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今月のテーマ:事故に遭ったら
9月は、多くの読者にとっても身に降り掛かりやすい、さまざまな事故での法的対応について解説。まずは最もケースの多い、自動車事故について。いざという時に冷静に対処できるよう、基礎から専門家が解説する。
Q. 事故によるけがとは、具体的にどこまでの範囲を指すのですか?
A.
身体や精神に受けた損害を「人身傷害」といいます。他人もしくは団体の行動によって、あるいは彼らが適切な予防措置を取らなかったことによって、発生します。
訴訟では、①訴訟を起こした相手(加害者)が何か行動する義務があった ②その義務を履行しなかった ③義務の不履行、あるいは適切性の欠如によってけがをした、という三つの要素が重要になります。
人身傷害で最も多い事案は、交通事故、他人の敷地内での事故、転倒(転ぶ、滑る)、家庭内での事故、そして勤務中の事故です。
Q. 自動車事故に遭ったら、弁護士に何を相談するのですか?
A.
もし自動車事故で深刻なけがを負った場合、被害者は、けがに対する補償金を受け取ることができます。
自動車を運転する全ての人は、細心の注意のもと、安全運転を行う義務があります。もしこの義務が守られなかった場合、事故を引き起こした運転手は、その事故によって生じたけがや損害に対する責任を負うことになります。
もし自動車事故に遭ったら、弁護士に相談しましょう。弁護士は調査を経て、運転手に法的な落ち度があるか、そして被害者のけがに責任を負うかどうかを見極めます。運転手がけがの原因となったことの証拠を提出できれば、運転手に、賠償金の支払いを法的に義務付けられます。
なお、ニューヨーク州内の自動車事故に関する訴訟の90%以上は、示談で終わることを念頭に置いておいてください。
事故調査では、警察の報告書や現場写真、目撃者の証言や声明文、そしてもしあれば事故の瞬間を収めたビデオ映像の検証の他、運転手の運転歴の調査、専門家とのコンサルテーションに基づく事故原因の究明、あるいは事故現場の再現などが行われます。
けがが深刻であるほど、補償金額も高くなります。深刻度を測るには、事故に際しての医師の診断書と、事故に遭う前の被害者の健康状態が考慮されます。
また補償金額を決定するために、被害者の弁護士は医療専門家と、けがの具合を精査し、現時点での出費と今後見込まれる出費額を計算します。
治療費以外で考えられる費用としては、収入の減少、将来的な収益の消失、所有物の損害、身体および精神的苦痛、人生における楽しみ(enjoyment)の損失、そして他者との親密な関係性および援助の損失などが挙げられます。
学生であれば、けがによって学校に通えない重大性も考慮すべきです。けがによってスポーツや日々の娯楽、家事ができなくなった場合も、損害と考えます。
Q. 被害者と加害者が直接やり取りすることはありますか?
A.
運転手(加害者)側も、支払うべき補償金の減額のために弁護士を立て、事故の調査を行います。事故について話を進める際は、自分の弁護士およびけがの担当医師にのみ話すようにしてください。弁護士が、議論や交渉などの全てを代理で進めます。
なお訴訟を起こす期限は最短で30日です。事故に遭ったら、早めの行動を心掛けましょう。
〈おことわり〉
当社は、掲載記事の内容に関して、一切責任を置いかねます。詳細は各専門家にご相談ください。
スティーブン・エプステイン弁護士
ニューヨーク州認定弁護士。
ブランダイス大学、ニューヨーク大学ロースクール卒業。
全種事故を中心に、当地で20年以上の実績を持つ。
その他の取り扱いは、民事訴訟、会社法(設立、契約)、家庭法(離婚)など。
コロナ禍の現在も相談受付中。
Steven W. Epstein, ESQ
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