弁護士が考える”離婚に至る原因” どのような特徴が?

今月のテーマ:アメリカでの離婚

今月は、最近日本でも何かと話題に上ることが多い、離婚について専門の法律家が解説。日本とアメリカでは少しずつルールが異なるので、基礎から丁寧にさらっていこう。ニューヨークの離婚事情はどうなっているのだろう?


Q. これまで担当してきた離婚のケースには、どのような特徴がありますか?

A.

20年ほど担当していますが、平均で毎年10件ぐらいでしょうか。もちろんケースごとに異なりますが、夫婦間のすれ違いが最も多い気がします。

相談を受けるのは、結婚してから10年以上は経過している夫婦が多いのではないでしょうか。特に、子供が自立して、夫婦間の価値観や金銭感覚の違いを我慢するのをやめた、というケースが多いですね。

よくある離婚の理由が、夫婦間で長い間性交渉がなく、夫側がそれに不満を募らせるというものです。妻側は特に結婚生活に不満を抱いておらず、むしろ家事や子育てでは妻としての役目を果たしているという自覚があるので、突然夫に離婚を突き付けられて困惑してしまうんですね。

もちろん、相談に来てから離婚を踏みとどまるケースもあります。


Q. 離婚にはどのような条件が必要ですか?

A.

ニューヨーク州では2012年に大きな法改正がありました。それまでは、夫婦の片方あるいは双方に非があり (fault-based)、修復不可能な夫婦関係になっている場合のみ、離婚が認められていました。片方に離婚の意思があっても、もう片方にその意思がなければ、成立は困難だったのです。

しかし12年以降は、夫婦のいずれにも非がなく (non-fault based)、また関係に大きな溝がなかったとしても離婚届が受理されます。性格の不一致なども離婚理由として認められるわけですね。

裁判所も理由を聞きません。従って、厳密には、離婚の意思があれば誰でも離婚可能です。


Q. 具体的には、どのようなプロセスで進みますか?

A.

手続き自体は、書類を取りに行って書き込むだけなのですが、膨大な書類を処理する必要があります。特に時間を要するのは、財産分与ですね。銀行口座、不動産、土地、人によっては船なども該当します。

アメリカでは、離婚前の資産は夫婦それぞれのもので、結婚後に築いた資産は2人で半分に分割するルールになっています。例えば、100万ドルの家 (モーゲージなし)を共同名義で購入して、その価値が150万ドルに上昇したとします。この場合は、差額分の50万ドルは2人の財産として分割されることになります。

ただし、遺産は結婚前から存在していた (=相続人として決まっていた)とみなされるので、この分割の対象にはなりません。また、交通事故などが原因で発生した和解金も、事故に遭った本人だけの資産として扱われます。

このように、それぞれの資産に対してきちんとルールが決まっているので、お互いの全ての資産を確認することに、非常に時間が掛かるのです。


Q. 財産分与について、事前に対策を講じることはできますか?

A.

アメリカでは、結婚前に将来の共同財産の範囲を取り決める、婚前契約(Prenuptial agreement)を作成することも一般的です。検討する際は、専門の弁護士に相談してみてください。

 

< おことわり >

当社は、掲載記事の内容に関して、一切責任を負いかねます。詳細は各専門家にご相談ください。

ウェイン・スタンレイ弁護士

カリフォルニア州立大学フルトン校および同校大学院を経て、オーストラリアのマッコーリーロースクールを卒業。
2001年よりニューヨーク州弁護士。
民事法、刑法、家族法、不動産法、移民法など。
相談から裁判所同行まで日本語で可能。

Wayne and Wayne Law Office

3 Berachah Ave.
Nyack, NY 10960
TEL: 845-988-6429
stanwayne@optimum.net
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