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今月は、就労ビザの中でも特殊なE2ビザ(投資家ビザ)をピックアップ。基本的な構造とアイデアをひも解き、確実な取得を目指そう。今週は、スポンサー企業に要求される条件について解説。
Q. E2ビザとは、どういったものですか?
A.
米国で投資を行う外国企業(スポンサー企業)に携わる人に発給される就労ビザです。日本をはじめとした、米国と条約を結んだ加盟国にのみ発給され、例えば現在、中国籍の人は、米国でE2ビザを申請できません。
スポンサー企業の国籍は、その企業の合計50%以上の株を持つ、株主の国籍によって決定されます。ビザ申請者が日本国籍であれば、スポンサー企業の合計50%以上の株は、日本国籍保持者によって保有される必要があります(グリーンカード保持者は不可)。
Q. 日本国籍なら、どんな企業でも申請できますか?
A.
スポンサーとなる企業には、大きく分けて三つの条件が求められます。一つ目は、米国で実利をもたらすものとして、米国内で多額の投資を行った企業であること。
この多額の投資に相当する金額は、法律による直接的な明記がないので、弁護士によって意見が異なりますが、当事務所の経験上、どのような事業でも最低20万ドル以上の設備投資を推奨しています。スポンサーとなる法人が投資を行う必要があるため、個人名義で計上しないように注意しましょう。領収書などはしっかり保管し、ビザ申請時に提出します。
「米国に経済面で貢献した」ということが重要であり、会社は多額の資本金を投入しただけでは、この投資要件を満たしません。ビザ申請前に、米国内で実際にお金をかけた証拠が必要になります。また、ビザの「投資」として認められるものと、そうでないものがありますので、事前に弁護士に相談して、何が「投資」に該当するかを確認することをお勧めします。
当該経費を捻出しやすいのは、例えば飲食業です。出店に伴う店舗改装費や調理機材の購入費が投資額としてカウントされますので、規定をクリアしやすいと考えられます。逆に難しいのが、オフィススペースやオフィス家具で成り立ってしまうIT企業や不動産会社。前者ならシステム構築に大金を投入する、後者なら思い切って米国で物件を購入し、自社ビルとして直接管理・賃借する、などの対策が考えられます。
二つ目のスポンサー企業の条件は、実体があること。最近は、すでにビジネスが稼働済みであることの証拠を面接前に求める大使館審査官もいます。過去に、米国内でレンタカー会社を運営するために経営者がE2ビザを申請したケースがありましたが、車両や必要機材・システムを導入して「投資」をしてもなお、ビジネスとして稼働していないので申請が下りませんでした。2カ月ほどオーナー不在で営業して実績を作ってから再申請し、ビザが下りました。
三つ目の条件は、現地で雇用を生むことです。申請者家族のみの生活を支えるような事業では、E2ビザは取得できません。具体的な現地雇用人数は明記されておらず、会社の規模やビジネス内容によってケース・バイ・ケースですが、米国籍またはグリーンカード保持者を、ビザ申請者1人につき約4人ほど雇用していることを推奨します。
〈おことわり〉
当社は記事内容に関して一切責任を負いかねます。詳細は各専門家にご相談ください。またこの記事は、2018年に掲載したものに加筆・修正を加えたものです。
安田・デビン・龍弁護士
ニューヨーク州公認弁護士。
慶應義塾大学法学部、ミシガン州立大学法科大学院を卒業。
パートナーの小林剛弁護士と「D5 Law Office」を設立。
専門は会社法、商法、移民法。
主に当地進出を目指す日系企業・個人をサポートする。
日米それぞれの語学と文化に精通。
D5 Law Office PLLC
25 Broadway, 9th Fl.
TEL: 248-497-8887
devin@d5law.com
d5law.com
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