要な治療の度合いによりますが、診断治療や手術、長期リハビリなど、その全てをカバーできるほどの補償額は、自動車保険の契約では出ません。

また、健康保険供給者(その多くは自動車保険の二の次)は、あなたが受けられるケアを制限またはコントロールしようとして、完全な回復への悪影響を及ぼすのです。個人での支払いをせずに、最大レベルの治療を受ける唯一の方法が、けがに対して個人の責任を訴求することです。

訴訟を起こすということは、医療支出以上に、事故で受けた損失を補償します。けが以外の損失については、大きく次の三つのカテゴリーに別れます。

① 痛み・苦しみ

医療出費を補償する支払いとは異なり、自動車保険および健康保険からは支払われません。この補償は、事故に対する支払いとしては最も高額になることがあります。

適切な自動車保険契約と共に訴訟を起こすことが唯一の方法です。手続きが非常に難しく複雑なので、経験豊かな弁護士に相談することが一番でしょう。

② 給与の損失

けがに続いて、給与の損失分を取り戻すことがあるでしょう。しかし、単純に仕事を休んだ日数に応じた領収書を提出するようなものではありません。もし事故によるけがが恒久的なものであれば、それが身体的か精神的かに関係なく、被害者の収入は一生において減少する可能性があります。

この場合、経験豊かな弁護士が、法医学に精通した会計士や医療の専門家を雇い、けがによる収入の損失額を算出します。そして補償を得るために、責任ある個人またはその保険会社に、訴訟を起こします。

③ 所有地への損失

所有地に対する保険での補償では、その所有地が実際に受けた損害よりも、ぐっと低額の支払い上限が設定されることがあります。この状況でも、やはり弁護士を雇って、責任のある個人およびその保険会社に対して訴訟を起こすのが唯一の打開策です。

経験豊かな弁護士が、所有地の損害の鑑定方法を知っています。

__事故に巻き込まれて、痛みを感じます。どうすべきでしょう?

まず最初に、速やかに治療を受けてください。医師だけがあなたのけがを正当に分析できるからです。もし事故現場にいるのであれば、緊急サービスに連絡して病院に行きましょう。

時間が経過してしまっているなら、弁護士が治療を手配するお手伝いをできるかもしれません。弁護士は事故の専門家に対する広いネットワークを有しています。彼らなら、事故における最も一般的なけがに対する治療を経験しているはずです。

痛みを感じてすぐに助けを求めるもう一つの利点としては、その時点から、「事故によってけがをした」と保証できる記録が始まります。保険会社は、よく支払いを回避するために、事故があった日と治療が始まった日の空きを指摘して、「けがは事故によるものではない」ということを証明しようとするのです。けががすぐに明白にならず、数週間あるいは数カ月後に悪化するということは、医療の専門家には広く認知されています。

もしすでに治療を求めて待機していたとしても、それがあなたが苦しむ理由にはなりません。医師や弁護士と話して、どのような治療の選択肢があり、身体的なけがの訴えとして実行可能かどうか、知ることが最善です。助けを求めなければ、けがはどんどん悪化していくだけです。

__友人・家族の車に乗っていたときにけがをしました。友人・家族を訴えずに補償を得ることはできるでしょうか?

できます! 訴訟を起こさずに、相手の保険契約に請求することができるというと、驚く人が多いです。

実際、多くのケースが、裁判所に書類などを提出したり、公にしたりせずに解決しています。この結果に到達するには、相手の保険会社に対して交渉役を演じる、弁護士のスキルによるところが大きいです。

また、運転手との関係(配偶者を除く)にもよりますが、通常は自分の家族や自分自身の保険契約から、補償を受け取ることができます。繰り返しますが、運転手に対しては法的訴訟を起こさずに受け取れることが多いです。

多くのケースで、双方の弁護士が間に立って法的手続きを担当するので、当事者同士が直接コンタクトを行う必要はありません。

保険会社はけがを負った人に対して補償を支払う義務を負いますが、保険会社はその手続きを弁護士に任せるので、車の所有者および運転手を不利な状況にせずに、進めることができるのです。

マーク・グレイ弁護士

ニューヨーク州弁護士。
ワシントン・アンド・リー法科大学院卒業。
専門は人身傷害。
1996年にグレイ法律事務所を設立し、以降、20年以上にわたり、交通・医療・労災事故などを担当。
同事務所は24時間ホットラインや、通訳サービスなども提供。

Gray Law Firm PLLC
251 W. 93rd St.
TEL: 646-860-5543(日本語)
grayinjurylaw.com

 

 

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